『恋愛短編集①』離縁を乗り越え、私は幸せになります──。

Nao*

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私より未亡人の美しきメイドを傍に置く事を選んだ夫と娘は、その後破滅の道を歩みました…。

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 この家に仕える美人メイドが未亡人になった。

 すると彼女を可愛がって居た夫と彼女を慕う娘は、彼女の事を大層気に掛けるように─。



 やがて、一人の家に帰るのも寂しいだろう…亡き義父が使って居た部屋が余って居るから、そこに越して来てはどうかなどと言い出した。



 するとメイドは、私も二人の傍に居たい…使用人としてももっと役に立つからなどと殊勝な事を言って見せた。

 だがそれから少しして、彼女は夫や娘と遊んでばかりで家の事は全て私に丸投げするように─。



 しかしそんな理不尽な目に遭って居る私を見ても、夫や娘は全く気にせず…それどころか、美しい彼女と地味な私を比較…何かと馬鹿にして来るように─。


 
 夫は事業が上手く行き義父の遺産を継いだ事で天狗になって居たし、娘は物心つき反抗的になって居たから仕方ないと絶えて居たが…メイドがそんな二人を煽る事でそれは益々酷くなり、私は我慢の限界を迎えようとして居た。



 そこで私は、夫や娘と話し合いの場を設ける事にしたが…二人はそんな私を鬱陶しいと言い、自分達のする事に文句があるならこの家を出て行けば良いと言った。



 驚く私に夫は、私よりも美人な彼女に妻になって貰いたいと思うようになったと言い…娘は、地味な私では無く美人の母親が欲しいと言い、揃ってもう私の事は要らないと言い出した。



 そしてそんな二人の言葉に、メイドも嬉しいと言って大喜び…それを見た私は自分だけ除け者にされたようで居た堪れなくなり、言われた通りこの家を出て行く事にした。



***



 その後…夫と娘はメイドと楽しく過ごして居たが…しかし、それもほんの僅かな間だった。
 
 と言うのも、実はメイドは多額の負債を抱えており…返済途中で夫が亡くなった為、彼女は残りを返す必要があった。

 だが彼女の金遣いの荒さは全く治らず、あの家に来てからも更に借金を重ねた。



 その上、彼女は元夫の事業資金や義父の遺産や娘の入学費用をこっそり使って居たようで…二人がそれらに気付いた時には、彼女のせいでその殆どを失って居た。



 結果、元夫の事業は立ち行かなくなったし…娘は、通いたかったお嬢様学校に入る事が出来なくなった。

 そこで漸く目が覚めた元夫は、彼女に責任を取らせるべく娼館に娼婦として売り飛ばしたが…それでも不足したお金は、自分がどうにかする羽目に─。



 すると元夫は知り合いに紹介された投資話に手を出し、一発逆転を目論んだが見事に失敗─。

 これで全てのお金を失い、その事が心労となり寝込んでしまった。


 
 すると娘は私を頼って来ようとしたが…実は彼女は私の本当の子では無く、亡き義父が自身の愛人に産ませた子供だった。

 その為、私にはもう彼女を育てる義務は無く…元夫同様あなたは赤の他人だからと拒否をした。

 全てを知った彼女は、自身の今後を想像し絶望の涙を流したが…私はそれを無視し、彼女と別れるのだった─。



 その後、メイドは娼婦として自由の無い辛い日々を送り…元夫は回復する事無く息を引き取り、その結果娘は孤児となり路頭に迷う事に─。


 
 だがその可愛さ故に悪い男達に目を付けられ、もう少し育ったらあのメイドが居る娼館に売られるともっぱらの噂だ。



 一方、私はと言うと…以前から仲が良かった父の知り合いのご子息と交際を始めて居た。

 彼は今まで事業が忙しく、私に長年の想いを告げられずに居たが…それも落ち着き、また私が離縁し実家に戻った事を機に思い切って告白してくれたのだった。


 
 優しく誠実な彼を私も気に入って居たし、思い切ってそれに応える事にしたが…彼は私を一途に愛してくれ、また将来の事も真面目に考えてくれ…彼のような人と一緒になったらと考えると私は幸せな気持ちになった。

 その後も、彼と彼との間に出来た子と温かい家庭を気付きたいと私は思うようになり…それが実現するのを、今から楽しみにして居るわ─。
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