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夫は望んで私を妻に迎えた癖に、王族の娘に言い寄られた途端に離縁を告げて来ました。
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私は父の知り合いのご子息に望まれ、彼の妻となった。
彼は真面目で誠実だと聞いて居たから、私は安心して嫁いだのだ。
そして、穏やかな新婚生活を送って居たのだが…そんな日々は、すぐに終わりを迎えた。
と言うのも…彼はあるパーティーで王族の娘に言い寄られ、すっかり彼女に夢中になってしまったからだ。
「彼女を一目見た時、余りの美しさに俺はすぐに心奪われてしまった。だからもう、お前に何の魅力も感じないんだ。今すぐ荷物をまとめ、実家に帰ってくれ。」
「そ、そんな…。」
「妻帯者じゃ、彼女と結ばれる事が出来ないだろう?お前の存在は、今の俺にとっては邪魔でしかないんだ。考えてもみろ…ただの名家出身のお前を妻にするより、王族の娘を妻に迎えた方が幸せになれるに決まって居るじゃないか。」
そこまで言われてしまえば、私はもう彼の気持ちを受け入れるしかなかった。
まだ結婚して間もないし、子も居ないのだから…傷が浅くて済んで良かったと思うしかないだろう。
そして私は、彼との生活に別れを告げたのだった─。
その後、元夫はその王族の娘を自宅に呼ぶ様になった。
そして彼女との仲を一層深めて行き…今度は自分を、彼女の屋敷に招待して欲しいと言った。
しかし彼女は、それは難しい…父親が、あなたとの交際にまだ賛成して居ないと言って断った。
そんな彼女に、元夫は一度は落胆したものの…障害が多い程彼女を一層愛しく感じると言い、彼女への想いをより深めるのだった。
だが彼は、後にそれを激しく後悔する事に─。
と言うのも…その女は、本当は王族の娘ではない事が発覚したからだ。
だが元夫は…彼女が見せてくれた首飾りには、ちゃんと王族の紋が入って居たと主張した。
確かに、彼女が手にして居たそれは王族の娘が持つ物だったが…それは、彼女本人の持ち物という訳では無かった。
実は、彼女は学生時代にある王族の娘を虐めて居て…その時に、その首飾りを奪って居たのだった。
そしてそれ以降、気になった男を見つける度に彼女はその首飾りを見せ自分は王族の娘だと名乗り、男の気を惹いて居たのだった。
でも、そんな事を何度も繰り返せば…彼女の悪い噂は自然と広まり、かつて自分が虐めて居た王族の娘に知られる事となってしまった。
そして自分を虐めて居た女が、今もこうして悪事を働いて居る事に怒った王族の娘は、彼女を捕えるよう憲兵に命じ…そして彼女は、元夫の目の前で連行されたのだった。
その後、真実を知った元夫は激しい後悔に襲われた。
と言うのも…私を一方的に捨てた事で、私の家から事業への支援金を貰えなくなり…更に自身の父親からは一族の恥さらしと縁を切られ、傾いた事業を助けて貰えない状態だったからだ。
そんな彼の頼みの綱は、その王族の娘だけだったのに…実はただの悪人だった事で、彼の人生計画は大きく狂う事になってしまった。
どうやら彼は、今の事業を何とかするべく新しい商品を売り込もうと動いて居たのだが…彼女の件でそれが立ち消えになり、彼に残ったのは借金の山だけだった。
そして彼は、借金取りから逃げ回る羽目になり…周りからも白い目で見られる中、この地からひっそりと姿を消したのだった。
そんな話を、私は父から詳しく教えて貰い…人を見る目が無く将来性も無い彼とは、キッパリ別れて良かったと心から思った。
そして、そんな愚かな男の事は早く忘れ…この先は、交際を始めた彼の事だけを考えようと思うのだった。
実は私は、この地に帰って来てから父の仕事を手伝ってくれて居る殿方と仲良くなった。
そして、いつしかそれは友人から恋人と言う関係になり…私は来年には、彼と再婚する事になって居る。
望まれ妻になるのも悪くは無いが、自分から望んで妻になりたいと思える彼と出会えて…この先の人生が私達にとって幸せである事を、私は心から望んで居るわ─。
彼は真面目で誠実だと聞いて居たから、私は安心して嫁いだのだ。
そして、穏やかな新婚生活を送って居たのだが…そんな日々は、すぐに終わりを迎えた。
と言うのも…彼はあるパーティーで王族の娘に言い寄られ、すっかり彼女に夢中になってしまったからだ。
「彼女を一目見た時、余りの美しさに俺はすぐに心奪われてしまった。だからもう、お前に何の魅力も感じないんだ。今すぐ荷物をまとめ、実家に帰ってくれ。」
「そ、そんな…。」
「妻帯者じゃ、彼女と結ばれる事が出来ないだろう?お前の存在は、今の俺にとっては邪魔でしかないんだ。考えてもみろ…ただの名家出身のお前を妻にするより、王族の娘を妻に迎えた方が幸せになれるに決まって居るじゃないか。」
そこまで言われてしまえば、私はもう彼の気持ちを受け入れるしかなかった。
まだ結婚して間もないし、子も居ないのだから…傷が浅くて済んで良かったと思うしかないだろう。
そして私は、彼との生活に別れを告げたのだった─。
その後、元夫はその王族の娘を自宅に呼ぶ様になった。
そして彼女との仲を一層深めて行き…今度は自分を、彼女の屋敷に招待して欲しいと言った。
しかし彼女は、それは難しい…父親が、あなたとの交際にまだ賛成して居ないと言って断った。
そんな彼女に、元夫は一度は落胆したものの…障害が多い程彼女を一層愛しく感じると言い、彼女への想いをより深めるのだった。
だが彼は、後にそれを激しく後悔する事に─。
と言うのも…その女は、本当は王族の娘ではない事が発覚したからだ。
だが元夫は…彼女が見せてくれた首飾りには、ちゃんと王族の紋が入って居たと主張した。
確かに、彼女が手にして居たそれは王族の娘が持つ物だったが…それは、彼女本人の持ち物という訳では無かった。
実は、彼女は学生時代にある王族の娘を虐めて居て…その時に、その首飾りを奪って居たのだった。
そしてそれ以降、気になった男を見つける度に彼女はその首飾りを見せ自分は王族の娘だと名乗り、男の気を惹いて居たのだった。
でも、そんな事を何度も繰り返せば…彼女の悪い噂は自然と広まり、かつて自分が虐めて居た王族の娘に知られる事となってしまった。
そして自分を虐めて居た女が、今もこうして悪事を働いて居る事に怒った王族の娘は、彼女を捕えるよう憲兵に命じ…そして彼女は、元夫の目の前で連行されたのだった。
その後、真実を知った元夫は激しい後悔に襲われた。
と言うのも…私を一方的に捨てた事で、私の家から事業への支援金を貰えなくなり…更に自身の父親からは一族の恥さらしと縁を切られ、傾いた事業を助けて貰えない状態だったからだ。
そんな彼の頼みの綱は、その王族の娘だけだったのに…実はただの悪人だった事で、彼の人生計画は大きく狂う事になってしまった。
どうやら彼は、今の事業を何とかするべく新しい商品を売り込もうと動いて居たのだが…彼女の件でそれが立ち消えになり、彼に残ったのは借金の山だけだった。
そして彼は、借金取りから逃げ回る羽目になり…周りからも白い目で見られる中、この地からひっそりと姿を消したのだった。
そんな話を、私は父から詳しく教えて貰い…人を見る目が無く将来性も無い彼とは、キッパリ別れて良かったと心から思った。
そして、そんな愚かな男の事は早く忘れ…この先は、交際を始めた彼の事だけを考えようと思うのだった。
実は私は、この地に帰って来てから父の仕事を手伝ってくれて居る殿方と仲良くなった。
そして、いつしかそれは友人から恋人と言う関係になり…私は来年には、彼と再婚する事になって居る。
望まれ妻になるのも悪くは無いが、自分から望んで妻になりたいと思える彼と出会えて…この先の人生が私達にとって幸せである事を、私は心から望んで居るわ─。
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