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侍女と浮気を楽しむ旦那様ですが、私の正体を知ると同時に不幸に墜ちるのでした。
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私に興味がない旦那様は、今日も相変わらず侍女に夢中だ。
「でも旦那様には、奥様が─」
「あいつは気にせず放っておけばいい。どうせ家に籠り暇してるんだから…。そんな事より、早く俺と良い事をしようじゃないか─。」
旦那様が言うように、外にも出ず家に引き籠ってばかりの私。
そんな私に、旦那様はすっかり興味をなくした。
元々地味だの暗いだの、良い印象を持ってはいなかったようだけれどね。
でもだからって、浮気をして良い事にはならないわ。
それに私がこう言う女だという事は、結婚前に通達があったはず。
あなたはそれを了承した上で、私を妻にしたんでしょう─?
そんなある日の事…私は、大事な話があると旦那様に呼び出された。
「お前との結婚生活はつまらない、もう俺と別れてくれ。今すぐこの家を出て行ってくれ。」
「…私を追い出すと言う事ですか?」
「あぁ。俺は侍女である彼女を妻に迎えたい、それにはお前が邪魔だ。」
「旦那様…私を妻に迎えるに当たり言われた事、覚えてないのですか?」
「城の使者から何やら説明はあったが…丁度ちょうど彼女が家に来た所だったし…ろくに聞かずに、書状にもサインをしたな。」
「では…その頃から既に、あなたは彼女に夢中だったと?」
「侍女に仕事を教えてやろうとする、優しい主人と言え!あぁもう…そんな昔の話は辞めだ。良いから早く荷物をまとめろ!」
「…分かりました。では私、お城に戻りますね。」
「戻るって…お前は、城を追い出された元聖女だろう?」
「追い出されたのではなく、逃がして貰ったのです。王子の妃候補の女が私を虐め、聖女の力を奪おうとしたから─。」
「そ、そうだったか…?でもそれが本当なら、何で今更城に戻るんだ。」
「その娘が婚約破棄により追放、私に何も危害を加える事が出来なくなったからです。私、嬉しかったんですよ…行き場のない私を、妻に貰って下さる方が居ると言われて─。しかも聖女の仕事を理解し、祈りを捧げる場を与えて下さる方だとも言われました。まぁ…実際は違いましたけどね。」
「じゃあ、お前が引き籠ってたのは…!」
「聖女としての務めを果たしていただけです。だけど一緒にご飯を食べたり、夜にお話しする時間はいくらでもあったでしょう?なのにあなたは、いつも彼女とべったりで…。」
「いや、それは…。」
「では、もう行きます。今のお城には妃候補は勿論もちろん、それに手を打つ事なく…むしろ加担していた王子も居ません。代わりに城に居るのは弟の第二王子─。彼は以前から、あなたに愛されない私を憐れんで再び聖女として城に置こうと提案してくれていて…私は、是非その話をお受けします。」
「何だって!?」
「王子は、聖女を大事にしないあなたに大層お怒りです。浮気という汚らわしいもので、私の神気を穢けがすとは何事だとも。このまま私が城に戻れば、あなたにはきっと重い罰が待って居るでしょう。」
「ま、待ってくれ!この女とはもう別れる!だから城には行くな!」
「だ、旦那様…あんまりです!私を一生愛すと、神に誓ったでしょう!?」
「黙れ!なぁ、頼むから─」
「神への誓いを破るなど…あなた、自ら罪を重くしてしまいましたね?神はそんなあなたを見捨てました、故に私もあなたを救いません─。」
「そ、そんな─!」
結局私は城に戻り…その後、旦那様は財産を全て没収された。
私に使うようにと城から渡されたお金を、全て侍女の為に遣い豪遊していた事が発覚…その返済もあって、こんな重い罰を受けたのだ。
更に、二人はこの国を追放される事に─。
元々不倫には厳しく、罰金や追放は当たり前の国だ。
彼らも例外ではなかった。
一方、城に戻った私は聖女として復帰を果たした。
以前のように、再びこの国の為に祈るという事だったが…最近になり、第二王子に妃になって欲しいと告げられた。
私は一度は結婚したが、この身は未だ清いまま─。
その事が、逆に王子と結ばれる事を許される理由になったのだ。
この先、私はこの身も心も全て王子に捧げるわ…。
そしてその時こそ、私は永遠の愛を手にする事が出来るでしょう─。
「でも旦那様には、奥様が─」
「あいつは気にせず放っておけばいい。どうせ家に籠り暇してるんだから…。そんな事より、早く俺と良い事をしようじゃないか─。」
旦那様が言うように、外にも出ず家に引き籠ってばかりの私。
そんな私に、旦那様はすっかり興味をなくした。
元々地味だの暗いだの、良い印象を持ってはいなかったようだけれどね。
でもだからって、浮気をして良い事にはならないわ。
それに私がこう言う女だという事は、結婚前に通達があったはず。
あなたはそれを了承した上で、私を妻にしたんでしょう─?
そんなある日の事…私は、大事な話があると旦那様に呼び出された。
「お前との結婚生活はつまらない、もう俺と別れてくれ。今すぐこの家を出て行ってくれ。」
「…私を追い出すと言う事ですか?」
「あぁ。俺は侍女である彼女を妻に迎えたい、それにはお前が邪魔だ。」
「旦那様…私を妻に迎えるに当たり言われた事、覚えてないのですか?」
「城の使者から何やら説明はあったが…丁度ちょうど彼女が家に来た所だったし…ろくに聞かずに、書状にもサインをしたな。」
「では…その頃から既に、あなたは彼女に夢中だったと?」
「侍女に仕事を教えてやろうとする、優しい主人と言え!あぁもう…そんな昔の話は辞めだ。良いから早く荷物をまとめろ!」
「…分かりました。では私、お城に戻りますね。」
「戻るって…お前は、城を追い出された元聖女だろう?」
「追い出されたのではなく、逃がして貰ったのです。王子の妃候補の女が私を虐め、聖女の力を奪おうとしたから─。」
「そ、そうだったか…?でもそれが本当なら、何で今更城に戻るんだ。」
「その娘が婚約破棄により追放、私に何も危害を加える事が出来なくなったからです。私、嬉しかったんですよ…行き場のない私を、妻に貰って下さる方が居ると言われて─。しかも聖女の仕事を理解し、祈りを捧げる場を与えて下さる方だとも言われました。まぁ…実際は違いましたけどね。」
「じゃあ、お前が引き籠ってたのは…!」
「聖女としての務めを果たしていただけです。だけど一緒にご飯を食べたり、夜にお話しする時間はいくらでもあったでしょう?なのにあなたは、いつも彼女とべったりで…。」
「いや、それは…。」
「では、もう行きます。今のお城には妃候補は勿論もちろん、それに手を打つ事なく…むしろ加担していた王子も居ません。代わりに城に居るのは弟の第二王子─。彼は以前から、あなたに愛されない私を憐れんで再び聖女として城に置こうと提案してくれていて…私は、是非その話をお受けします。」
「何だって!?」
「王子は、聖女を大事にしないあなたに大層お怒りです。浮気という汚らわしいもので、私の神気を穢けがすとは何事だとも。このまま私が城に戻れば、あなたにはきっと重い罰が待って居るでしょう。」
「ま、待ってくれ!この女とはもう別れる!だから城には行くな!」
「だ、旦那様…あんまりです!私を一生愛すと、神に誓ったでしょう!?」
「黙れ!なぁ、頼むから─」
「神への誓いを破るなど…あなた、自ら罪を重くしてしまいましたね?神はそんなあなたを見捨てました、故に私もあなたを救いません─。」
「そ、そんな─!」
結局私は城に戻り…その後、旦那様は財産を全て没収された。
私に使うようにと城から渡されたお金を、全て侍女の為に遣い豪遊していた事が発覚…その返済もあって、こんな重い罰を受けたのだ。
更に、二人はこの国を追放される事に─。
元々不倫には厳しく、罰金や追放は当たり前の国だ。
彼らも例外ではなかった。
一方、城に戻った私は聖女として復帰を果たした。
以前のように、再びこの国の為に祈るという事だったが…最近になり、第二王子に妃になって欲しいと告げられた。
私は一度は結婚したが、この身は未だ清いまま─。
その事が、逆に王子と結ばれる事を許される理由になったのだ。
この先、私はこの身も心も全て王子に捧げるわ…。
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