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美しさだけで姉を聖女に選んだ王子は、病にかかると手の平を返し私を求めて来ました。
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病に罹った王子が、私に助けを求めているとの知らせが入った。
そこで、私は仕方なく彼の元を訪ねる事に─。
お城に来るのは、彼に婚約破棄され追い出されて以来ね…。
まぁ、そこまで前の話ではないけれど…でも、お城の中は随分変わったわ。
と言うのも結界も消え去り…そのせいで空気が淀み、瘴気が発生して居る。
こんな状態では、王子が病に罹ったのも納得ね─。
王子は、ベッドの上で痩せ細った姿でぐったりして居た。
「よ、よく来たな。お前、今は神殿で聖女をやってるんだって?だったら、俺を助けろ…そして、俺に加護を─」
「もう手遅れです、あなたは助かりません。あなた…あの姉と交わりましたね?それも何度も─。そのせいで、あなたの魂は穢れ切って居て…死の世界へと、着実に歩み始めて居ます。今更加護を授けた所で、何の意味もありません。」
「そ、そんな…!」
「こうなったのは、王子…あなた自身のせいです。美人と言うだけで、姉…あんな女に聖女の座を与え、傍に置いたから─。」
本来、私はこの城で聖女の務めを果たす事になって居た。
と、同時に…私は、王子の婚約者に選ばれて居たのだ。
しかし、私の地味な容姿を気に入らなかった王子は…私を拒絶し、私の付き人として無理矢理城に入った姉を愛したのだ。
更に…聖女は容姿が整って居なければ務まらないなどと、訳の分からない事を言い…それ故に、私を聖女ではないと否定─。
その後、聖女の力を秘めていると話す姉をあっさり信じた彼は、彼女に聖女の称号を与え…自身の婚約者にしてしまった。
そして、私を城から追い出し…元居た神殿に送り返したのだった─。
「彼女は、聖女の力など持って居なかった…。彼女が持って居たのは…悪魔の力だった。彼女は悪魔と契約し…あの美しさと力を手に入れて居たんだ!」
「…姉から悪しき力を感じた私は、城から何度も彼女を追い出そうとしました。しかし、その度にあなたが妨害するから…。挙句、私の話に耳を貨さず、城から追い出してしまうんですもの。」
「お前にした事は、いくらでも謝る!だから、どうか俺を助けてくれ!」
「先程も言いましたでしょう?あなたを助ける事はもう無理です。まぁ…城の浄化と結界を張り直す事はやりましょう。それと…加護を付けるのは、あなたの弟君にします。」
「な、何でだ!?」
「彼には、この城を守って行って貰わねば…。そして、次の王になって貰わなければいけないので。」
「つ、次の王はこの俺で─」
「その身体で何が出来ると言うのです!今のあなたに残された事は…先に罰を受け処刑された、姉の元へ逝く事だけです─。」
私の言葉に、王子は絶望の表情を浮かべ…やがて、声を上げ号泣した─。
それから数日後、王子はこの世を去った。
そしてそれと入れ替わる様に、弟君がやって来た。
弟君は少々体が弱く…お城から少し離れた場所で暮らして居たのだ。
でも、私の加護さえあればもう大丈夫…すぐに元気になり、やがて立派な王としてこの国を治める事が出来るでしょう─。
そして、私は弟君と対面したのだが…その際、彼は一目で私を好きになった様で…加護を授けるだけでなく、この先も自身の傍に居て欲しいと仰られた。
そして、弟君の気持ちを受け入れた私は再びこの城で暮らす事になったのだが…以前過ごしたと違い、とても幸せな毎日を過ごして居る─。
そこで、私は仕方なく彼の元を訪ねる事に─。
お城に来るのは、彼に婚約破棄され追い出されて以来ね…。
まぁ、そこまで前の話ではないけれど…でも、お城の中は随分変わったわ。
と言うのも結界も消え去り…そのせいで空気が淀み、瘴気が発生して居る。
こんな状態では、王子が病に罹ったのも納得ね─。
王子は、ベッドの上で痩せ細った姿でぐったりして居た。
「よ、よく来たな。お前、今は神殿で聖女をやってるんだって?だったら、俺を助けろ…そして、俺に加護を─」
「もう手遅れです、あなたは助かりません。あなた…あの姉と交わりましたね?それも何度も─。そのせいで、あなたの魂は穢れ切って居て…死の世界へと、着実に歩み始めて居ます。今更加護を授けた所で、何の意味もありません。」
「そ、そんな…!」
「こうなったのは、王子…あなた自身のせいです。美人と言うだけで、姉…あんな女に聖女の座を与え、傍に置いたから─。」
本来、私はこの城で聖女の務めを果たす事になって居た。
と、同時に…私は、王子の婚約者に選ばれて居たのだ。
しかし、私の地味な容姿を気に入らなかった王子は…私を拒絶し、私の付き人として無理矢理城に入った姉を愛したのだ。
更に…聖女は容姿が整って居なければ務まらないなどと、訳の分からない事を言い…それ故に、私を聖女ではないと否定─。
その後、聖女の力を秘めていると話す姉をあっさり信じた彼は、彼女に聖女の称号を与え…自身の婚約者にしてしまった。
そして、私を城から追い出し…元居た神殿に送り返したのだった─。
「彼女は、聖女の力など持って居なかった…。彼女が持って居たのは…悪魔の力だった。彼女は悪魔と契約し…あの美しさと力を手に入れて居たんだ!」
「…姉から悪しき力を感じた私は、城から何度も彼女を追い出そうとしました。しかし、その度にあなたが妨害するから…。挙句、私の話に耳を貨さず、城から追い出してしまうんですもの。」
「お前にした事は、いくらでも謝る!だから、どうか俺を助けてくれ!」
「先程も言いましたでしょう?あなたを助ける事はもう無理です。まぁ…城の浄化と結界を張り直す事はやりましょう。それと…加護を付けるのは、あなたの弟君にします。」
「な、何でだ!?」
「彼には、この城を守って行って貰わねば…。そして、次の王になって貰わなければいけないので。」
「つ、次の王はこの俺で─」
「その身体で何が出来ると言うのです!今のあなたに残された事は…先に罰を受け処刑された、姉の元へ逝く事だけです─。」
私の言葉に、王子は絶望の表情を浮かべ…やがて、声を上げ号泣した─。
それから数日後、王子はこの世を去った。
そしてそれと入れ替わる様に、弟君がやって来た。
弟君は少々体が弱く…お城から少し離れた場所で暮らして居たのだ。
でも、私の加護さえあればもう大丈夫…すぐに元気になり、やがて立派な王としてこの国を治める事が出来るでしょう─。
そして、私は弟君と対面したのだが…その際、彼は一目で私を好きになった様で…加護を授けるだけでなく、この先も自身の傍に居て欲しいと仰られた。
そして、弟君の気持ちを受け入れた私は再びこの城で暮らす事になったのだが…以前過ごしたと違い、とても幸せな毎日を過ごして居る─。
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