【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

Nao*

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魔力が消えた世界で、皆に愛されて居た義妹と嫌われ者だった私の立場が入れ替わりました。

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 この世界はありとあらゆるものが魔力で成り立って居り、強い魔力を持つ者ほど優遇されて居た。

 その為魔力を殆ど持たない私はいつも周りから見下され…と言うか、醜い見た目もあって除け者にされて居た。

 一方で、継母譲りの美貌と魔力を持つ義妹は皆を魅了し…血が繋がらないとは言え、私達姉妹は天と地ほどの差があった。


 
 私はこの状況が辛かったけれど、魔力が無いなら勉学に裁縫に料理にと他の部分を磨こうと色々と努力した。

 しかしそんな私を義妹や継母は勿論他の者達も馬鹿にした目で、魔力が無い者が無駄な事をと嘲笑うのだった。


 
 確かに、魔力さえあれば魔法が使えどんなことでも簡単に出来たり叶ってしまうが…でも、魔力があって当たり前の世界がいつまでも続くとは私は思えない─。



 するとそれから暫くし、世界から急に魔力が消えた。

 何でも世界の人口が増えた事による魔力の使い過ぎで、この星の中心にある魔力の源と言われる魔法石が一気に砕け散り消滅した事が原因らしい。



 だがこれは一部の研究者によって前から危惧されて居た事で、私もそれを心配して居たが…殆どの者はまだまだ起こりえない事だと楽観視して居たのだった。



 しかしいざそうなると…魔力が強く魔法に頼り切って居た者ほど影響が大きかったようで、義妹もその一人だった。

 と言うのも…魔力が世界から消えた日以来、義妹はすっかり容姿が変わってしまった。
 
 実は義妹自身に強力な魅了魔法が施されて居て…彼女が美しかったのも、そして皆に大層好かれるのもそのおかげだったのだ。



 実際の義妹の顔はお世辞にも美しいとは言えず…彼女の本当の顔を知った皆は驚き、殿方達はまるで潮が引くように彼女から離れて行った。



 そして彼女にそんな魔法をかけたのは継母で、娘である義妹を魅力的な女性にしようとなりふり構わずやって居たのだった。



 しかしそこまでにしておけば良かったものを、義妹の引き立て役が必要だと考えた継母は私を利用する事にし…私には、実際の容姿よりうんと醜く見える幻惑の魔法をかけて居たのだ。



 継母の魔力は強く周りの皆は簡単にそれに惑わされたし、魔力が皆無と言っていい私はそんな魔法がかけられて居る事に全く気付かず己の顔は醜い顔であると認識させられて居たのだった。



 だが世界から魔力が消えた事で、私達姉妹の本当の顔が明らかとなり…また世間の価値観も急激に変わり、今まで魔力ばかり重要視されて居たのがその人自身の能力や特技を大事にしようとなった。



 すると今まで魔力に頼り切って何も努力して来なかった義妹は、顔もイマイチの上に何も魅力を感じる所は無いなどと散々な評価を受ける事に─。

 また継母の私に対する悪事も父に知られた為、親子揃って一族から除籍させられる羽目になってしまった。



 一方の私はと言うと、自分の容姿に少しだけ自信が持てた事で明るくなり友人が大勢出来た。

 そうして色々な人と交流を広げる内、賢い所や裁縫や料理が得意で家庭的な所を皆に見て貰えるようになり…何時しか殿方達から引く手数多の女性となった。



 すると私はある名家のご子息の目に留まり、彼の望みで学園卒業後には彼と婚約する事が決まった。


 
 そうして彼と幸せな時を過ごす私だったが…父によって田舎の空き家へ追放された義妹にその話が伝わると、彼女は激しい嫉妬心を燃やし私に嫌がらせをするべく行動した。

 するとそのせいで彼女は更に悪評が立ち、追放先で皆に嫌われ除け者にされてしまって居ると言う。



 それを聞いた私は大層呆れると同時に…私と義妹の立場が逆転するなどこの星がひっくり返っても起こらない何て思って居たけれど、まさか魔力が消えた事でそれが実現するなど夢にも思わなかったと感じ入ったのだった─。
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