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可愛い妹の事をいずれ聖女になると溺愛する両親ですが、その期待は大きく外れたのでした──。
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私には妹が居るが…彼女はとても愛らしい容姿をして居て、性格も愛嬌があって可愛げがあった。
すると両親はそんな妹を溺愛する様になり、姉の私の事などまるで無視する様に…。
更に両親は妹に対し、こんな事を言うようになった。
「こんな可愛さを持ったお前は、きっと神に愛された娘に違いない。この地には聖女が居ないから…いつかお前が、その役目を担うに違いない─。」
しかし、私はその言葉を疑問に思った。
妹は両親に甘やかされ育った事でとても我儘な娘になり、気に入らない人間を平気で虐めたりする。
そしてそれは、姉の私に対してもだった。
彼女は地味で平凡で…そして両親に嫌われて居る私を馬鹿にし、自分の召使の様に扱って来た。
そんな妹が、果たして聖女の力に目覚める日が来るのかしら─?
それから暫くした、ある日の事─。
私の身に不思議な事が起きた。
いつもの様に両親から庭の掃除をするよう命じられ、箒で掃いて居ると…空から真っ白な羽が一枚、私の元に舞い降りて来た。
私はその美しさに惹かれ…思わずその羽を手にした。
すると次の瞬間…羽は私の体の中に吸い込まれ、自身に何か不思議な力が湧いて来るのを感じた─。
それから数日後、私はある方と婚約する事に─。
それを知った両親と妹は、口々に文句を言って来た。
「どうしてお前が、領主様と婚約など─!」
「どうやってあの方を誑かしたのか、正直に言いなさい!」
「お姉様ったらズルいわ!私が彼を好きな事、知らなかったの?」
「えぇ、知らなかったわ。だってあなたとは姉妹らしい会話などしないし、お父様達は私があなたと関わるのをいい顔をしなかったし。」
それを聞いた両親は気まずそうに顔を反らし、妹はまだ怒って居た。
「りょ、領主様…何故姉なのです!?私の方が可愛いのに…それに、いつかは聖女になれるかも知れないんですよ!?」
「いや、君には無理だ。と言うか…聖女なら既に誕生して居る。妹の君ではなく、姉の彼女こそがこの地の聖女だ。」
この言葉に驚く両親と妹に、私は天から不思議な羽を授かった事を話した─。
「あれ以降私は聖女の力に目覚め…そして、その事を知った領主様に見初められたのです。」
「そ、そんなの出鱈目よ!本当なら、聖女である証拠を見せてよ!」
「証拠は俺に付けられた加護だ。それに、この地に住む者達に付けられた加護もな。彼女はこの数日間の内に、この地の者達に加護を授けてくれた。ただし、お前達は別だがな。」
「な、何でなよお姉様!?」
「あなた達の様に意地の悪い者達に加護を授ける必要は無いと、この地の守護神が仰いましたので。私は聖女ですから、神のご意向に逆らう事はしません。」
この言葉に、両親と妹はガクリと肩を落としたのだった─。
その後…私は自分の家を出て、領主様の元で暮らす事に─。
聖女を迎えた者は幸福と繁栄を得る事が出来るそうで、彼は私の事をそれはもう大事にしてくれた。
一方、加護を授けられなかった私の家族は…その後すぐ父の事業が悪化し母は事故に遭い、妹は不治の病に罹ったりと様々な災難に襲われ続けた。
そのせいで私の家族は、この地の者達から避けられる様になり…今では完全に孤立状態となって居る。
そうなって漸く私にして来た仕打ちを後悔して居るが、最早何もかもが遅いのだった─。
すると両親はそんな妹を溺愛する様になり、姉の私の事などまるで無視する様に…。
更に両親は妹に対し、こんな事を言うようになった。
「こんな可愛さを持ったお前は、きっと神に愛された娘に違いない。この地には聖女が居ないから…いつかお前が、その役目を担うに違いない─。」
しかし、私はその言葉を疑問に思った。
妹は両親に甘やかされ育った事でとても我儘な娘になり、気に入らない人間を平気で虐めたりする。
そしてそれは、姉の私に対してもだった。
彼女は地味で平凡で…そして両親に嫌われて居る私を馬鹿にし、自分の召使の様に扱って来た。
そんな妹が、果たして聖女の力に目覚める日が来るのかしら─?
それから暫くした、ある日の事─。
私の身に不思議な事が起きた。
いつもの様に両親から庭の掃除をするよう命じられ、箒で掃いて居ると…空から真っ白な羽が一枚、私の元に舞い降りて来た。
私はその美しさに惹かれ…思わずその羽を手にした。
すると次の瞬間…羽は私の体の中に吸い込まれ、自身に何か不思議な力が湧いて来るのを感じた─。
それから数日後、私はある方と婚約する事に─。
それを知った両親と妹は、口々に文句を言って来た。
「どうしてお前が、領主様と婚約など─!」
「どうやってあの方を誑かしたのか、正直に言いなさい!」
「お姉様ったらズルいわ!私が彼を好きな事、知らなかったの?」
「えぇ、知らなかったわ。だってあなたとは姉妹らしい会話などしないし、お父様達は私があなたと関わるのをいい顔をしなかったし。」
それを聞いた両親は気まずそうに顔を反らし、妹はまだ怒って居た。
「りょ、領主様…何故姉なのです!?私の方が可愛いのに…それに、いつかは聖女になれるかも知れないんですよ!?」
「いや、君には無理だ。と言うか…聖女なら既に誕生して居る。妹の君ではなく、姉の彼女こそがこの地の聖女だ。」
この言葉に驚く両親と妹に、私は天から不思議な羽を授かった事を話した─。
「あれ以降私は聖女の力に目覚め…そして、その事を知った領主様に見初められたのです。」
「そ、そんなの出鱈目よ!本当なら、聖女である証拠を見せてよ!」
「証拠は俺に付けられた加護だ。それに、この地に住む者達に付けられた加護もな。彼女はこの数日間の内に、この地の者達に加護を授けてくれた。ただし、お前達は別だがな。」
「な、何でなよお姉様!?」
「あなた達の様に意地の悪い者達に加護を授ける必要は無いと、この地の守護神が仰いましたので。私は聖女ですから、神のご意向に逆らう事はしません。」
この言葉に、両親と妹はガクリと肩を落としたのだった─。
その後…私は自分の家を出て、領主様の元で暮らす事に─。
聖女を迎えた者は幸福と繁栄を得る事が出来るそうで、彼は私の事をそれはもう大事にしてくれた。
一方、加護を授けられなかった私の家族は…その後すぐ父の事業が悪化し母は事故に遭い、妹は不治の病に罹ったりと様々な災難に襲われ続けた。
そのせいで私の家族は、この地の者達から避けられる様になり…今では完全に孤立状態となって居る。
そうなって漸く私にして来た仕打ちを後悔して居るが、最早何もかもが遅いのだった─。
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