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可愛くて泣き虫のメイドに夢中の夫が、彼女を虐めた悪妻と私に離縁を言い渡しました…。
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体を壊したメイドに代わり、若く健康なメイドを新たに雇う事が決まった。
しかし夫が選んだメイドは、若くて健康だったが仕事を真面目にしなかった。
その為最初は我慢して居た私だったが、遂に我慢の限界を迎え彼女を叱る事に─。
すると彼女はいつものように可愛らしい顔に涙を浮かべ、許しを請うのだった。
彼女はかなりの泣き虫で、いつもちょっとした事で涙を流した。
こちらが仕事の事で注意すれば、彼女はすぐに涙し怯えた顔を見せる。
そして夫に泣きつき、庇って貰おうとするのだ。
すると若く可愛い彼女にそのように甘えられる夫はすっかり気分を良くし、彼女がろくに仕事をしなくても見て見ぬふりをするように─。
おまけに最近はメイドである彼女に贈り物をしたりと、まるで愛人のように大切に扱う始末だ。
だが今回ばかりは、彼女を叱らない訳には行かない。
と言うのも彼女はメイドとしての務めを怠り、それによってある被害を生じさせたからだ。
しかし彼女を呼び付けた私に対し、これ以上彼女を虐めるなと言って夫が間に割って入って来た。
おまけに、彼女がいつも泣いて居るのはお前が虐めるからだ─。
そんな悪妻はもう要らないと、私を一方的に悪者扱いし離縁を言い渡して来たのだ。
そこで私は事情を説明しようとしたが、彼女の大袈裟な泣き声にかき消されてしまい…また夫がそれ以上彼女に近づくなと怒鳴る為、何も話が出来なかった。
結局私は夫に手切れ金だと金を渡され、家を追い出される事に─。
そんな私にお金の入った鞄を押し付けて来たメイドは、勝ち誇ったような笑みを浮かべ…旦那様の心も身体もとっくに私のものになって居た─。
旦那様は私の泣き顔ではなく笑顔をずっと見て居たいと、私を新たな妻に迎える事を約束してくれて居る。
だからあなたはもう用無しだ、さっさとここから消えろと意地悪く言うのだった。
まさか夫と彼女が、そこまで深い仲になって居たとは…。
でも、夫が彼女を妻に迎える事は叶わないでしょう。
それどころか、彼女と共に罰を受けるのでは─。
その後、彼女と二人きりで暮らす事になり大層浮かれる元夫だったが…事態は一変、彼は不幸のどん底に叩き落とされる事になった。
と言うのも元夫は骨董品の修理を貴族達から依頼され、その管理を一部メイドの彼女に任せて居た。
だが仕事を真面目にしない彼女は、それらを雑に扱い…その結果修理済みの絵皿を完全に割ってしまい、それを隠そうと偽物と入れ替えて居たのだ。
それに気づいた私は、彼女を呼び出し夫に事情を説明しようとしたが…虐めだと決めつけられ、離縁となったのだ。
そして元夫は彼女に夢中になる余り、その皿を確認もせず依頼主の貴族に渡してしまい…後にそれが偽物と発覚すると、彼は泥棒や詐欺師だと疑われ牢に入れられる事に─。
結局後にメイドの仕業と判明、彼女が代わりに牢に入れられるも…慣れない獄中生活に元夫はすっかり疲弊し、病に罹った状態で外に出された。
しかしそんな元夫には、割れた皿の賠償金が待って居り…更には彼女が他にも骨董品を壊して居た事が明らかとなり、彼は土地も家も全て売り払いその補償に充てる羽目に─。
そうして全ての補償を終えた元夫は、やがて病が悪化し孤独の中で息を引き取るのだった。
一方、私はと言うと…元夫の知り合いで同じく骨董に詳しい方と交際を始めて居た。
実は、あの絵皿の件を最初に相談し確認して貰ったのもこの方だ。
その際彼は、こんなに気配りが出来る君より役立たずのメイドに夢中になるあいつとは縁を切った方が良い─。
離縁となりその後困っても、自分が面倒を看るからとまで言ってくれて居た。
そしてその言葉通り離縁を告げられ家を追い出された私を傍に置いて下さり、大事に知って居る骨董品と同じくらい…否、それ以上に大事にして下さったのだ。
そしてそんな彼の事を私は自然と好きになり…また以前から良妻と噂される私を理想の妻と見て居た彼は喜んでその気持ちを受け入れ、私達は将来一緒になる事を約束しあったのだ。
悪妻などと言われ離縁された時は辛かったけれど…今は宝物のように大事にされ、そんなふうに愛してくれる人と結ばれる事が出来て私は本当に幸せだわ─。
しかし夫が選んだメイドは、若くて健康だったが仕事を真面目にしなかった。
その為最初は我慢して居た私だったが、遂に我慢の限界を迎え彼女を叱る事に─。
すると彼女はいつものように可愛らしい顔に涙を浮かべ、許しを請うのだった。
彼女はかなりの泣き虫で、いつもちょっとした事で涙を流した。
こちらが仕事の事で注意すれば、彼女はすぐに涙し怯えた顔を見せる。
そして夫に泣きつき、庇って貰おうとするのだ。
すると若く可愛い彼女にそのように甘えられる夫はすっかり気分を良くし、彼女がろくに仕事をしなくても見て見ぬふりをするように─。
おまけに最近はメイドである彼女に贈り物をしたりと、まるで愛人のように大切に扱う始末だ。
だが今回ばかりは、彼女を叱らない訳には行かない。
と言うのも彼女はメイドとしての務めを怠り、それによってある被害を生じさせたからだ。
しかし彼女を呼び付けた私に対し、これ以上彼女を虐めるなと言って夫が間に割って入って来た。
おまけに、彼女がいつも泣いて居るのはお前が虐めるからだ─。
そんな悪妻はもう要らないと、私を一方的に悪者扱いし離縁を言い渡して来たのだ。
そこで私は事情を説明しようとしたが、彼女の大袈裟な泣き声にかき消されてしまい…また夫がそれ以上彼女に近づくなと怒鳴る為、何も話が出来なかった。
結局私は夫に手切れ金だと金を渡され、家を追い出される事に─。
そんな私にお金の入った鞄を押し付けて来たメイドは、勝ち誇ったような笑みを浮かべ…旦那様の心も身体もとっくに私のものになって居た─。
旦那様は私の泣き顔ではなく笑顔をずっと見て居たいと、私を新たな妻に迎える事を約束してくれて居る。
だからあなたはもう用無しだ、さっさとここから消えろと意地悪く言うのだった。
まさか夫と彼女が、そこまで深い仲になって居たとは…。
でも、夫が彼女を妻に迎える事は叶わないでしょう。
それどころか、彼女と共に罰を受けるのでは─。
その後、彼女と二人きりで暮らす事になり大層浮かれる元夫だったが…事態は一変、彼は不幸のどん底に叩き落とされる事になった。
と言うのも元夫は骨董品の修理を貴族達から依頼され、その管理を一部メイドの彼女に任せて居た。
だが仕事を真面目にしない彼女は、それらを雑に扱い…その結果修理済みの絵皿を完全に割ってしまい、それを隠そうと偽物と入れ替えて居たのだ。
それに気づいた私は、彼女を呼び出し夫に事情を説明しようとしたが…虐めだと決めつけられ、離縁となったのだ。
そして元夫は彼女に夢中になる余り、その皿を確認もせず依頼主の貴族に渡してしまい…後にそれが偽物と発覚すると、彼は泥棒や詐欺師だと疑われ牢に入れられる事に─。
結局後にメイドの仕業と判明、彼女が代わりに牢に入れられるも…慣れない獄中生活に元夫はすっかり疲弊し、病に罹った状態で外に出された。
しかしそんな元夫には、割れた皿の賠償金が待って居り…更には彼女が他にも骨董品を壊して居た事が明らかとなり、彼は土地も家も全て売り払いその補償に充てる羽目に─。
そうして全ての補償を終えた元夫は、やがて病が悪化し孤独の中で息を引き取るのだった。
一方、私はと言うと…元夫の知り合いで同じく骨董に詳しい方と交際を始めて居た。
実は、あの絵皿の件を最初に相談し確認して貰ったのもこの方だ。
その際彼は、こんなに気配りが出来る君より役立たずのメイドに夢中になるあいつとは縁を切った方が良い─。
離縁となりその後困っても、自分が面倒を看るからとまで言ってくれて居た。
そしてその言葉通り離縁を告げられ家を追い出された私を傍に置いて下さり、大事に知って居る骨董品と同じくらい…否、それ以上に大事にして下さったのだ。
そしてそんな彼の事を私は自然と好きになり…また以前から良妻と噂される私を理想の妻と見て居た彼は喜んでその気持ちを受け入れ、私達は将来一緒になる事を約束しあったのだ。
悪妻などと言われ離縁された時は辛かったけれど…今は宝物のように大事にされ、そんなふうに愛してくれる人と結ばれる事が出来て私は本当に幸せだわ─。
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