【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

Nao*

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私を田舎育ちだと馬鹿にし元恋人と復縁しようとした婚約者ですが、思い通りにはならないのでした。

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 彼から話があると言われ、結婚に向けての話かと思い喜んで足を運べば…何とそれは、別れ話だった。

「私と別れ、元恋人と復縁したい?」

「今、彼女はものすごいお金持ちになってて…と言うのも、彼女の家は事業を成功させてな。婿になれば、俺もいい暮らしが出来るらしいんだ。」

「相手のお金に目が眩んだのね…。」

「そう言う訳じゃ…。でも、お前と結婚したってそんな良い目は見れないだろう?だってお前は田舎育ちで、大した家柄じゃない。お前みたいに父親とも縁が切れ後ろ盾がない娘より、あいつの方が─」

「だから、私を捨てるって?そんなのあんまりだわ!」



 そう私が涙を流すと、部屋の扉が開き一人の女が入って来た。



「ちょっとあなた、しつこい女は嫌われるわよ!仕方ないでしょう、お互い気持ちが止められなかったんだから。彼も私も復縁を望んでる、なのにあなたはその邪魔をする最低女よ?これ以上邪魔するなら、私のお父様の力であなたをこの地から消すから!」

「なッ!?」
 
 …揃いも揃って私を馬鹿にして…もう、許せないわ。



「分かりました。ならば最後にお願いが…明日一日だけでいいので、彼を貸して下さい─。」

 

 そして私は、彼の腕を掴むとある場所へと向かった。



「ここは…王族が管理する屋敷じゃないか。こんな所、許可なく入れる訳が─」

「あぁ、今日もご苦労様です。」



 彼を無視し、私は門番に挨拶をした。

 彼はその様子を、どこか青い顔で見て居る。



 一方私に声をかけられた門番は頭を下げると、すぐに門を開けてくれ…スタスタと中に入って行く私に、彼は戸惑いながらも後を付いて来た。



「お父様、お久しぶりです!」

「お父様?お前…父とはもう会う事はないと言っていたのに。それに、この方は─」

「そうだ、私は前国王…王位はもう、私の息子に譲ったからな。そしてこの子の父は私…死んでなど居ない。」

「な、何がどうなって居るんだ!?」

「私は幼い頃、ある病に罹りましてね…色々な医者に診て貰うも治らなかった。それで父が、私をある辺境の地で療養させる事を決めたのです。父は私の身体が元気になれば、城に戻すはずだったんですが…私自身がそこでの暮らしやそこで世話をしてくれた者達と離れがたくなってしまって、自分の身分を偽りお城とは距離を取って暮らしてい居たんです。あなたには、近く全てをお伝えする予定でしたのに…。」

「これまで娘の希望をくみ取ってきたが、結果お前の様な男に貶められ傷つけられる事になろうとは…実に腹立たしい。」

「いや、それは…。」

「私には、立派な両親と確かな家柄があります。あなたに踏みにじられ、簡単に捨てられていいような女ではありません。それでも別れると言うなら、私から奪ったお金は全額返して頂きます。」

 

 実は最近の彼は金遣いが荒く、私のお金を勝手に持ち逃げしたり身の回りの金目の物を盗んで行くようになったのだ。



「あなたはそのお金や物を売り得たお金で、あの女との密会を楽しんでましたね?調べは付いて居るんです。」

「全く、我が娘に何と無礼な事をするんだ!これは不敬罪に当たるぞ!?」

「ど、どうかお許し下さい─!」

 彼は必死に謝るも、当然それは聞き入れられないのだった。




「…と言う訳で、この通り彼は不敬罪で罪人になりました。どうぞこんな彼でよければ、あなたにお返ししますが…どうされます?」
 
 兵によって縄で繋がれた彼を見て、元恋人の女は冷や汗をかき身を震わせた。



「わ、私は…こんな男とは何の関係も…!」

「おかしいわね。私の調べでは…あなたも彼と一緒になり、そのお金で豪遊してたのに。それでも関係ないと?」



 私の言葉に、彼女は何も言い返せずその場に崩れ落ちた。



「こ、こんな事になるならあなたと復縁したいなどと言わなきゃ良かった!」

「俺だってまたお前と出会わなきゃ、王女と結婚出来てたのに!」

 などと二人はお互いを責め、醜い言い争いを繰り広げて居たが……結局二人仲良く縄で繋がれ、牢へと入れられる事になった。



 そして二人は暫く牢に入れられた後に、収容所で一生強制労働させられる事が決定した。

 ろくに働かず人のお金で遊び回ってたんだから、自業自得だわ。



 その後…私はこれを機に慣れ親しんだ田舎暮らしに別れを告げ城へ帰還、父の紹介で隣国の王子と仲良くなった。

 そして交流を深める中、私は彼に求婚される事に─。

 今は私は隣国の王子の妃となり、彼に愛され幸せに暮らして居るわ─。
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