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婚約破棄後に悪の令嬢と仲良くなった私ですが、後に大きな幸せを手にする事が出来ました。
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私はつい最近婚約者に浮気された挙句、一方的に別れを告げられた。
何も自分に非が無いのに、こんな別れ方をされるとは…。
いや…彼が言うには、私のこの地味な容姿と真面目な性格が悪いのだそうだが─。
溜息を付き、道あったベンチに腰掛けると…道を挟んで向こう側のベンチに、一人の令嬢が座って居るのに気付いた。
確かあの方…少し前に婚約者の妹を虐めた悪女と言われ、婚約破棄された─?
その瞬間、彼女の目からポロリと涙が零れ落ちた。
私はそんな彼女が放っておけず…持って居たハンカチを差し出し、声をかけた。
「…私に声をかけてくるなど、あなた変わってるわね。でも、有難く貸して貰うわ。」
そう言って涙を拭く彼女はとても美しく…私もこんな容姿をして居たら、彼に浮気される事は無かったかもと思ってしまった。
「いくら美しくても、それが仇となる事もあるわよ。美しさは無駄な敵を作る…私が悪女になったのも、そのせいよ。」
「…ど、どうして私があなたを美しいと思ってた事が分かるの?」
すると彼女は、婚約破棄以降人の気持ちが分かる様になったのだと言う。
彼女曰く…その人のオーラから、その人物の感情や思考が伝わって来るらしい。
「凄い…!あなた、その力を磨いてこの地の聖女様になったらいいのに!」
「この悪女と言われた私が聖女?そんな馬鹿な…。」
「でも、この地にはまだ聖女様が居ないし…神殿で修業を積めば、治癒や加護を授ける事も出来るかも知れないわ!それに…あんな綺麗な涙を流す人、私は悪女だと思えない。むしろ、聖女様に見えたわ。」
そんな私に、彼女はクスリと笑うと…私が共に神殿に来てくれるなら、聖女の修行を始めると言った。
婚約破棄され実家にも居ずらかった私は、喜んで彼女の話に乗る事に─。
そして、悪女と言われた彼女は聖女見習いとして…私はその付き人として神殿に上がったのだ─。
それから半年程して…この地に謎の病が流行した。
すると彼女は…神殿から外に出て、病に罹った者達を治療し始めた。
そして私は、そんな彼女を手助けする事に─。
そんな中…ある兄弟が、私に声をかけて来た。
「そこの女!俺と妹が病になった。あの女が聖女なら、さっさと呼んで来い──!」
な、何この人、偉そうに…。
その時、彼女が私の元に駆けて来て…そして二人を見ると、こう言った。
「この病が流行ったのは、あなた達が原因ね。全く…相変わらずどうしようもない女とその兄ね。婚約破棄になって本当に良かったわ。」
この人、彼女の元婚約者の─。
「お、俺達が原因とは何だ!言いがかりだぞ!」
「あなたの妹は、この地の守護神が祀られる祠をいたずらし壊したでしょう?そして、兄のあなたはそれを隠蔽した。そのせいで怒った守護神が、こんな病を流行らせたのよ。聖女の私には、あなた達の悪事はちゃんと見えて居るわ!」
すると、それを聞いた神官達がやって来て…彼女の元婚約者と妹は取り押さえられ、連行された。
「これで、もう病は収まるかしら。」
「祠が修繕されて居ないから…まだ少し時間がかかるわ。でも、私の祈りで何とかしないと─。」
すると…一人の男がやって来て、自分の病も直して欲しいと申し出た。
そしてそれは…私の元婚約者だった。
「あなた…この地の領主を任されたのなら、早く祠を直して。私はそう伝えたでしょう?」
彼は彼女に責められたが、言い訳ばかりしてまともに答えない。
それを見た私は、彼にこう言った。
「あなた、どうせ集めたお金を女に使ったんでしょう?それで、未だに祠を治す事が出来ないのね。」
「…今度の賭け事で買ったら、ちゃんと直そうと思ってたよ!」
「呆れた…祠を壊したあの二人も悪いけど、あなたも十分悪いじゃない!」
「この男もあの二人と同様、責任を取って貰わなければね─。」
その後…捕らえられた三人は、この地の守護神様の怒りを抑える為に生贄に捧げられる事が決まった。
そして、その儀式が終わると…完全にこの地の病は収まりを見せ、そして聖女である彼女の祈りのおかげで、皆はこれまで以上に元気な体を手にする事が出来たのだ。
すると…この奇跡を知った国の王子が、聖女である彼女の力とその美しさに惹かれ…彼女を自身の婚約者に迎えたいと申し出て来た。
そして、彼の弟君は…彼女を支える私を、婚約者に迎えたいと仰った。
私と彼女は、この事に驚きつつ…互いに、大きな幸せが舞い込んで来た事を喜び合ったのだった。
そして彼女と私は、今はお城からこの国の平和と繁栄を祈り…そして愛する人に大事にされ、幸せな日々を送って居る─。
何も自分に非が無いのに、こんな別れ方をされるとは…。
いや…彼が言うには、私のこの地味な容姿と真面目な性格が悪いのだそうだが─。
溜息を付き、道あったベンチに腰掛けると…道を挟んで向こう側のベンチに、一人の令嬢が座って居るのに気付いた。
確かあの方…少し前に婚約者の妹を虐めた悪女と言われ、婚約破棄された─?
その瞬間、彼女の目からポロリと涙が零れ落ちた。
私はそんな彼女が放っておけず…持って居たハンカチを差し出し、声をかけた。
「…私に声をかけてくるなど、あなた変わってるわね。でも、有難く貸して貰うわ。」
そう言って涙を拭く彼女はとても美しく…私もこんな容姿をして居たら、彼に浮気される事は無かったかもと思ってしまった。
「いくら美しくても、それが仇となる事もあるわよ。美しさは無駄な敵を作る…私が悪女になったのも、そのせいよ。」
「…ど、どうして私があなたを美しいと思ってた事が分かるの?」
すると彼女は、婚約破棄以降人の気持ちが分かる様になったのだと言う。
彼女曰く…その人のオーラから、その人物の感情や思考が伝わって来るらしい。
「凄い…!あなた、その力を磨いてこの地の聖女様になったらいいのに!」
「この悪女と言われた私が聖女?そんな馬鹿な…。」
「でも、この地にはまだ聖女様が居ないし…神殿で修業を積めば、治癒や加護を授ける事も出来るかも知れないわ!それに…あんな綺麗な涙を流す人、私は悪女だと思えない。むしろ、聖女様に見えたわ。」
そんな私に、彼女はクスリと笑うと…私が共に神殿に来てくれるなら、聖女の修行を始めると言った。
婚約破棄され実家にも居ずらかった私は、喜んで彼女の話に乗る事に─。
そして、悪女と言われた彼女は聖女見習いとして…私はその付き人として神殿に上がったのだ─。
それから半年程して…この地に謎の病が流行した。
すると彼女は…神殿から外に出て、病に罹った者達を治療し始めた。
そして私は、そんな彼女を手助けする事に─。
そんな中…ある兄弟が、私に声をかけて来た。
「そこの女!俺と妹が病になった。あの女が聖女なら、さっさと呼んで来い──!」
な、何この人、偉そうに…。
その時、彼女が私の元に駆けて来て…そして二人を見ると、こう言った。
「この病が流行ったのは、あなた達が原因ね。全く…相変わらずどうしようもない女とその兄ね。婚約破棄になって本当に良かったわ。」
この人、彼女の元婚約者の─。
「お、俺達が原因とは何だ!言いがかりだぞ!」
「あなたの妹は、この地の守護神が祀られる祠をいたずらし壊したでしょう?そして、兄のあなたはそれを隠蔽した。そのせいで怒った守護神が、こんな病を流行らせたのよ。聖女の私には、あなた達の悪事はちゃんと見えて居るわ!」
すると、それを聞いた神官達がやって来て…彼女の元婚約者と妹は取り押さえられ、連行された。
「これで、もう病は収まるかしら。」
「祠が修繕されて居ないから…まだ少し時間がかかるわ。でも、私の祈りで何とかしないと─。」
すると…一人の男がやって来て、自分の病も直して欲しいと申し出た。
そしてそれは…私の元婚約者だった。
「あなた…この地の領主を任されたのなら、早く祠を直して。私はそう伝えたでしょう?」
彼は彼女に責められたが、言い訳ばかりしてまともに答えない。
それを見た私は、彼にこう言った。
「あなた、どうせ集めたお金を女に使ったんでしょう?それで、未だに祠を治す事が出来ないのね。」
「…今度の賭け事で買ったら、ちゃんと直そうと思ってたよ!」
「呆れた…祠を壊したあの二人も悪いけど、あなたも十分悪いじゃない!」
「この男もあの二人と同様、責任を取って貰わなければね─。」
その後…捕らえられた三人は、この地の守護神様の怒りを抑える為に生贄に捧げられる事が決まった。
そして、その儀式が終わると…完全にこの地の病は収まりを見せ、そして聖女である彼女の祈りのおかげで、皆はこれまで以上に元気な体を手にする事が出来たのだ。
すると…この奇跡を知った国の王子が、聖女である彼女の力とその美しさに惹かれ…彼女を自身の婚約者に迎えたいと申し出て来た。
そして、彼の弟君は…彼女を支える私を、婚約者に迎えたいと仰った。
私と彼女は、この事に驚きつつ…互いに、大きな幸せが舞い込んで来た事を喜び合ったのだった。
そして彼女と私は、今はお城からこの国の平和と繁栄を祈り…そして愛する人に大事にされ、幸せな日々を送って居る─。
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