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夫が愛人を作った挙句その世話まで私に命じるので、正体を明かし離縁する事にしました。
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現在の状況に震える私の夫と、戸惑う愛人─。
今更、そんな反応をしたって遅いわよ…。
全ての事の始まりは、今から三ヶ月程前だった─。
「素敵なお家、本当にここに住んでいいの?」
「もちろんだよ、君の部屋も用意してある。君の世話は妻がやるから大丈夫だ。おいお前…しっかり彼女に尽くせよ?」
「えぇ、この地味な女があなたの妻!?美形のあなたには勿体ないわね!ちょっとあなた…私を大事にしないなら、罰として居荒れに家から追い出されるわよ!」
ある日夫が、突然一人の美しい娘を連れて来た。
そしてそれは、彼の愛人だった。
私に隠れ愛人を作り、何の断りも無く家に連れ込むなど…しかも、その世話をしろだ何て─。
それからは、地獄の様な日々だった。
彼女は気まぐれで我儘で、自分の思い通りにならないとすぐ私に暴力をふるう。
それを見ている夫は止める事もせず…それどころか、面白がって自分まで参加してくる始末だ。
そんな事が毎日続き…私は、ついに我慢の限界が来た。
こんな夫はもう嫌、こんな女など大嫌い。
私を、一体誰だと思って居るの─!?
***
「お、男だったら、愛人の一人や二人居てもおかしくないでしょう?おいお前…これは夫婦の問題なんだから、そんなこと親に相談するな!」
「そうよ、陰湿な女ね!」
「黙りなさい。これは、もう夫婦間の問題では済まないのです。」
「ど、どういう事だ?」
「私の娘はな、王に命じられこの国の南の土地を守る聖女の役目を負って居るんだ。そして私は、娘の働きにより王に感謝され城勤めをさせて貰って居る。強欲で野心家のお前には内緒にし、平民だと言ってきたが…私たちは、お前が考えているより立派な立場にあるんだ。」
父の言葉に、夫の顔色がサアッと変わり、愛人はぽかんと口を開けている。
「それに引き換えお前ときたら…領主の癖にその仕事をサボり、愛人などに現を抜かしおって。しかも、その世話をこの子にやらせるなど、とんでもない!」
「そ、それはその…。」
「しかもあなたは、領民が治めた金をその愛人の為に使って居ますね?証拠はもう揃ってるんですから!」
私と父の追及に、夫はガクガク震えもう何も言えなくなってしまった。
「この件は、城の王に報告させて貰った。お前は近く、領主の座を退く事になる。いや…その上その愛人と共に、この地から追放されるかもしれんな。」
「そ、そんな!」
「ですからそうなる前に、私とはきちんと離縁して貰いますよ。浮気と私に暴力を働いた慰謝料も払って貰いますから、覚悟して下さい!」
私と父を前に、夫は崩れ落ち…愛人はその姿を呆然と眺めるのだった─。
その後…父の言葉通り、王の命で元夫は領主の座から退き、愛人を連れてこの地を出て行く事になった。
そんな彼らが向かう事になったのは、この国の南にある砂漠が広がる土地だ。
そこは私の加護も届かない土地で…別名、死の砂漠と言われている。
そんな所に行かされるなんて、二人の命はすぐに終わりを迎えて…。
まぁ、離縁した私には関係のない話だけれどね。
私はあれから南の神殿に向かい、そこで聖女として過ごしている。
すると王から私を守る為だと、とある騎士様を付けて頂き…最近になり、その彼と結婚を前提にお付き合いをする事となった。
彼はあの男とは違い、私の事を一番に考えてくれる、誠実で真面目な人だ。
この彼ならば、公私共に信頼のおける…そして、私を支えてくれる人になってくれるに違いない。
あの時…あの男を捨てる決断をして良かった、あの女を許さなくて良かったわ。
その選択のおかげで、今のこの幸せを掴む事だ出来たのだから─。
今更、そんな反応をしたって遅いわよ…。
全ての事の始まりは、今から三ヶ月程前だった─。
「素敵なお家、本当にここに住んでいいの?」
「もちろんだよ、君の部屋も用意してある。君の世話は妻がやるから大丈夫だ。おいお前…しっかり彼女に尽くせよ?」
「えぇ、この地味な女があなたの妻!?美形のあなたには勿体ないわね!ちょっとあなた…私を大事にしないなら、罰として居荒れに家から追い出されるわよ!」
ある日夫が、突然一人の美しい娘を連れて来た。
そしてそれは、彼の愛人だった。
私に隠れ愛人を作り、何の断りも無く家に連れ込むなど…しかも、その世話をしろだ何て─。
それからは、地獄の様な日々だった。
彼女は気まぐれで我儘で、自分の思い通りにならないとすぐ私に暴力をふるう。
それを見ている夫は止める事もせず…それどころか、面白がって自分まで参加してくる始末だ。
そんな事が毎日続き…私は、ついに我慢の限界が来た。
こんな夫はもう嫌、こんな女など大嫌い。
私を、一体誰だと思って居るの─!?
***
「お、男だったら、愛人の一人や二人居てもおかしくないでしょう?おいお前…これは夫婦の問題なんだから、そんなこと親に相談するな!」
「そうよ、陰湿な女ね!」
「黙りなさい。これは、もう夫婦間の問題では済まないのです。」
「ど、どういう事だ?」
「私の娘はな、王に命じられこの国の南の土地を守る聖女の役目を負って居るんだ。そして私は、娘の働きにより王に感謝され城勤めをさせて貰って居る。強欲で野心家のお前には内緒にし、平民だと言ってきたが…私たちは、お前が考えているより立派な立場にあるんだ。」
父の言葉に、夫の顔色がサアッと変わり、愛人はぽかんと口を開けている。
「それに引き換えお前ときたら…領主の癖にその仕事をサボり、愛人などに現を抜かしおって。しかも、その世話をこの子にやらせるなど、とんでもない!」
「そ、それはその…。」
「しかもあなたは、領民が治めた金をその愛人の為に使って居ますね?証拠はもう揃ってるんですから!」
私と父の追及に、夫はガクガク震えもう何も言えなくなってしまった。
「この件は、城の王に報告させて貰った。お前は近く、領主の座を退く事になる。いや…その上その愛人と共に、この地から追放されるかもしれんな。」
「そ、そんな!」
「ですからそうなる前に、私とはきちんと離縁して貰いますよ。浮気と私に暴力を働いた慰謝料も払って貰いますから、覚悟して下さい!」
私と父を前に、夫は崩れ落ち…愛人はその姿を呆然と眺めるのだった─。
その後…父の言葉通り、王の命で元夫は領主の座から退き、愛人を連れてこの地を出て行く事になった。
そんな彼らが向かう事になったのは、この国の南にある砂漠が広がる土地だ。
そこは私の加護も届かない土地で…別名、死の砂漠と言われている。
そんな所に行かされるなんて、二人の命はすぐに終わりを迎えて…。
まぁ、離縁した私には関係のない話だけれどね。
私はあれから南の神殿に向かい、そこで聖女として過ごしている。
すると王から私を守る為だと、とある騎士様を付けて頂き…最近になり、その彼と結婚を前提にお付き合いをする事となった。
彼はあの男とは違い、私の事を一番に考えてくれる、誠実で真面目な人だ。
この彼ならば、公私共に信頼のおける…そして、私を支えてくれる人になってくれるに違いない。
あの時…あの男を捨てる決断をして良かった、あの女を許さなくて良かったわ。
その選択のおかげで、今のこの幸せを掴む事だ出来たのだから─。
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