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醜くなった妃の私は王の愛を失った挙句、妹にその立場を奪われる事となりました。
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その美しさから、望まれ王の妃に迎えられる事になった私─。
そして私は王に大事にされ、穏やかな日々を送って居た。
しかし、私の顔に痣が浮かびそれが消えなくなると…王は途端に私に興味を無くした。
結局王は私の事など見向きもしなくなり…私は、やがて形だけのお飾り妃になってしまった。
そんな中、王が城に愛人を迎える事に─。
その女が既に城に来て居ると聞いた私は、玉座の間に向かった。
するとそこで見たものは…王の膝に乗せられ口づけを落とされる、私の妹だった。
あの子は私の次に美しいと評判で、王も気に入って居たが、そんなまさか─。
「良い所に来たな。お前には、この妹の面倒を看て貰う。俺に相手にされず、城の者からも気味悪がられ、そして表にも出て来れ無くなったお前に役目を与えてやったんだ。有難く思えよ?」
「お姉様ったら…随分と醜い顔になっちゃったわねぇ。そんなあなたに代わり、私が王に沢山愛されるから…あなたは指を咥え見て居なさい。」
そう言って、二人は馬鹿にした様な笑みを浮かべた。
私だって…何も、好きでこんな顔になった訳じゃない─。
だが…私はそれを口には出せず、頷く事しか出来なかった。
その後…私は妹に、まるで小間使いの様にこき使われる事に─。
少しでも悲しい顔を見せれば、妹が更に付け上がる事は分かって居たので、私はなるべく平静を装った。
だが…王との情事の痕が残るシーツを変えさせられた時は、流石に目に涙を滲ませた。
こんな事、いつまで続くのかしら…。
王が妹に飽き、お城を追い出すまで?
でも、どうせまた新たな愛人を連れて来るんじゃ─。
そんな時…旅に出て居た居た王の弟君が帰還した。
そして私の現状を知った彼は、王に対しこんな事はもう辞める様訴えた。
しかし王は、醜くなったお飾り妃に役目を与えて何が悪いと反論した。
それを聞いた弟君は…そんな王を、冷たい目で見た。
「あなたは何も分かって居ない。この方がこんな事になったのは、全てあなたのせいなのに─。」
そして、弟君は私に近づくと…その手を私の顔に当て、ある呪文を唱えた。
すると、私の顔は光に包まれ…それが消えると、顔の痣は綺麗に消えて居た。
その直後、妹の悲鳴が玉座の間に響き渡った。
「王様、その顔は何!?」
王は、慌てて壁に掛けてあった鏡を見た。
「…これは!?」
そこには…私と全く同じ形をした痣を顔に宿す、王の姿があった。
「それは、あなたが本来受けるべきはずだった呪いです。それを知った妃は、あなたに代わり呪いをその身に宿したのです。そうとも知らず、あなたは彼女に酷い仕打ちを─。そして私はその呪いを消す方法を探しに旅へ出ましたが…結局、転移させる呪文しか見つけ出せなかった。だから、その呪いをかけた者に返そうと思って居ましたが…それを辞め、あなたに授けました。あなたの様な人は、この方と同じ…いや、それ以上の辛さを思い知るべきです。」
「そ、そんな…。俺はこんな醜い顔は嫌だ!」
すると王は、私にもう一度代わりに呪いを受けろと要求した。
「また醜くなっても、今度はちゃんと大事にしてやるから…な?」
「…お断りです。あなたの様な人、もう助けたいとも思いません。そもそも、あなたがそんな呪いを受けたのは…人を平気で傷付けるその人柄に問題があるからです。今回の件で、それが身に染みて分かりました。それに、今回助けてたとしても…あなたの様な人はきっとまたどこかで恨みを買い、呪われるわ。」
「兄上…そんな呪いを受けるあなたには、王の資質はありません。あなたはもう、その呪いと共に城の外れにある屋敷で大人しくして居て下さい。その愛人も、特別に一緒に居させてあげますから。」
「い、嫌だ…どうか許してくれ!」
「冗談じゃない、私は醜い男は嫌いよ!それに、私はお城で優雅に暮らしたいの…そんな所に行きたくない!」
二人はそう泣き叫んたが…弟君の従者達により、玉座の間から連れ出されて行った─。
その後…痣の消えた私は、また以前の様に城の者達から大事にされる様に─。
彼らが私を避けて居たのも、王の命令だった様だし…彼らも辛かったのだと思い、私は全てを許す事にした。
するとそれを見た弟君は…これからは自分の妃として、共にこの国を良くして行って欲しいと言ってくれた。
彼は王の身代わりになった私を心配し、自らそれをどうにかしようと危険の多い旅に出てくれたのだ。
そしてそんな彼を、今度は自分が支えたかったし…私を庇ってくれた彼に心惹かれて居た事もあり、私はそれに応える事に─。
そして私達は結ばれ…今はお互いを想い合い、幸せな日々を送って居る。
それに引き換え…城の片隅に追いやられたあの二人は、毎日の様に互いを罵り合い喧嘩ばかりで、すっかり冷めきった関係になってしまったそうだ。
でも、死ぬまでそこを出る事は許されて居ないから…二人はこの先も、辛い日々を送る事になるでしょうね─。
そして私は王に大事にされ、穏やかな日々を送って居た。
しかし、私の顔に痣が浮かびそれが消えなくなると…王は途端に私に興味を無くした。
結局王は私の事など見向きもしなくなり…私は、やがて形だけのお飾り妃になってしまった。
そんな中、王が城に愛人を迎える事に─。
その女が既に城に来て居ると聞いた私は、玉座の間に向かった。
するとそこで見たものは…王の膝に乗せられ口づけを落とされる、私の妹だった。
あの子は私の次に美しいと評判で、王も気に入って居たが、そんなまさか─。
「良い所に来たな。お前には、この妹の面倒を看て貰う。俺に相手にされず、城の者からも気味悪がられ、そして表にも出て来れ無くなったお前に役目を与えてやったんだ。有難く思えよ?」
「お姉様ったら…随分と醜い顔になっちゃったわねぇ。そんなあなたに代わり、私が王に沢山愛されるから…あなたは指を咥え見て居なさい。」
そう言って、二人は馬鹿にした様な笑みを浮かべた。
私だって…何も、好きでこんな顔になった訳じゃない─。
だが…私はそれを口には出せず、頷く事しか出来なかった。
その後…私は妹に、まるで小間使いの様にこき使われる事に─。
少しでも悲しい顔を見せれば、妹が更に付け上がる事は分かって居たので、私はなるべく平静を装った。
だが…王との情事の痕が残るシーツを変えさせられた時は、流石に目に涙を滲ませた。
こんな事、いつまで続くのかしら…。
王が妹に飽き、お城を追い出すまで?
でも、どうせまた新たな愛人を連れて来るんじゃ─。
そんな時…旅に出て居た居た王の弟君が帰還した。
そして私の現状を知った彼は、王に対しこんな事はもう辞める様訴えた。
しかし王は、醜くなったお飾り妃に役目を与えて何が悪いと反論した。
それを聞いた弟君は…そんな王を、冷たい目で見た。
「あなたは何も分かって居ない。この方がこんな事になったのは、全てあなたのせいなのに─。」
そして、弟君は私に近づくと…その手を私の顔に当て、ある呪文を唱えた。
すると、私の顔は光に包まれ…それが消えると、顔の痣は綺麗に消えて居た。
その直後、妹の悲鳴が玉座の間に響き渡った。
「王様、その顔は何!?」
王は、慌てて壁に掛けてあった鏡を見た。
「…これは!?」
そこには…私と全く同じ形をした痣を顔に宿す、王の姿があった。
「それは、あなたが本来受けるべきはずだった呪いです。それを知った妃は、あなたに代わり呪いをその身に宿したのです。そうとも知らず、あなたは彼女に酷い仕打ちを─。そして私はその呪いを消す方法を探しに旅へ出ましたが…結局、転移させる呪文しか見つけ出せなかった。だから、その呪いをかけた者に返そうと思って居ましたが…それを辞め、あなたに授けました。あなたの様な人は、この方と同じ…いや、それ以上の辛さを思い知るべきです。」
「そ、そんな…。俺はこんな醜い顔は嫌だ!」
すると王は、私にもう一度代わりに呪いを受けろと要求した。
「また醜くなっても、今度はちゃんと大事にしてやるから…な?」
「…お断りです。あなたの様な人、もう助けたいとも思いません。そもそも、あなたがそんな呪いを受けたのは…人を平気で傷付けるその人柄に問題があるからです。今回の件で、それが身に染みて分かりました。それに、今回助けてたとしても…あなたの様な人はきっとまたどこかで恨みを買い、呪われるわ。」
「兄上…そんな呪いを受けるあなたには、王の資質はありません。あなたはもう、その呪いと共に城の外れにある屋敷で大人しくして居て下さい。その愛人も、特別に一緒に居させてあげますから。」
「い、嫌だ…どうか許してくれ!」
「冗談じゃない、私は醜い男は嫌いよ!それに、私はお城で優雅に暮らしたいの…そんな所に行きたくない!」
二人はそう泣き叫んたが…弟君の従者達により、玉座の間から連れ出されて行った─。
その後…痣の消えた私は、また以前の様に城の者達から大事にされる様に─。
彼らが私を避けて居たのも、王の命令だった様だし…彼らも辛かったのだと思い、私は全てを許す事にした。
するとそれを見た弟君は…これからは自分の妃として、共にこの国を良くして行って欲しいと言ってくれた。
彼は王の身代わりになった私を心配し、自らそれをどうにかしようと危険の多い旅に出てくれたのだ。
そしてそんな彼を、今度は自分が支えたかったし…私を庇ってくれた彼に心惹かれて居た事もあり、私はそれに応える事に─。
そして私達は結ばれ…今はお互いを想い合い、幸せな日々を送って居る。
それに引き換え…城の片隅に追いやられたあの二人は、毎日の様に互いを罵り合い喧嘩ばかりで、すっかり冷めきった関係になってしまったそうだ。
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