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私を裏切り捨てた王子に、愛の代わりに憎しみを捧げる事に致します。
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私は強い魔力を持って居た事で、王子の婚約者に選ばれた。
しかし王子は、魔力以外は冴えない地味な私を愛そうとはせず…お忍びで城下に出ては、女遊びに勤しんで居た。
やがて王子は…その中でもとびきり美人の女を城に連れて来て、愛人として囲う様になった。
王が体調を崩し城を任された途端、何て事を─。
私は、王子のこの行動が…裏切りが許せなかった。
しかしそんな私の気持ちに関係なく、王子と愛人の仲は更に深まり…やがて王子は、私ではなく彼女を婚約者にしたいと考える様に─。
「お前は強い魔力を持って居るが…俺や彼女だって、中々の魔力を持って居る。そもそも魔力など、魔道具を使えばいくらでも強くする事が出来るだろう?」
「確かにそうかも知れませんが…でも、私は特別で─」
「俺は魔力よりも美しい容姿の方が重要なんだよ!父はそうは考えなかった様だが…病で臥せって居る今、俺が何をしようと文句は言えないからな。」
そして王子は…もう私の事は要らない、さっさと城から出て行けと、追放を命じるのだった。
「そうだ…どうせなら、最後に俺と彼女に祝福の言葉でもかけから消えるがいい。俺の新たな幸せを一番に祝えるなど、実に名誉な事だからな。」
そう言って意地悪く笑う王子に…私の彼への愛は、完全に冷めてしまった。
それどころか、彼の事が憎らしくて堪らない。
こんな人の為に、魔力が更に強くなるよう…そして婚約者として恥じない女性となるべく努力してきた何て─。
その上で祝福の言葉を贈れとは、何て酷い侮辱なの!?
このまま言いなりになるなど、そんな屈辱的な事は絶対に嫌よ!
でもそれを断ったら…きっと彼は自分の立場を利用し、私に酷い罰を与えるはず─。
あれこれ考える私を王子は無視し、愛人を傍に呼ぶと…再度私に、祝福の言葉を求めて来た。
そこで私は…悩んだ末、祝福と言う名の呪いを二人にかける事を決めた。
祝福の言葉の中に、不幸を招くと言う闇魔法の呪文をひっそりと組み込ませたのだ。
「…以上が、私からの祝福の言葉です。と同時に…二人が幸せになれる魔法をかけておきました。」
「一部言葉が聞き取れなかったのは、俺の気のせいか?」
「えぇ…私は普通にお祝いを述べただけです。では、私はもうここを去りますね。」
そして私は、祝福と言う名の呪いをかけられ呑気に笑う二人の前から姿を消したのだった─。
それから一週間後─。
そんな魔法をかけられた王子と愛人は、その身に次々と不幸が舞い込む事に─。
そしてそれは、私がかけた闇魔法…しかも古代魔法によるものだったが…古代魔法は強い魔力を要する事から私だけしか使えない為、その原因が私である事は分からないままだった。
結果、王子と愛人は城に…いずれこの国にも不幸を招く者だと恐れられる様になってしまった。
しかも王が全快なされた事で、そんな身になった挙句に私を一方的に城から追い出した事がバレてしまった王子は…罰として次期王の座を弟君に譲り、愛人と共に国外追放される羽目に─。
そして泣く泣く城を出て行く王子と、私は門の所で鉢合わせた。
すると私を見た王子は、不服そうに文句を垂れた。
「どうして俺達が出て行かされるのに、お前が城に戻って来るんだ!?王は俺よりお前の方が、そんなに大事だと言うのか!?」
「それはそうですよ…彼女は光魔法で、王を病から救ったんですから─。」
そんな私を庇ってくれたのは、留学先の隣国から戻ったばかりの弟君だった。
「彼女は城を去る前、機転を利かし王に光魔法をかけてくれた。彼女はその魔力の強さ故、光魔法も闇魔法も両方使える…そんな人物は、この国に彼女以外居ませんよ。魔道具を用いても難しい事なのに…なのにそんな彼女を捨ててしまうなど、兄上は本当に愚かです。ですが…彼女の事は俺が幸せにしますから、どうぞ安心して下さい。」
「幸せにって…こいつが戻って来たのは─」
「私は弟君の婚約者に選ばれたのです。私の魔力は、やはり王族とこの国には必要だそうで…何より弟君は、私を一人の女性として傍に置きたいと仰ってくれました。」
「俺が留学して居たのは、彼女に釣り合うような強い魔力を持つ為です。俺はずっと前から、彼女の事が好きでしたから…兄上が彼女を大事にしないのなら、その分俺が彼女を大事にします。」
その言葉を聞いた王子は、ガクリと肩を落とし城を去って行った─。
二人にかけた闇魔法は、私が死ぬまで解ける事は無い。
古代魔法の呪文など、他に知る者も居ないから…二人には一生不幸が付きまとうわね。
でもそれもこれも、捨てようとする女に祝福の言葉など求めたあなたが悪いのよ─。
弟君に手を引かれながら…私は次第に小さくなる王子の背中に、心の中で永遠の別れを告げた─。
しかし王子は、魔力以外は冴えない地味な私を愛そうとはせず…お忍びで城下に出ては、女遊びに勤しんで居た。
やがて王子は…その中でもとびきり美人の女を城に連れて来て、愛人として囲う様になった。
王が体調を崩し城を任された途端、何て事を─。
私は、王子のこの行動が…裏切りが許せなかった。
しかしそんな私の気持ちに関係なく、王子と愛人の仲は更に深まり…やがて王子は、私ではなく彼女を婚約者にしたいと考える様に─。
「お前は強い魔力を持って居るが…俺や彼女だって、中々の魔力を持って居る。そもそも魔力など、魔道具を使えばいくらでも強くする事が出来るだろう?」
「確かにそうかも知れませんが…でも、私は特別で─」
「俺は魔力よりも美しい容姿の方が重要なんだよ!父はそうは考えなかった様だが…病で臥せって居る今、俺が何をしようと文句は言えないからな。」
そして王子は…もう私の事は要らない、さっさと城から出て行けと、追放を命じるのだった。
「そうだ…どうせなら、最後に俺と彼女に祝福の言葉でもかけから消えるがいい。俺の新たな幸せを一番に祝えるなど、実に名誉な事だからな。」
そう言って意地悪く笑う王子に…私の彼への愛は、完全に冷めてしまった。
それどころか、彼の事が憎らしくて堪らない。
こんな人の為に、魔力が更に強くなるよう…そして婚約者として恥じない女性となるべく努力してきた何て─。
その上で祝福の言葉を贈れとは、何て酷い侮辱なの!?
このまま言いなりになるなど、そんな屈辱的な事は絶対に嫌よ!
でもそれを断ったら…きっと彼は自分の立場を利用し、私に酷い罰を与えるはず─。
あれこれ考える私を王子は無視し、愛人を傍に呼ぶと…再度私に、祝福の言葉を求めて来た。
そこで私は…悩んだ末、祝福と言う名の呪いを二人にかける事を決めた。
祝福の言葉の中に、不幸を招くと言う闇魔法の呪文をひっそりと組み込ませたのだ。
「…以上が、私からの祝福の言葉です。と同時に…二人が幸せになれる魔法をかけておきました。」
「一部言葉が聞き取れなかったのは、俺の気のせいか?」
「えぇ…私は普通にお祝いを述べただけです。では、私はもうここを去りますね。」
そして私は、祝福と言う名の呪いをかけられ呑気に笑う二人の前から姿を消したのだった─。
それから一週間後─。
そんな魔法をかけられた王子と愛人は、その身に次々と不幸が舞い込む事に─。
そしてそれは、私がかけた闇魔法…しかも古代魔法によるものだったが…古代魔法は強い魔力を要する事から私だけしか使えない為、その原因が私である事は分からないままだった。
結果、王子と愛人は城に…いずれこの国にも不幸を招く者だと恐れられる様になってしまった。
しかも王が全快なされた事で、そんな身になった挙句に私を一方的に城から追い出した事がバレてしまった王子は…罰として次期王の座を弟君に譲り、愛人と共に国外追放される羽目に─。
そして泣く泣く城を出て行く王子と、私は門の所で鉢合わせた。
すると私を見た王子は、不服そうに文句を垂れた。
「どうして俺達が出て行かされるのに、お前が城に戻って来るんだ!?王は俺よりお前の方が、そんなに大事だと言うのか!?」
「それはそうですよ…彼女は光魔法で、王を病から救ったんですから─。」
そんな私を庇ってくれたのは、留学先の隣国から戻ったばかりの弟君だった。
「彼女は城を去る前、機転を利かし王に光魔法をかけてくれた。彼女はその魔力の強さ故、光魔法も闇魔法も両方使える…そんな人物は、この国に彼女以外居ませんよ。魔道具を用いても難しい事なのに…なのにそんな彼女を捨ててしまうなど、兄上は本当に愚かです。ですが…彼女の事は俺が幸せにしますから、どうぞ安心して下さい。」
「幸せにって…こいつが戻って来たのは─」
「私は弟君の婚約者に選ばれたのです。私の魔力は、やはり王族とこの国には必要だそうで…何より弟君は、私を一人の女性として傍に置きたいと仰ってくれました。」
「俺が留学して居たのは、彼女に釣り合うような強い魔力を持つ為です。俺はずっと前から、彼女の事が好きでしたから…兄上が彼女を大事にしないのなら、その分俺が彼女を大事にします。」
その言葉を聞いた王子は、ガクリと肩を落とし城を去って行った─。
二人にかけた闇魔法は、私が死ぬまで解ける事は無い。
古代魔法の呪文など、他に知る者も居ないから…二人には一生不幸が付きまとうわね。
でもそれもこれも、捨てようとする女に祝福の言葉など求めたあなたが悪いのよ─。
弟君に手を引かれながら…私は次第に小さくなる王子の背中に、心の中で永遠の別れを告げた─。
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