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「でもダミアン、いつになったら私を奥さんにしてくれるの?」

「あと少しだ。父から継いだ事業が完全に軌道に乗るには、まだもう少しだけ時間が必要なんだ。実は今、隣国で大きな契約を結べそうで……それが上手く行ったら、俺はあの地でも一番の金持ちになれるんだ。そうなったら、妻のエリザベスにはちゃんと離縁を言い渡す。あいつは、父の命で仕方なく婚約を受け入れただけの女だからな……愛など微塵も無いのさ。」

「だと思った。あんな地味で色気のない女、あなたが好きになる訳ないものね。あなたは、私みたいに顔が可愛くて……でも、豊満な身体を持った女が大好きだものね?」

 そう言って、ミラージュは自身の自慢の胸に俺の顔を押し付けた。



 あぁ、そうだ……。

 俺はの好みの女は、このミラージュそのものだ。



 でも俺の父親ときたら、いきなりミラージュとの婚約は取り止めだと言って来て──。

 逆らった俺が彼女の元に行ってみたら、既にそこにミラージュの姿は無く……俺達はそのまま別れ別れになってしまった。

 

 その後も彼女の行方を探ろうとする俺を、何か事情を知って居るであろう父はあの女の事とはもう忘れろと何かと邪魔して来て……俺に色々と事業を手伝わせ時間を奪い、挙句にエリザベスなどと言う地味で何の色気も無いつまらぬ女を寄こしうやむやにして──。

 

 エリザベスは名家の娘で頭は良いと言うが、俺にとっては真面目過ぎて何の面白みも無い女に過ぎなかった。



 だが……厳しい父にこれ以上五月蠅く小言を言われるのは鬱陶しかったから、大人しく言う事を聞いてやったがな。

 

 まあ……エリザベスと結婚する事になっても、他所で愛人を作れば欲は発散する事が出来るし……酒でも飲んで酔っ払えば抱けない事も無し、ここは一つ俺が折れてやろう。

 そう、思って居たが……結婚後に、またミラージュと再会出来るとは思わなかった。



 ミラージュは自身が消えた理由について、自身の父親の一方的な命令によって辺境の地に身を置いて居たと言い……あなたには悪い事をした、でもずっとあなたに会いたかった……今でも俺を愛して居ると言ってくれたのだ。



 そしてその言葉を聞いた瞬間……抑えて居た俺の彼女への想いは、一気に爆発した。

 今俺はエリザベスと言う妻が居る身で、父もまだ健在だ。

 彼女との関係がバレたら、何かと面倒な事になる。

 でも、彼女もこれ程までに俺を想ってくれて居たんだ。

 もう俺は、自分の気持ちを我慢しないぞ──!



 そうして再び彼女と会うようになり、父が死ぬとすぐ身体の関係まで持つようになったが……俺は、何一つ後悔はして居ない。

 彼女も、あいつに直談判しに行くほど俺の妻になりたがってくれて居るしな……エリザベスとは、早い所離縁してしまわねば。

 そして俺は、愛するミラージュと新たな人生を歩むんだ──!
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