【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

Nao*

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婚約者の浮気のせいで周囲から白い目で見られる私ですが、幼馴染の王子が助けてくれました。

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 私には婚約者が居るが…その彼が、最近になり浮気をして居る事が判明した。

 ベッドには長い髪が落ちて居るし、彼の身体にはキスマークが付いて居たり色々と証拠はあるが…その相手までは突き止められずに居た。

 それが、まさかこんな形で判明する事になるとは─。

 

 その日、この国の第一王子の誕生日をお祝いするパーティーが催された。

 私の両親はお城の楽師で…その縁で私は昔から王子と仲が良く、このパーティーに招かれる事に─。
 
 そして、私の婚約者である彼も参加したのだが…その彼の姿が、途中で見えなくなった。

 

 すると…パーティーの途中だと言うのに、兵達の怒号が響き渡り…彼とある女が、兵達に囲まれ項垂れる姿がそこにあった。



「この者達は、立ち入りを禁じられた部屋でいかがわしい事をして居た。全くけしからん奴らだ!」

 それを聞いた招待客達は、一斉に顔を顰め…汚らわしい物を見る様な目で、二人を見つめた。



「よくもお城でそんなふしだらな事が─。」

「そんな奴らが、どうしてここに居るんだ!?」



 そして、私はと言うと…周囲から白い目で見られる彼の隣に居る女を見て、その場で固まってしまって居た。



 その女は、彼の妹よね…?

 彼のお父様の再婚相手の連れ子で血の繋がりは無いから、義妹という事になるんだけれど…でも、それでも─。


 
 するとそんな私を見た婚約者が、私に手を伸ばし声を荒げた。



「おい、見てないで助けろ!俺はお前の付き添いで来たんだぞ!?」



 そしてそんな彼の言葉に…周りの者達は今度は私をじっと見つめ、ヒソヒソと囁き始めた。



 ど、どうしよう…このままでは私も…それに、両親まで罰を受ける事に─。



 その時…私の前に誰かが立ちはだかり、そしてこう言った。

「この男は、もう彼女とは何の関係も無い。この男は、本日をもって彼女から縁を切られる身だ─。」

 それは、今回の主役である第一王子だった。



 すると、その言葉を聞いた婚約者は激しく動揺した。



「お、俺が縁を切られるだと!?一体どうして─」

「お前の様な者に、彼女は釣り合わないからだ。その女を勝手に招いたのも、あの部屋でそんな事をしようと誘ったのもお前で、彼女には一切関係のない事。この者達は牢に入れておくから、皆はパーティーの続きを楽しんでくれ─。」



 王子がそう言ってしまえば、招待客達はもう私に何も言えない。

 ただ、悪者となった彼と義妹を冷ややかな目で見つめ…彼らは私達から離れて行った。



「お、俺が牢送りだって!?」

「どうして私達がこんな目に遭うのよ!」

 二人は、真っ青な顔で震え泣いて居たが…王子がそう決めたのであれば、もう逆らう事は出来ない。

 ついに二人は縄で縛られ、牢へと連行された─。



「王子、本当にありがとうございました。そして、ご迷惑をおかけして申し訳ありません!私を助ける為に、あんな事を仰ってくれたんですよね?」



 そう言って頭を下げれば…王子は私の頭を優しく撫で、顔を上げる様に言った。



「気にしないでくれ、俺達の仲だ。あんな女好きの男、俺は前から君には相応しくないと思って居たんだ。君にはショックな事だろうが…俺は、君がこれ以上不幸になって欲しくなかった。だが君は…やはりあの男に未練があるだろうか?」

「ショックはショックでしたが…今更、彼に未練などありません。むしろ、このまま彼と別れる事しか考えて居ません。」

 

 すると、そんな私に…王子は姿勢を正し、こう言った。



「俺は…本当はずっと前から、君の事が好きだった。でも、それを自覚した頃にはもう君はあの男と婚約していた。だから、諦めるしかなかったが…こうなった以上、もうそんな事をする必要は無い。どうか、俺の婚約者になってくれないだろうか。」

「私が、王子の…?」



 王子とは、ずっと幼馴染として仲良くさせて貰って来た。

 彼は、とても誠実で真面目で、おまけにとても優しくて…その優しさに、私は何度救われた事か…。

 そして、それは先程も─。

 そんな王子と婚約したら…きっと私は、今まで以上に彼に大事にされる事になる…。

 そう思ったら、私の胸は大きく高鳴り…その頬は、バラ色にと染まった。



「私…あなたの婚約者になりたいです。この先も、あなたと一緒に居たいです─!」

 こうして、私と王子はめでたく結ばれる事となった。



 一方、牢に入れられたあの二人は…王様からも大変なお叱りを受け、罰としてこの国からの追放を命じられた。

 そして、二人は泣く泣くこの国を去り…今はどこでどうして居るか、全く分からないで居るわ─。
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