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妻の私を愛し束縛する旦那様の本当の気持ちを、彼の妹がきっかけで知る事となりました。
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私の旦那様は、私の事をとても大切にしてくれている。
忙しい俺に代わり家を守って欲しい…というのは建前で、美しい君を他の男に取られないか心配だからそうしてくれ…とまで言ってくれる。
結婚した当初は、かなり嫉妬心の激しい方だと驚いたけど…こうして傍に居られるのは幸せな事─。
これが彼なりの愛の形なら、それでいいと思っていた。
あの子が、家に来るまでは─。
***
「この子は妹なんだが、暫くこの家で預かる事にした。君に面倒をかけるような事はしない、これまで通り過ごしてくれれば良い。」
そう夫に紹介された妹自身も、自分の事は自分ですると言うし…私の生活も変えなくていいと言うなら、特に断る理由はない。
だから、私はそれを了承した─。
しかしその日から、ある変化が見られるようになった。
私ではない、旦那様にだ。
今までお勤め意外の時間はほとんど家に居たのだが、それがなくなった。
旦那様は妹と連れ立って、頻繁に家を空けるようになった。
ご一緒しても良いかと聞いても、兄妹水入らずで過ごしたいと冷たく断られる。
妹も冷めた目で笑っているだけで、それを諫めようとはしない。
今のあなたは、私を愛しているから家から出さないんじゃない…二人で過ごすのに邪魔だから家から出したくない、そう変わってしまったという事─?
そんな想いを抱える中、私は偶然にもある物を見つけた─。
***
突然、俺の元から妻が消えた。
置き手紙には、家出するとあった。
「どうせすぐに帰って来る。あいつはずっと家に籠って居て知り合いも居ない…頼る相手は居ないんだ。」
「まぁ、それが狙いだったでしょう?お兄様があの人と結婚したのは、あの人が持ってた遺産が目当て。愛があるから束縛してたんじゃなく、常に家に置き監視したいから。あの人を自分だけしか見えないようにして孤立させた後に、その遺産を独り占めする…そうよね?」
「その通りだ。見ろ、この金庫にはあいつから預かった遺産が─な、ない!全て空っぽだ!」
焦った俺はすぐに妻の行方を捜したが、中々見つけられなかった。
しかしそれから少しして、血相を変えた男が部屋に飛び込んできた。
そしてそれは、妹の婚約者だった。
「婚約者の俺の元から逃げ出すとは…お前はもう俺の物だ、そんな勝手は許さん!」
「あ、あなたとは父の言いつけで仕方なく婚約しただけ…あなたみたいな束縛男嫌いよ!」
「あら…あなたのお兄様も、似たような事してたじゃない。」
***
「お、お前…遺産はどうした!?お前が持ってるんだろう!?」
「あなたが彼を連れて来たの!?何でこんな事するのよ!」
興奮し喚く二人に、私はある物を突き付けた。
「旦那様の古い日記よ。書斎に片づけられていたんだけど…偶然目に入ってね。中を見たら驚きよ、日々の出来事に混じり私と結婚した理由に目的…それから、妹との関係が赤裸々に書かれてるんだもの。いくら血の繋がりがないとは言え男女の関係ないるとは、世間的にはね…。だからこそ、あなたには彼という婚約者が用意された。」
「その俺から、勝手に離れやがって…。二度と逃げ出せないよう地下牢に閉じ込めてやる、来い!」
「嫌、離して…お兄様─!」
妹は婚約者に首根っこを掴まれ、引き摺られて行き…旦那様は、何も出来ずに見送った。
「金庫の番号が、まさかあなたたちが初めて結ばれた日付だったとはね。私、この日記と共にこれまでの事をあなたのお父様に話したわ。するとお父様は、あなたに大事な話があると仰ってましたよ。」
「あの厳格な父が、それを見ただって…?」
私の言葉に、旦那様は青い顔をしてその場に崩れ落ちた─。
その後…私と旦那様は、正式に離縁する事になった。
私はたっぷりと慰謝料を貰い、あの家を出たが…あの家は私の好きなようにして良いと彼の父に言われたので、何もかも売り払いお金に換えた。
そしてそのお金で、私はあの家より大きな家を手に入れ優雅に暮らして居る。
今では縁あってある名家の殿方と仲良くなり、将来を前提に交際する事になり…頻繁いしその家に招待して居るわ─。
この件で、旦那様はあの家の息子ではなくなった。
父親に縁を切られ、事業も弟に譲り渡すよう言われこの地を追放されたのだ。
二度と妹に会えないよう海を越えた先にある国へ行け、そこで一人生きろと言われて─。
私を偽りの愛で束縛した結果がこれだなんて…きっと罰が当たったのよ─。
忙しい俺に代わり家を守って欲しい…というのは建前で、美しい君を他の男に取られないか心配だからそうしてくれ…とまで言ってくれる。
結婚した当初は、かなり嫉妬心の激しい方だと驚いたけど…こうして傍に居られるのは幸せな事─。
これが彼なりの愛の形なら、それでいいと思っていた。
あの子が、家に来るまでは─。
***
「この子は妹なんだが、暫くこの家で預かる事にした。君に面倒をかけるような事はしない、これまで通り過ごしてくれれば良い。」
そう夫に紹介された妹自身も、自分の事は自分ですると言うし…私の生活も変えなくていいと言うなら、特に断る理由はない。
だから、私はそれを了承した─。
しかしその日から、ある変化が見られるようになった。
私ではない、旦那様にだ。
今までお勤め意外の時間はほとんど家に居たのだが、それがなくなった。
旦那様は妹と連れ立って、頻繁に家を空けるようになった。
ご一緒しても良いかと聞いても、兄妹水入らずで過ごしたいと冷たく断られる。
妹も冷めた目で笑っているだけで、それを諫めようとはしない。
今のあなたは、私を愛しているから家から出さないんじゃない…二人で過ごすのに邪魔だから家から出したくない、そう変わってしまったという事─?
そんな想いを抱える中、私は偶然にもある物を見つけた─。
***
突然、俺の元から妻が消えた。
置き手紙には、家出するとあった。
「どうせすぐに帰って来る。あいつはずっと家に籠って居て知り合いも居ない…頼る相手は居ないんだ。」
「まぁ、それが狙いだったでしょう?お兄様があの人と結婚したのは、あの人が持ってた遺産が目当て。愛があるから束縛してたんじゃなく、常に家に置き監視したいから。あの人を自分だけしか見えないようにして孤立させた後に、その遺産を独り占めする…そうよね?」
「その通りだ。見ろ、この金庫にはあいつから預かった遺産が─な、ない!全て空っぽだ!」
焦った俺はすぐに妻の行方を捜したが、中々見つけられなかった。
しかしそれから少しして、血相を変えた男が部屋に飛び込んできた。
そしてそれは、妹の婚約者だった。
「婚約者の俺の元から逃げ出すとは…お前はもう俺の物だ、そんな勝手は許さん!」
「あ、あなたとは父の言いつけで仕方なく婚約しただけ…あなたみたいな束縛男嫌いよ!」
「あら…あなたのお兄様も、似たような事してたじゃない。」
***
「お、お前…遺産はどうした!?お前が持ってるんだろう!?」
「あなたが彼を連れて来たの!?何でこんな事するのよ!」
興奮し喚く二人に、私はある物を突き付けた。
「旦那様の古い日記よ。書斎に片づけられていたんだけど…偶然目に入ってね。中を見たら驚きよ、日々の出来事に混じり私と結婚した理由に目的…それから、妹との関係が赤裸々に書かれてるんだもの。いくら血の繋がりがないとは言え男女の関係ないるとは、世間的にはね…。だからこそ、あなたには彼という婚約者が用意された。」
「その俺から、勝手に離れやがって…。二度と逃げ出せないよう地下牢に閉じ込めてやる、来い!」
「嫌、離して…お兄様─!」
妹は婚約者に首根っこを掴まれ、引き摺られて行き…旦那様は、何も出来ずに見送った。
「金庫の番号が、まさかあなたたちが初めて結ばれた日付だったとはね。私、この日記と共にこれまでの事をあなたのお父様に話したわ。するとお父様は、あなたに大事な話があると仰ってましたよ。」
「あの厳格な父が、それを見ただって…?」
私の言葉に、旦那様は青い顔をしてその場に崩れ落ちた─。
その後…私と旦那様は、正式に離縁する事になった。
私はたっぷりと慰謝料を貰い、あの家を出たが…あの家は私の好きなようにして良いと彼の父に言われたので、何もかも売り払いお金に換えた。
そしてそのお金で、私はあの家より大きな家を手に入れ優雅に暮らして居る。
今では縁あってある名家の殿方と仲良くなり、将来を前提に交際する事になり…頻繁いしその家に招待して居るわ─。
この件で、旦那様はあの家の息子ではなくなった。
父親に縁を切られ、事業も弟に譲り渡すよう言われこの地を追放されたのだ。
二度と妹に会えないよう海を越えた先にある国へ行け、そこで一人生きろと言われて─。
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