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義妹のせいで故郷を去った私ですが、今になって戻れと言われても拒否します。

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 母が生きて居た頃は幸せだった。

 明るく優しい母と一緒になり、少し気難しい父が一人娘の私を可愛がる…そんな家庭だった。



 だが母が病で亡くなると…父はそれを大いに悲しみ、すっかり心を閉ざした。

 だがその後、一人のメイドがそんな父の心を癒し…父は彼女を後妻に迎えた。

 

 するとそれから暫くし、メイドは父の子をお腹に宿し私に義妹が出来たのだった。



 そして生まれて来た義妹は、それはそれは愛らしかった。
 
 容姿は勿論、性格も愛嬌があり…すると父は、そんな義妹に亡き母を重ねたらしい。

 父は継母と一緒になり義妹ばかりを可愛がるようになり…彼女とは正反対の、大人しく地味な私など見向きもしなくなった。



 これには、義妹が二人の愛情が自分だけに向けられるよう、私を意地悪な姉と二人に吹聴した事も大きく影響して居る。



 そして父と継母がそんな状態だから、自然と使用人達も周りの者も私を気に掛けなくなった。

 更には、許婚とされて居た彼までもが私ではなく義妹を求めるように─。

 彼は、私との事は無かった事にして欲しい…義妹を新た許婚にしたいと父に望むのだった。



 その為、私は彼と別れる事になったが…お姉様が未練を感じ彼を誘惑するのが怖いと義妹が何の根拠も無く訴えた事で、私は家を出て行かされる事に─。

 勿論、私はそんな事はしないと訴えたが…皆義妹の意見ばかり聞き、私の言葉に全く耳を貸してはくれなかった。



 結局、私は田舎の遠い親戚の家に養子に出される事が決まった。

 その家は貧しく苦労して居るからよく尽くすがいいとだけ父に言われ、まともな別れの言葉も貰えないまま私は家を出された。



 だがその際、私はある物を持ち出して居た。

 母との思い出になる物を、せめて何か一つ持って行きたいと考えたからだ。

 また、これを持って行けばきっと今後役に立つだろうと考え─。



 その後、私はその親戚に温かく迎えられた。

 この先私の家族になってくれる人達は、とても優しく明るくて…私は一度失った家族を取り戻したかのような気持ちになった。



 そこで早速、私は実家から持ち出したある物をその人達に見せた。



 するとそれを見た皆は、こんな大事な物を持って来て良いのかと言ったが…これは全て私が書き記した物で、どうするかは私が決めて良い物だと返した。



 それから暫くし…親戚の家はある事で成功を収め、豊かな生活を送れるようになって居た。

 そしてそれは、私が持って来た薬草を用いた薬の製造法が書かれた本のおかげだった。



 母が病で倒れてから、私はこの世のありとあらゆる薬草について研究した。

 そして、そこからいくつかの薬を作る事に成功した。



 だが結局、それで母を救う事は叶わなかったが…世の中の役に立ちたいと考えた私はそれからも研究を続け、これまでに多くの薬を作って来た。

 

 するとそれを見た父は、それを商売に利用し見事成功させ…羽振りが良くなり、そのおかげで後妻も迎えられたのだ。



 だが、父は金儲けさえできればそれでいいと思ったのか…薬草の種類や薬の作り方など全て私任せで、まるで覚えようとはしなかった。

 最悪、私がどうにかなってもこの本さえあればいいと思って居たのだろうが─。
 


 だが私がそれをこっそり持ち出した事で、今頃はさぞや苦労して居る事だろう。

 父だけでなく、継母や義妹もそんな知識は一切ない為何の役にも立たない。
 
 結果、商売は傾きあの家は貧しくなって行く一方で…そうなったら、義妹も許婚である彼と上手くは行かなくなるだろう。


 
 そんな私の予想は見事に当たり、実家は負債を抱え何とか返済をするも遂に破産…義妹は許婚に捨てられたと聞かされた。

 また、そうなって父達は私に戻ってきて欲しい…自分達にまた裕福な暮らしをさせて欲しいと願って居る事も聞かされたが…私はあの地に戻るつもりは全く無かった。


 
 と言うのも、私は養父からの紹介である名家のご子息と婚約が決まり…近くその方の元で暮らす事が決まって居たからだ。



 その方も薬の知識があり、賢い私はそんな彼の相手にピッタリだったらしい。

 彼は私をとても大事にしてくれ、その後は彼と幸せな生活を送って居る─。
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