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自身の妹の事を天然だと言い可愛いがる婚約者ですが、私には悪意の塊にしか見えません…。
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私の婚約者には、可愛い妹が居るが…彼は、この妹を天然だと言って大いに可愛がって居た。
「ちょっとボンヤリしてそそっかしい所が、本当に可愛くて…あの子からは、目が離せないよ。」
そう言って、彼は妹に対しデレデレして居るが…私には、全くそう思えなかった。
だって、この前のお茶の時だって…妹が用意した紅茶は、私のだけ埃が入って居たり…誕生日だからとケーキを出されたら、私に切り分けた物だけテーブルに落とされたり─。
彼女…私に対して何かする時だけ、失敗してばかりなのよね。
それで、涙目で謝って来て…そんな妹を、彼はいつも庇って─。
そしてそのまま二人だけの世界に入り込み、私の事などまるで無視だ。
その様子を見て居ると…彼の妹は、わざとそんな事をして居るとしか思えない─。
そこで、以前彼にその事を伝えたのだが…彼は、妹がそんな意地の悪い事をする訳ないと決めつけ私を叱った。
そして、もし今度その様な事を言ったら婚約破棄するとまで言って来た為…私は、それ以上何も言えなかったのだ─。
そんなある日の事。
彼が出かけた先でお菓子を買って来てくれて…妹も呼んで一緒に食べる事になった。
私は、彼女を呼びに自室を訪ねたのだが…彼女は、友人と楽しそうに話をして居る最中だった。
「…あの女、中々しぶといの。私が嫌がらせをしても、全然めげなくて。」
「お兄さんの婚約者にそんな事して…大丈夫なの?もう、辞めた方が─」
「だって…あんな顔も性格も地味な女、私のお兄様に釣り合わないわよ!それに私、あんなのを義理の姉にしたく無い。これからももっと嫌がらせをして、婚約破棄させてやるわ!それに、本当はお兄様だって─」
あの子…今までの事は、やはりわざとだったのね!
全く、何が天然よ…悪意の塊じゃない!
そんなに私達の婚約が嫌なら…私にも考えがあるわ─。
「おい、妹はどうした?ちゃんと呼んだのか?」
「私…あなたと婚約破棄します。」
「何!?」
「あんな性格の悪い妹と、私はこの先とてもやって行けません─。」
私は、先程妹の部屋で聞いた話を彼に伝えた。
しかし、彼は全く信じてくれず…それどころか、私に対し怒鳴りつけた。
「お前…まだそんな事を言ってるのか!?あんな可愛い妹を悪く言うなど…だったらもういい、勝手にしろ!」
こうして、私は理解の無い彼と別れる事にしたのだった─。
しかし、それから数日後─。
私の元に元婚約者がやって来て、頭を下げこう言った。
「あの後、妹の友人がこっそり俺に妹の言った事を教えてくれて…それが、お前の話した事と全て一致したんだ。お前は、嘘など言ってなかったんだな。」
「…もういいいですよ、今更。」
「妹にはちゃんと注意しておいた…だから、もう一度俺と─」
「お断りです。あなたが私の家に来たのは…どうせ、私の家が出す支援金が目当てなんでしょう?婚約破棄になり、それが出なくなって…困ったあなたは、こうして私に謝罪に来た─。」
「それは、その…。」
「それに、あなたの妹はこうも言ってたんです。あなたは、私の事など大して好きじゃない…私の家のお金が目てだって─。そんな人と復縁しても、幸せになれないわ。」
「あいつ、余計な事を─!」
こうして、私は彼からの復縁を拒否し…家を出て行って貰った。
その後、彼の家の事業は資金繰りが苦しくなり…やがて破産する事に─。
その時になって、妹は自分のやった事や失言を悔やみ…彼は、そんな妹を持った事を後悔したらしいが…もう遅いわ─。
一方、私はと言うと…新たな婚約者と、幸せな日々を送って居た。
彼には、おっとりした性格の妹が居るが…彼女は根っからの天然で、つい構ってあげたくなる様な愛らしさだ。
そして彼女も彼女で、私を本当の姉の様に慕ってくれ…仲良くする私達を、婚約者はいつも優しい目で見守ってくれる。
これで私は、今度こそ婚約者にもその家族にも恵まれる事になったのね─。
「ちょっとボンヤリしてそそっかしい所が、本当に可愛くて…あの子からは、目が離せないよ。」
そう言って、彼は妹に対しデレデレして居るが…私には、全くそう思えなかった。
だって、この前のお茶の時だって…妹が用意した紅茶は、私のだけ埃が入って居たり…誕生日だからとケーキを出されたら、私に切り分けた物だけテーブルに落とされたり─。
彼女…私に対して何かする時だけ、失敗してばかりなのよね。
それで、涙目で謝って来て…そんな妹を、彼はいつも庇って─。
そしてそのまま二人だけの世界に入り込み、私の事などまるで無視だ。
その様子を見て居ると…彼の妹は、わざとそんな事をして居るとしか思えない─。
そこで、以前彼にその事を伝えたのだが…彼は、妹がそんな意地の悪い事をする訳ないと決めつけ私を叱った。
そして、もし今度その様な事を言ったら婚約破棄するとまで言って来た為…私は、それ以上何も言えなかったのだ─。
そんなある日の事。
彼が出かけた先でお菓子を買って来てくれて…妹も呼んで一緒に食べる事になった。
私は、彼女を呼びに自室を訪ねたのだが…彼女は、友人と楽しそうに話をして居る最中だった。
「…あの女、中々しぶといの。私が嫌がらせをしても、全然めげなくて。」
「お兄さんの婚約者にそんな事して…大丈夫なの?もう、辞めた方が─」
「だって…あんな顔も性格も地味な女、私のお兄様に釣り合わないわよ!それに私、あんなのを義理の姉にしたく無い。これからももっと嫌がらせをして、婚約破棄させてやるわ!それに、本当はお兄様だって─」
あの子…今までの事は、やはりわざとだったのね!
全く、何が天然よ…悪意の塊じゃない!
そんなに私達の婚約が嫌なら…私にも考えがあるわ─。
「おい、妹はどうした?ちゃんと呼んだのか?」
「私…あなたと婚約破棄します。」
「何!?」
「あんな性格の悪い妹と、私はこの先とてもやって行けません─。」
私は、先程妹の部屋で聞いた話を彼に伝えた。
しかし、彼は全く信じてくれず…それどころか、私に対し怒鳴りつけた。
「お前…まだそんな事を言ってるのか!?あんな可愛い妹を悪く言うなど…だったらもういい、勝手にしろ!」
こうして、私は理解の無い彼と別れる事にしたのだった─。
しかし、それから数日後─。
私の元に元婚約者がやって来て、頭を下げこう言った。
「あの後、妹の友人がこっそり俺に妹の言った事を教えてくれて…それが、お前の話した事と全て一致したんだ。お前は、嘘など言ってなかったんだな。」
「…もういいいですよ、今更。」
「妹にはちゃんと注意しておいた…だから、もう一度俺と─」
「お断りです。あなたが私の家に来たのは…どうせ、私の家が出す支援金が目当てなんでしょう?婚約破棄になり、それが出なくなって…困ったあなたは、こうして私に謝罪に来た─。」
「それは、その…。」
「それに、あなたの妹はこうも言ってたんです。あなたは、私の事など大して好きじゃない…私の家のお金が目てだって─。そんな人と復縁しても、幸せになれないわ。」
「あいつ、余計な事を─!」
こうして、私は彼からの復縁を拒否し…家を出て行って貰った。
その後、彼の家の事業は資金繰りが苦しくなり…やがて破産する事に─。
その時になって、妹は自分のやった事や失言を悔やみ…彼は、そんな妹を持った事を後悔したらしいが…もう遅いわ─。
一方、私はと言うと…新たな婚約者と、幸せな日々を送って居た。
彼には、おっとりした性格の妹が居るが…彼女は根っからの天然で、つい構ってあげたくなる様な愛らしさだ。
そして彼女も彼女で、私を本当の姉の様に慕ってくれ…仲良くする私達を、婚約者はいつも優しい目で見守ってくれる。
これで私は、今度こそ婚約者にもその家族にも恵まれる事になったのね─。
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