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妻となった私よりも使用人として付いて来た妹を愛する夫に、離縁を言い渡されました…。
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夫と私の妹が、二人で出かけようとしている。
それに気づいた私は、すぐに引き止めた。
しかし夫は、そんな私を鬱陶しそうに突き放した。
「五月蠅い、お前は家の掃除でもしてろ!妻の役目をサボるな!」
「いやねぇお姉様…掃除もまともにできないんじゃ、妻失格よ?でもそれならそれで早く彼と別れてよ?そしたら、私が彼の妻になるのに。」
するとそんな発言をした妹に、夫は笑みを浮かべこう言った。
「気持ちの上では、とっくにあの女よりも君の方を愛しているし大事に想っているよ。」
「まぁ、嬉しい!」
そして夫と妹は、腕を組み家を出て行った。
きっと、今夜はもう帰って来ないわね…。
あなたと結婚し妻に迎えられたのは、この私なのに…なのにどうして、妹ばかり愛され大事にされるの?
妹は私の付き人…使用人として付いてきただけなのに─。
***
「…お姉様との結婚は、あなたの望みではなかったのよね?」
「あぁ。父が、事業を拡大するにはあの女と結婚するのが一番の近道と言ってな…。当時付き合って居た女と、無理やり別れさせて─。」
「まさか、その女に未練が!?」
「いや、今となってはもうどうでもいい。君の方が、可愛くて魅力的だからな。」
「ウフフ、そうよね!けど同じ家の娘なんだから、何も地味なお姉様を選ぶ事ないのに…。あなたのお父様も意地悪ね!でももう亡くなったでしょう?だったら言いなりになって、お姉様との結婚を継続してなくてもいいじゃない。早く別れて、私をあなたの妻にしてよ!」
そうだな…もう邪魔な父は居ないんだ。
俺の自由にして何が悪い─。
「…そういう訳でな、お前とはいい加減離縁させてくれ。どうせ周りの者も誰もお前を妻と思ってない。この妹を妻と思ってるんだし、いいじゃないか。」
「お姉様も、こんな惨めな生活は嫌でしょう?だったら今すぐ身を引きなさいよ!」
俺たち二人に詰め寄られ、あいつは静かに頷いた。
そして少ない荷物を持ち、実家へと帰って行った。
これで邪魔者は去った、明日から俺たちは二人きり…存分に愛し合える─!
そう思って居たのに…事態は一変した。
彼女の実家が、今後俺の事業に一切協力しない…資金は出さないと言って来たのだ。
しかも、今出ている商品の販売を許可しないとまで…。
これは非常にマズい事になった。
俺は、大慌てで元妻のあいつの元に走った─。
***
「…い、一体どういう事なんだ!?」
「あれは私が発案した商品で、その権利は私にありますからね。それに離縁した事で、あなたは私の家とも縁が切れた…協力する義理はないわ。」
「だが俺の元に居るのは…いずれ妻になるのは、お前の妹だぞ!」
「妹ね…。あの子が妹でありながら、どうして使用人という立場で付いてきたか…そしてあなたのお父様が、何故あの子を選ばなかったかあなたは考えた事ないの?」
「それは、お前の意地悪で使用人にさせられたとあの子が…。父の考えは俺には─」
「あの子は男遊びが派手で、家のお金を使い込んだ過去がある。その罰として、使った分のお金を自分で働いて返すよう父に言われた。でも余りに使えないから、まずは私の使用人として働かせる事にしたの。ところが、私を裏切りあなたと不貞を犯し─。これには父も大変お怒りです、もうあんな女は自分の娘と思わないと。だから、このような処遇を─。」
「そ、そんな…。」
「今思えば、あなたと妹はお似合いね。異性にだらしなくて、浅はかで…自分たちのした事がどんな結果を呼び込むか想像できない、愚か者同士だわ。」
「た、頼む…お前から父親に頼んでくれ!」
「無理よ、私以上に父は怒っているの。もう二度とあなたたちの顔を見たくないって…。あなた、早く帰った方が良いわよ?妹の事だもの、あなたが留守にしてるのを良い事に、今頃あなたの家のお金を好き勝手使い豪遊してるわ。」
彼は真っ青になり、慌てて自分の家へと戻って行った。
そしてその結果は…私の言葉通りとなった。
事業が大変な事になっている事も知らず羽を伸ばした妹が、彼の財産の半分を既に使ってしまっていたのだ。
すると、それが影響したのだろう。
ただでさえ資金不足となり傾きかけた彼の事業は、破産する事となった。
妹が使った分のお金が残っていれば、この危機を何とか乗り越えられたかもしれないのにねぇ…。
そしてこれが元で、彼と妹の仲は拗れ大変な事になっているそうだ。
するとそれから暫くし、私を捨てあんな女を選んでしまった事を後悔していると元夫から手紙が来たが…そんなの私にはどうでも良いの。
今更何を言ったって、もう私の愛は取り戻せないわ。
だって私はもう別の殿方の妻に迎えられる事が約束され、その方に愛され大事にされて居るのだから─。
それに気づいた私は、すぐに引き止めた。
しかし夫は、そんな私を鬱陶しそうに突き放した。
「五月蠅い、お前は家の掃除でもしてろ!妻の役目をサボるな!」
「いやねぇお姉様…掃除もまともにできないんじゃ、妻失格よ?でもそれならそれで早く彼と別れてよ?そしたら、私が彼の妻になるのに。」
するとそんな発言をした妹に、夫は笑みを浮かべこう言った。
「気持ちの上では、とっくにあの女よりも君の方を愛しているし大事に想っているよ。」
「まぁ、嬉しい!」
そして夫と妹は、腕を組み家を出て行った。
きっと、今夜はもう帰って来ないわね…。
あなたと結婚し妻に迎えられたのは、この私なのに…なのにどうして、妹ばかり愛され大事にされるの?
妹は私の付き人…使用人として付いてきただけなのに─。
***
「…お姉様との結婚は、あなたの望みではなかったのよね?」
「あぁ。父が、事業を拡大するにはあの女と結婚するのが一番の近道と言ってな…。当時付き合って居た女と、無理やり別れさせて─。」
「まさか、その女に未練が!?」
「いや、今となってはもうどうでもいい。君の方が、可愛くて魅力的だからな。」
「ウフフ、そうよね!けど同じ家の娘なんだから、何も地味なお姉様を選ぶ事ないのに…。あなたのお父様も意地悪ね!でももう亡くなったでしょう?だったら言いなりになって、お姉様との結婚を継続してなくてもいいじゃない。早く別れて、私をあなたの妻にしてよ!」
そうだな…もう邪魔な父は居ないんだ。
俺の自由にして何が悪い─。
「…そういう訳でな、お前とはいい加減離縁させてくれ。どうせ周りの者も誰もお前を妻と思ってない。この妹を妻と思ってるんだし、いいじゃないか。」
「お姉様も、こんな惨めな生活は嫌でしょう?だったら今すぐ身を引きなさいよ!」
俺たち二人に詰め寄られ、あいつは静かに頷いた。
そして少ない荷物を持ち、実家へと帰って行った。
これで邪魔者は去った、明日から俺たちは二人きり…存分に愛し合える─!
そう思って居たのに…事態は一変した。
彼女の実家が、今後俺の事業に一切協力しない…資金は出さないと言って来たのだ。
しかも、今出ている商品の販売を許可しないとまで…。
これは非常にマズい事になった。
俺は、大慌てで元妻のあいつの元に走った─。
***
「…い、一体どういう事なんだ!?」
「あれは私が発案した商品で、その権利は私にありますからね。それに離縁した事で、あなたは私の家とも縁が切れた…協力する義理はないわ。」
「だが俺の元に居るのは…いずれ妻になるのは、お前の妹だぞ!」
「妹ね…。あの子が妹でありながら、どうして使用人という立場で付いてきたか…そしてあなたのお父様が、何故あの子を選ばなかったかあなたは考えた事ないの?」
「それは、お前の意地悪で使用人にさせられたとあの子が…。父の考えは俺には─」
「あの子は男遊びが派手で、家のお金を使い込んだ過去がある。その罰として、使った分のお金を自分で働いて返すよう父に言われた。でも余りに使えないから、まずは私の使用人として働かせる事にしたの。ところが、私を裏切りあなたと不貞を犯し─。これには父も大変お怒りです、もうあんな女は自分の娘と思わないと。だから、このような処遇を─。」
「そ、そんな…。」
「今思えば、あなたと妹はお似合いね。異性にだらしなくて、浅はかで…自分たちのした事がどんな結果を呼び込むか想像できない、愚か者同士だわ。」
「た、頼む…お前から父親に頼んでくれ!」
「無理よ、私以上に父は怒っているの。もう二度とあなたたちの顔を見たくないって…。あなた、早く帰った方が良いわよ?妹の事だもの、あなたが留守にしてるのを良い事に、今頃あなたの家のお金を好き勝手使い豪遊してるわ。」
彼は真っ青になり、慌てて自分の家へと戻って行った。
そしてその結果は…私の言葉通りとなった。
事業が大変な事になっている事も知らず羽を伸ばした妹が、彼の財産の半分を既に使ってしまっていたのだ。
すると、それが影響したのだろう。
ただでさえ資金不足となり傾きかけた彼の事業は、破産する事となった。
妹が使った分のお金が残っていれば、この危機を何とか乗り越えられたかもしれないのにねぇ…。
そしてこれが元で、彼と妹の仲は拗れ大変な事になっているそうだ。
するとそれから暫くし、私を捨てあんな女を選んでしまった事を後悔していると元夫から手紙が来たが…そんなの私にはどうでも良いの。
今更何を言ったって、もう私の愛は取り戻せないわ。
だって私はもう別の殿方の妻に迎えられる事が約束され、その方に愛され大事にされて居るのだから─。
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