【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

Nao*

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私が大事にして居る婚約指輪を盗んだ意地悪な義姉は、後にその報いを受けました。

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私は念願叶い、昔から好きだった彼と婚約する事に─。

 優しい彼は、その証として代々家に伝わると言う指輪を私に贈ってくれた。

 それ以降、私は指輪を宝物のように大事にして居たが…密かにそれを狙う者が居た。



 その人物は、私の義姉だった。

 彼女は、父の再婚相手の連れ子だった。

 義姉はとても美しいが、性格はとんでもなく意地悪で…地味な私は、いつも彼女に馬鹿にされ虐められて居た。



 義姉は私の婚約者となった彼の事を密かに好いて居て…自分が彼と結ばれなかった悔しさから、余計に私に対して腹が立つのでしょう─。



 そんな中、私は彼から貰った指輪を紛失してしまった。

 すると必死に指輪を探す私に、使用人が申し訳なさそうな顔でこう言った。

「実は、お嬢様の部屋の鍵を強引にあの方に奪われてしまい…指輪は、恐らくその時に─。」

 だが、直接その現場を使用人も私も見ておらず…当然、義姉も自分がそれを盗んだとは言わない。



 私は、このまま泣き寝入りするしかないのだろうか。
 
 でも、せっかく彼が私にくれた大事な指輪だ…何とかして取り戻したい─。



 そう思って居た時、婚約者が私の元を訪ねて来た。

 そして、つい先ほどあの指輪を嵌めた義姉が彼の家を訪れ…驚く彼にこう言ったと言う─。



『妹は、本当はあなたと婚約などしたくは無いの。それ故に、私にこの指輪を預けてくれたの。そして、婚約者であるあなたも私に譲ると言ってくれたわ。』
 


 それを聞いた私は、間違ってもそんな事はして居ないし…あなたを義姉に譲るつもりも無いと彼に訴えた。

 すると彼は、勿論そんな事は分かって居るから大丈夫だと言ってくれた。

 そして、義姉は嘘を付き自分を騙そうとした罰で地下牢に閉じ込めておいたと言う。



「あの指輪に嵌められた石は、持ち主に幸運を授ける不思議な力を持った魔法石だ。そして、あの魔法石は持ち主の記憶を宿す事が出来る。俺はその石に籠められた君の記憶と…それから、君の部屋からその指輪を盗み自分の物にする彼女の記憶の両方を見た。その為、それについて彼女に説明を求めたら…彼女は結局嘘を付いた事を認めたよ。」



 特別な指輪だと彼は言って居たが、まさかそんな力がある石を嵌め込んだ物だったとは─。
 
 でもそのおかげで、義姉の悪事が明らかになって良かった─。



 その後、義姉は指輪の石に込められた彼女の記憶から友人や知り合いからもお金や貴金属を盗み取って居た事が判明…彼の家の地下牢ではなく、本当の牢に入れられる事となった。

 そうなって、怒った父は義姉やその母親とすっぱり縁を切ってしまった。

 そのせいで保釈金を出して貰えなくなった義姉は、当分牢から出る事は出来ないのだった─。



 そして、再び私の元に帰って来た指輪だが…悪女が嵌めた指輪をまた嵌めるのは可哀相だからと、彼は新しい指輪を作り私に贈ってくれた。

 そして改めて愛の誓いを交わし合った私達は、より一層その仲が深まる事となり…今は穏やかで幸せな日々を送って居る─。 
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