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夫に尽くして来た私ですが、彼にとってはずっと邪魔者でしかなかったようです…。
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家同士の約束で結婚した、私と夫。
恋愛結婚で無いからこそ、私は彼の良き妻になりたかった。
そしてこれまで夫に尽くしてきたが…そんな私は、夫にとっては邪魔者でしかなかったらしい。
と言うのも…偶には外で自由に遊んで来いと夫に言われ街に出た私だが、天候の悪化で予定より早く帰宅する事に─。
その際、夫とこの屋敷で一案若く可愛いメイドが口づけている所を見てしまったのだ。
そして二人は、私に気付かず話を始めた。
「あなたに尽くすのは、ずっと前から愛人だった私の役目なのに…!あんな地味女があなたの隣を独占するなど許せない!」
「全く、あいつも何を勘違いして居るんだか…。俺達の夫婦の間には愛など無いのに、俺に必死に尽くして来て─。どうせ尽くされるなら、あんな女よりも君の方が余程嬉しいよ。」
するとそんな夫に、メイドはどうにかして離縁は出来ないのかと訴えた。
「あいつの父親は怖いからな…。でもつい最近病で倒れたと聞くし…そのまま死んでくれたら、娘であるあいつに遺産が引き継がれるはずだ。そしてその遺産を上手い事言って騙し取ったら、すぐにでも離縁してやるよ。」
それを聞いた私は、夫の事を何で非常な人間だと思うと同時に…このまま夫の好きにさせてなるものかと思った。
それから数週間後─。
私は、自ら夫に離縁を告げた。
そしてそれに伴い、私を裏切った慰謝料を支払う事…更には、今後一切彼の事業に支援金を出さないと宣言した。
「事業を拡大したばかりなのに、それは困る!それにお前だって、病気の父親が居る実家に戻ってどうするつもりだ?」
「父ならもう心配いりません。それは全て私の幼馴染のおかげ─。彼は薬を扱う商売をして居るのですが、父の病に効果があると言う薬をわざわざ他の大陸から入手してくれたんです。すると、父はすっかり元の元気な体を取り戻しました。そして、あなたがメイドと浮気して居た事…更に父の死を願って居た事を報告したら激怒し、すぐに離縁し実家に戻って来いと言ってくれたのです。」
「そ、そんな…。」
己の行いや醜い心根を私や父に知られて居た事に、夫は真っ青な顔になりその場に崩れ落ちた─。
その後、私と彼は無事離縁が成立した。
そして元夫は、その後事業が立ち行かなくなり多額の負債を抱え破産─。
そのせいで家や土地を失った挙句、愛人だったメイドも借金のカタに連れて行かれてしまったと言う。
噂では、彼女はどこかの娼館で娼婦をやらされ辛い日々を送って居るらしい。
こうして何もかも失った夫はやがてこの地を去ったが、きっとどこかで路頭に迷って居る事だろう─。
一方、私はと言うと…実家に戻り父と、そしていずれ再婚する事を約束した幼馴染と幸せに暮らして居た。
幼馴染は、以前から私の事が好きだったそうだが…家柄の違いで私への気持ちを隠して居たと言う。
だがこの度、父の命を救った事で…幼馴染はすっかり父に気に入られ、私との仲を認めて貰えたのだった。
そして彼は、長年抱えて居た気持ちを私に告げ…私はそれに応える事に─。
父が元気になる間…幼馴染は夫に裏切られた私の話を親身になって聞いてくれ、心の支えになってくれた。
そしてそんな優しくて温かい彼に、私はいつの間にか心奪われて居たのだ。
彼が私の心を救ってくれたように…もしこの先彼に何かあったら、今度は私が彼の心の支えになるわ。
この先は愛する彼に心から尽くして行こうと、私はそう決意するのだった─。
恋愛結婚で無いからこそ、私は彼の良き妻になりたかった。
そしてこれまで夫に尽くしてきたが…そんな私は、夫にとっては邪魔者でしかなかったらしい。
と言うのも…偶には外で自由に遊んで来いと夫に言われ街に出た私だが、天候の悪化で予定より早く帰宅する事に─。
その際、夫とこの屋敷で一案若く可愛いメイドが口づけている所を見てしまったのだ。
そして二人は、私に気付かず話を始めた。
「あなたに尽くすのは、ずっと前から愛人だった私の役目なのに…!あんな地味女があなたの隣を独占するなど許せない!」
「全く、あいつも何を勘違いして居るんだか…。俺達の夫婦の間には愛など無いのに、俺に必死に尽くして来て─。どうせ尽くされるなら、あんな女よりも君の方が余程嬉しいよ。」
するとそんな夫に、メイドはどうにかして離縁は出来ないのかと訴えた。
「あいつの父親は怖いからな…。でもつい最近病で倒れたと聞くし…そのまま死んでくれたら、娘であるあいつに遺産が引き継がれるはずだ。そしてその遺産を上手い事言って騙し取ったら、すぐにでも離縁してやるよ。」
それを聞いた私は、夫の事を何で非常な人間だと思うと同時に…このまま夫の好きにさせてなるものかと思った。
それから数週間後─。
私は、自ら夫に離縁を告げた。
そしてそれに伴い、私を裏切った慰謝料を支払う事…更には、今後一切彼の事業に支援金を出さないと宣言した。
「事業を拡大したばかりなのに、それは困る!それにお前だって、病気の父親が居る実家に戻ってどうするつもりだ?」
「父ならもう心配いりません。それは全て私の幼馴染のおかげ─。彼は薬を扱う商売をして居るのですが、父の病に効果があると言う薬をわざわざ他の大陸から入手してくれたんです。すると、父はすっかり元の元気な体を取り戻しました。そして、あなたがメイドと浮気して居た事…更に父の死を願って居た事を報告したら激怒し、すぐに離縁し実家に戻って来いと言ってくれたのです。」
「そ、そんな…。」
己の行いや醜い心根を私や父に知られて居た事に、夫は真っ青な顔になりその場に崩れ落ちた─。
その後、私と彼は無事離縁が成立した。
そして元夫は、その後事業が立ち行かなくなり多額の負債を抱え破産─。
そのせいで家や土地を失った挙句、愛人だったメイドも借金のカタに連れて行かれてしまったと言う。
噂では、彼女はどこかの娼館で娼婦をやらされ辛い日々を送って居るらしい。
こうして何もかも失った夫はやがてこの地を去ったが、きっとどこかで路頭に迷って居る事だろう─。
一方、私はと言うと…実家に戻り父と、そしていずれ再婚する事を約束した幼馴染と幸せに暮らして居た。
幼馴染は、以前から私の事が好きだったそうだが…家柄の違いで私への気持ちを隠して居たと言う。
だがこの度、父の命を救った事で…幼馴染はすっかり父に気に入られ、私との仲を認めて貰えたのだった。
そして彼は、長年抱えて居た気持ちを私に告げ…私はそれに応える事に─。
父が元気になる間…幼馴染は夫に裏切られた私の話を親身になって聞いてくれ、心の支えになってくれた。
そしてそんな優しくて温かい彼に、私はいつの間にか心奪われて居たのだ。
彼が私の心を救ってくれたように…もしこの先彼に何かあったら、今度は私が彼の心の支えになるわ。
この先は愛する彼に心から尽くして行こうと、私はそう決意するのだった─。
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