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求めた聖女が姉ではなく、追放してしまった私の方だと言う事に気付けなかった王子の末路──。

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 これまで、数多くの聖女を生み出して来た私の一族。

 そして今度は、私達双子の姉妹のどちらかが聖女になるであろうと言われて居た。



 すると姉は、母親に似て容姿に恵まれた自分が聖女に間違いないと言い切った。

 何より自分は姉で、妹の私よりこの家の血を先に受け継いだと言うのもその理由の一つらしい。



 だが私は、血よりもその人の人間性が大事なのではないかと思ったが…それを口にすれば姉の機嫌が悪くなる為、何も言わないで居た。



 するとそんな中…私に聖女の兆候らしきものが現れる様に─。

 と言っても、まだ小さい傷しか治せないし…結界が張れても一時的で、すぐに消えてしまう。



 これはきっと、自分なりに聖女として修業に励めと言う神の導きね。
 
 そう思った私は、自ら家を出て神殿に入る事に─。



 だがそれから少しして、修業中の私にある話が舞い込んだ。

 それは、姉が聖女の力に目覚め…丁度聖女の加護を欲しがって居たこの国の第一王子がそんな姉を見初め、婚約者にする事を決めたと言うものだった。



 だが私は、姉に関し別の噂を聞かされており…王子の行末が心配になった為、城を訪ねる事に─。

 そして面会した王子に、姉との婚約は考え直すべきだ…何より、あなたが求めている聖女は姉ではなく私の方だと述べた。



 しかしそれを聞いた王子は、私の顔を見るなり鼻で笑い…そんな地味で平凡な顔の聖女が存在するか…他国の聖女は皆もっと美しかったから、お前ではなく姉が聖女で正しいのだと持論を述べた。



 何より、姉からお前の話はよく聞かされて居る─。

 お前は聖女になるべく神殿へ行ったのではなく、聖女になるだろうと言う姉に恐れをなし家から逃げ出した卑怯者だ、その上神殿でも怠けてばかり居ると私を罵った。

 
 
 そして自分の考えにわざわざいちゃもんを付けに来るなど許せない…お前の行為は不敬とみなし、罰として他国へ追放すると言った。



 それを聞いた私は、もし王子が私の話に耳を貸してくれるならその場で加護を授けても良いと思って居たが…すっかりそんな気も無くなり、さっさと城を去る事にした。

 

 でも王子…あなたがご所望の聖女は、本当に姉ではなく私なのよ。
 
 姉は私に関して出鱈目を王子に教えた上、とんでもない事をしでかしたけど…でも、もうそれも教えはしないわ─。



 そしてその後、王子は予定通り姉を婚約者として城に迎えた。

 だが、そんな彼の身にすぐに不幸が襲い掛かった。

 今まで病気一つした事無かった王子だが、何故か急に病気がちとなり…そのせいで、次期王として役目を果たせないと言われる事になった。



 そして姉は、そんな王子の病を全く事が出来ず…そのせいで聖女失格の烙印を押される事に─。
 
 更に、姉がある罪を犯して居た事が公のものとなった。



 私に聖女の力が目覚めかけて居る事を知った姉は、未だ聖女の力に目覚めない自分に焦りを感じ…その結果、巡礼の旅をして居た聖女を捕え神具を奪うと、それを自分の力にしたのだ。

 でも、本当は聖女でない姉は結局それを使いこなせず…それどころか姉の様な悪女が持った事で神具に宿って居た聖なる力は悪しき力に代わり、結果そんな姉の傍に居た王子は病に侵されてしまったのだ。



 他国の旅の聖女が攫われどこかに監禁されて居る…そしてそれをやった犯人は、目撃証言から姉ではないかと言う噂がある─。

 私はその件を王子に伝えたかったが、結局それをせず…城を出た後に完全に聖女の力が覚醒すると自ら捕らえられて居た聖女を見つけ出し、彼女と共に姉の悪事を王に報せたと言う訳だった。

 まぁその頃には、王子はもう虫の息で…姉も偽聖女扱いで城の地下牢に送られて居たけどね。



 結局、王子は病が元で命を落とし…姉はその責任を取る為、死刑を言い渡された。

 そしてその様子を、追放が取り消された私は見届ける事に─。



 そして全ての事が片付くと、次期王の座は第二王子へと受け継がれた。

 ただし彼は元々少し体が弱く、その為それを不安視する者が居たが…そんな彼に私は早速加護を与え、それは見事成功…彼は見違える程元気な身体になった。



 すると私に恩を感じた第二王子は、私を自身の婚約者に迎えたいと言ってくれた。

 そして穏やかで優しい彼に心惹かれた私は、喜んでその気持ちに応える事に─。

 

 その後私達は婚約する事になり、国は一斉に祝賀ムードに包まれ…愚かな第一王子と悪女の姉は、すっかり皆から忘れ去られてしまうのだった─。
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