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何でも自分の思い通りになると思って居る聖女の妹でしたが、愛を手に入れる事は出来ませんでした。

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 私の妹は、大人しいが心優しい子だった。

 でも…聖女になり皆から崇拝される事で、その性格は次第に歪んで行った。

 今では、聖女の自分が望めばなんでも思い通りになり、全てのものが手に入ると思って居る様だ。



 そして姉の私は…聖女となった妹を支えるべく、彼女の付き人として共にこの神殿にやって来た。

 最初はそんな私に感謝の気持ちを持って居た妹だが…今は私の事を、ただの召使くらいにしか思って居ない。



 私はそれらの事を…密かに恋仲である、騎士団長様に相談した。

 彼は以前、加護を貰いにこの神殿にやって来たのだが…その時私達は互いに一目惚れし、すぐにお付き合いを始めたのだ。

 彼は…妹もいつか目が覚め、元の優しい性格に戻ってくれるはずだと言ってくれたが…私も、心からそれを願った。

 

 しかし、その日の夜…私は妹に呼び出され、恋人である彼を自分に譲るよう迫られた。

「彼の事は、ずっと前から狙って居たのに…よくも私から彼を奪ったわね!聖女である私の大事な物を奪うなど…お姉様、あなたは悪女だわ。そんな女には、ちゃんと罰を与えないとね─。」

 そう言って妹は、私を神殿の地下に幽閉してしまった。



 そして彼には…私はここを出て行った、あなたは捨てられたのだと説明した様だ。

 それを聞いた彼は、私の行方を必死に探して居ると言う。

 

 こんな事を平気でするなど…妹は、もう聖女でも何でもないわ。

 本当の悪女は、あなたじゃない─!



 しかし、それから一週間ほどして…私は地下から助け出される事に─。

 そして、愛する彼に無事に再会する事が出来た。

 すると彼は…妹はもう聖女ではなくなった。

 ただの一人の女に戻った為、私を幽閉した罪で牢に入る事になったと教えてくれた。

「この国の守護神が、悪しき心に染まった彼女の事を見離したんだ。彼女は聖女の力を失くし…そしてその力は、次の聖女に引き継がれる事になった。」



 すると…神官達に取り囲まれ、神殿を出て行くよう迫られる妹の姿が─。

「どうしてこうなるのよ…!聖女の私は何でも手にする事が出来たのに…どうしてあなたは、私の物にはなってくれなかったの!?私より、どうしてそんな地味な女が良いのよ!」

 妹は、そう泣き叫んだが…そんな妹に、彼は冷たい声でこう言った。



「お前は、彼女が新しい男を作り出て行った、俺に飽きたから捨てたなどと言って来たが…真面目で誠実な彼女が、そんな事をする訳が無いと俺は信じて居た。聖女の癖にそんな嘘を付き、実の姉をあんな所に閉じ込める悪女など好きになる訳がないだろう!」

「そ、そんな…。」

 彼の言葉に、妹はその場で泣き崩れたが…彼の部下に引き取られ、神殿を去ったのだった─。



 その後…私は神殿を離れ、彼の家に迎えられる事になった。

 もう妹の世話をする必要も無くなり…その分、俺と一緒に居て欲しいと彼に言われたからだ。

 こうして私達は…近く婚約する事も決まり、幸せな日々を送って居る。


 一方、実の姉を幽閉するなど…聖女としても人としても最低な事をした妹は、暫く牢で幽閉される事が決まった。

 しかしそこを出ても、妹はもう神殿には戻れないし…彼女は実家からも縁を切られ、勿論私との縁も切れて居る。

 そんな妹を待って居るのは、きっと不幸な未来でしょう─。
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