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妻の私を一切見ない夫の視線の先にあるのは、彼の妹でした──。
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家同士の約束で、ある殿方の元に嫁いだ私。
私はその日から、夫となった彼に心から尽くそうとした。
だが彼は、そんな私を一切見てはくれなかった。
彼は私に対し無関心で…私が話しかけ無ければ何も言わないし、自ら触れても来ない。
そして結婚して半年が経った頃、私はある事に気付いた。
いつも夫の視線の先にあるのは、妻の私ではなく…彼の妹だった。
彼は妹にとても甘く、まるで宝物のように大事にして居た。
そして妹も、そんな彼にベッタリとくっ付き甘えていた。
いくら血の繋がった兄妹でも、ここまで仲が良いものなの…?
と言うか、私達は新婚なのだから…少しは彼に私を見て欲しいし、妹には遠慮して貰いたい。
だがある日、私は二人の衝撃的な会話を耳にする事に─。
「お兄様は、あの女と仕方なく結婚したのよね?お兄様が本当に愛して居るのは、この私よね?」
「勿論だとも。お前と血の繋がりが無いと知った時、俺は心の底から歓喜した。でも、俺達が結ばれる事は世間が許さない。その為に、俺はあの女を妻に迎えたんだ。あいつには、俺達の隠れ蓑になって貰わないとな。」
そして夫は、更に恐ろしい言葉を続けた。
「あいつが妊娠しないよう、あいつの食事には微量の毒草を入れてある。本人は、全く気付いて居ないがな。」
「お兄様の子を産むのは、この私だものね。もし身籠っても、私の婚約者との子だと言う事にして…彼から今以上にお金をふんだくったら、すぐに別れるわ。お兄様…私達の子をたっぷり可愛がってね!」
彼の妹は、少し前にある名家のご子息と婚約した。
金持ちな所が気に入ったと彼女は言って居たが…きっと夫との子を育てる金欲しさに、そのご子息を婚約者にしたのだろう。
私だけでなく、他の人まで巻き込み不幸にする夫とその妹─。
この二人を、このまま好き勝手にさせたら大変な事になる。
そうなる前に、二人には罪を償って貰わねば─。
その後、夫の妹は即婚約破棄となった。
と同時に、今まで婚約者から奪ったお金は全て返金する事となり…その後は、修道院へ送られる事となってしまった。
彼女は、愛する兄と別れる事を泣いて嫌がったが…彼の父親や周りがそれを許さなかった。
そして、私と夫は離縁する事が決まった。
私に毒草を食べさせた事もあり、夫は多額の慰謝料を払った上に罪人として牢に送られる事に─。
そうなって、彼は次期当主の座を失った。
そして父親から親子の縁を切られ…それにより保釈金を出して貰えなくなり、当分牢から出られない事に─。
すると彼は、牢の中から私に面会を求めると必死に詫びた。
そして、元妻のよしみで何とか刑を軽くするよう掛け合って欲しいなどと言って来たが…勿論、私は彼を許す気はなかった。
それに、私はもうこの地を出て行くので…後の事は知らないと彼に告げた。
「私は、縁あって他の領地の殿方と再婚が決まり…その為にこれから彼の家で暮らす事になります。ですので、あなたと会うのはもう今日が最後です。私は立派なお屋敷で幸せな生活を送りますので、あなたはこの狭くて汚らしい牢でゆっくり反省すると良いわ。」
私の言葉に、元夫はその場に崩れ落ち涙するのだった─。
その後、私は新しい夫と幸せな新婚生活を送って居る。
私の生活は順調そのもので、夫である彼に一途な愛を捧げられ…どうやら最近になり、彼の子を身籠ったようだ。
前の結婚生活では全く自分を見て貰えず、子にも恵まれない事もあって寂しく苦しい思いをして居たが…今はそのどちらも叶い、私はとても幸せよ─。
私はその日から、夫となった彼に心から尽くそうとした。
だが彼は、そんな私を一切見てはくれなかった。
彼は私に対し無関心で…私が話しかけ無ければ何も言わないし、自ら触れても来ない。
そして結婚して半年が経った頃、私はある事に気付いた。
いつも夫の視線の先にあるのは、妻の私ではなく…彼の妹だった。
彼は妹にとても甘く、まるで宝物のように大事にして居た。
そして妹も、そんな彼にベッタリとくっ付き甘えていた。
いくら血の繋がった兄妹でも、ここまで仲が良いものなの…?
と言うか、私達は新婚なのだから…少しは彼に私を見て欲しいし、妹には遠慮して貰いたい。
だがある日、私は二人の衝撃的な会話を耳にする事に─。
「お兄様は、あの女と仕方なく結婚したのよね?お兄様が本当に愛して居るのは、この私よね?」
「勿論だとも。お前と血の繋がりが無いと知った時、俺は心の底から歓喜した。でも、俺達が結ばれる事は世間が許さない。その為に、俺はあの女を妻に迎えたんだ。あいつには、俺達の隠れ蓑になって貰わないとな。」
そして夫は、更に恐ろしい言葉を続けた。
「あいつが妊娠しないよう、あいつの食事には微量の毒草を入れてある。本人は、全く気付いて居ないがな。」
「お兄様の子を産むのは、この私だものね。もし身籠っても、私の婚約者との子だと言う事にして…彼から今以上にお金をふんだくったら、すぐに別れるわ。お兄様…私達の子をたっぷり可愛がってね!」
彼の妹は、少し前にある名家のご子息と婚約した。
金持ちな所が気に入ったと彼女は言って居たが…きっと夫との子を育てる金欲しさに、そのご子息を婚約者にしたのだろう。
私だけでなく、他の人まで巻き込み不幸にする夫とその妹─。
この二人を、このまま好き勝手にさせたら大変な事になる。
そうなる前に、二人には罪を償って貰わねば─。
その後、夫の妹は即婚約破棄となった。
と同時に、今まで婚約者から奪ったお金は全て返金する事となり…その後は、修道院へ送られる事となってしまった。
彼女は、愛する兄と別れる事を泣いて嫌がったが…彼の父親や周りがそれを許さなかった。
そして、私と夫は離縁する事が決まった。
私に毒草を食べさせた事もあり、夫は多額の慰謝料を払った上に罪人として牢に送られる事に─。
そうなって、彼は次期当主の座を失った。
そして父親から親子の縁を切られ…それにより保釈金を出して貰えなくなり、当分牢から出られない事に─。
すると彼は、牢の中から私に面会を求めると必死に詫びた。
そして、元妻のよしみで何とか刑を軽くするよう掛け合って欲しいなどと言って来たが…勿論、私は彼を許す気はなかった。
それに、私はもうこの地を出て行くので…後の事は知らないと彼に告げた。
「私は、縁あって他の領地の殿方と再婚が決まり…その為にこれから彼の家で暮らす事になります。ですので、あなたと会うのはもう今日が最後です。私は立派なお屋敷で幸せな生活を送りますので、あなたはこの狭くて汚らしい牢でゆっくり反省すると良いわ。」
私の言葉に、元夫はその場に崩れ落ち涙するのだった─。
その後、私は新しい夫と幸せな新婚生活を送って居る。
私の生活は順調そのもので、夫である彼に一途な愛を捧げられ…どうやら最近になり、彼の子を身籠ったようだ。
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