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聖女の私が深き眠りにつく間に、裏切者の王子と妹には大きな罰が下って居ました──。
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聖女として覚醒した私は、王子の婚約者に迎えられた。
しかし王子は地味な私が気にらないらしく、大事にしてくれなかった。
むしろ、私に冷たい態度を取り…時にはその不満を直接ぶつけて来た。
私は慣れない環境と王子から受ける仕打ちに、次第に心が弱って行き…と同時に、聖女としての力が不安定になって行った。
そんな中、私と同じく聖女としての力に目覚めたかも知れないと妹が城を訪ねて来た。
妹のその力はまだとても弱いものだったが、彼女は私と違い美しい容姿をしており…王子はそんな妹にすぐに心惹かれ、彼女が完全に聖女として覚醒するまでこの城で面倒看ると言い出した。
しかし私は、その言葉に大きな不安を抱いた。
と言うのも…王子は気に入った女を城に連れ込み、愛人にしてしまう悪癖があったからだ。
これまでも何人もの女が城を出入りし…その度に私や王様は苦い顔をして居た。
でも今王様は他国に赴いており、この城の事は全て王子に任されて居る。
その為、誰も王子の蛮行を止める事が出来ずに居た。
それから少しして…城に迎えられた妹は、聖女として修業に励む事も無く王子と自由気ままに過ごして居た。
そんな二人の距離は、どんどん近くなっており…時には体の触れ合いまであった。
その為私は、妹に城を出て神殿で真面目に修行をするよう勧めたが…力が不安定な今のお姉様に言われる筋合いはないと拒否されてしまった。
その上、妹はこの件を王子に告げ口したらしく…私は王子に呼び出しを受ける事に─。
そして王子は私をあるものの前に連れて行き、そこに入れと命じて来た。
それは、床に描かれた大きな魔法陣で…私は何か嫌な予感がしたが、王子の命に逆らう事が出来ず仕方なくそこに入った。
そしてそれを見た王子は、嫌な笑みを受かべ…これでお前に邪魔される事無く妹を愛人に迎えられる、そしていずれはお前の代わりに婚約者に迎えるつもりだが…お前が深い眠りについても彼女が代わりの聖女を務めてくれるから安心だと言った。
どうやらこの魔法陣は、王子に雇われた魔法使いが描いたもので…そこに入った者を深い眠りにつかせ封じる力があるらしい。
私の力が万全な状態だったら、この魔法陣から逃れる事など簡単だが…これまでの事で弱り切った今の私にはそれは難しい─。
そして全てを理解した私だが…その瞬間、凄まじい光が私を包み…私の意識はそこで途切れてしまった。
それから、どれくらいの時が経ったのか…私は私を閉じ込めた魔法陣よりも強い光に急に包まれ、その瞬間目を覚ますのだった。
すると、そんな私を一人の殿方が見つめて居たが…それは、魔力を得たいと旅に出て居た王子の弟…第二王子だった。
どうやら弟君はその願いを叶えられ、自身の魔力であの魔方陣を打ち破って私を眠りから覚ましてくれたらしい。
だがそうすると、あの二人はどうなったのだろうか─?
すると弟君は、私が眠らされて半年の時が流れた事を教えて下さった。
そしてその間、聖女が不在となったこの国は…争いや天災が起き、王も亡くなり滅茶苦茶になってしまったのだと言う。
その後生き残った僅かな者達は、帰還した弟君と辺境の地に移り…そこで新たに国を再興させようとして居ると言う。
そして、私が気にするあの二人だが…城に押しかけた暴徒達によって、その場で処刑されてしまったらしい。
と言うのも、妹は結局聖女の力に覚醒出来ず…それどころか、僅かにあった力も私欲の為に使ってしまったと言う。
なのに、相変わらず王子と遊んでばかりで…この国が大変な事になって居るのに、二人は何も手を打たなかったのだ。
そのせいで怒った民の一部が暴徒化…城に押しかけ、二人に直接制裁を下したと言う訳だ。
その際、私は魔法陣に閉じ込められて居た為に事なきを得たが…今度は国を再興する為、その魔法陣から出し目覚めさせる必要が出て来たのだ。
そこで、強い魔力を得た弟君がその役を買って出る事となり…私をこうして無事救い出して下さったのだった。
だが私は、力が安定しない上にずっと眠らされて居た身─。
そんな私が、果たして皆の期待に応えられるのか…。
そう不安を訴える私に、弟君は手を差し伸べこう言った。
あなたがそうなったのは、その心を傷付けた兄や愛人である妹の存在があったから…。
でも、もうその二人は居ない。
その代わり、この先は自分がずっとあなたの傍に居て、あなたの身も心も守って行くからどうか安心して欲しい。
その言葉に、私は震える手で彼の手を取り立ち上がった。
すると弟君は、そんな私を真剣な目で見つめ…自身が魔力を得たいと思ったのは、聖女である私を守る力が欲しかった為だと言った。
私を婚約者…いずれ妃に迎えられるのは兄だと決まっており、ならば自分は陰からそれを見守る気で居たが…その兄ももう居ない。
だから自分の婚約者として、共にこの国を一から作って行って欲しい─。
その言葉に、私は弟君の心の内を知る事となり…真剣な彼のその気持ちに応えたいと思った。
きっと真面目で誠実な彼なら、私の心を傷付けはしないだろう…。
私は以前のようにちゃんと力を仕える聖女となって、そんな彼を支えて行きたい。
そう思った私は、彼にその決意を伝え…そして婚約者になる事を約束した。
そして私と彼はしっかりと互いの手を握り…ともに、荒れ果てた城を後にするのだった─。
しかし王子は地味な私が気にらないらしく、大事にしてくれなかった。
むしろ、私に冷たい態度を取り…時にはその不満を直接ぶつけて来た。
私は慣れない環境と王子から受ける仕打ちに、次第に心が弱って行き…と同時に、聖女としての力が不安定になって行った。
そんな中、私と同じく聖女としての力に目覚めたかも知れないと妹が城を訪ねて来た。
妹のその力はまだとても弱いものだったが、彼女は私と違い美しい容姿をしており…王子はそんな妹にすぐに心惹かれ、彼女が完全に聖女として覚醒するまでこの城で面倒看ると言い出した。
しかし私は、その言葉に大きな不安を抱いた。
と言うのも…王子は気に入った女を城に連れ込み、愛人にしてしまう悪癖があったからだ。
これまでも何人もの女が城を出入りし…その度に私や王様は苦い顔をして居た。
でも今王様は他国に赴いており、この城の事は全て王子に任されて居る。
その為、誰も王子の蛮行を止める事が出来ずに居た。
それから少しして…城に迎えられた妹は、聖女として修業に励む事も無く王子と自由気ままに過ごして居た。
そんな二人の距離は、どんどん近くなっており…時には体の触れ合いまであった。
その為私は、妹に城を出て神殿で真面目に修行をするよう勧めたが…力が不安定な今のお姉様に言われる筋合いはないと拒否されてしまった。
その上、妹はこの件を王子に告げ口したらしく…私は王子に呼び出しを受ける事に─。
そして王子は私をあるものの前に連れて行き、そこに入れと命じて来た。
それは、床に描かれた大きな魔法陣で…私は何か嫌な予感がしたが、王子の命に逆らう事が出来ず仕方なくそこに入った。
そしてそれを見た王子は、嫌な笑みを受かべ…これでお前に邪魔される事無く妹を愛人に迎えられる、そしていずれはお前の代わりに婚約者に迎えるつもりだが…お前が深い眠りについても彼女が代わりの聖女を務めてくれるから安心だと言った。
どうやらこの魔法陣は、王子に雇われた魔法使いが描いたもので…そこに入った者を深い眠りにつかせ封じる力があるらしい。
私の力が万全な状態だったら、この魔法陣から逃れる事など簡単だが…これまでの事で弱り切った今の私にはそれは難しい─。
そして全てを理解した私だが…その瞬間、凄まじい光が私を包み…私の意識はそこで途切れてしまった。
それから、どれくらいの時が経ったのか…私は私を閉じ込めた魔法陣よりも強い光に急に包まれ、その瞬間目を覚ますのだった。
すると、そんな私を一人の殿方が見つめて居たが…それは、魔力を得たいと旅に出て居た王子の弟…第二王子だった。
どうやら弟君はその願いを叶えられ、自身の魔力であの魔方陣を打ち破って私を眠りから覚ましてくれたらしい。
だがそうすると、あの二人はどうなったのだろうか─?
すると弟君は、私が眠らされて半年の時が流れた事を教えて下さった。
そしてその間、聖女が不在となったこの国は…争いや天災が起き、王も亡くなり滅茶苦茶になってしまったのだと言う。
その後生き残った僅かな者達は、帰還した弟君と辺境の地に移り…そこで新たに国を再興させようとして居ると言う。
そして、私が気にするあの二人だが…城に押しかけた暴徒達によって、その場で処刑されてしまったらしい。
と言うのも、妹は結局聖女の力に覚醒出来ず…それどころか、僅かにあった力も私欲の為に使ってしまったと言う。
なのに、相変わらず王子と遊んでばかりで…この国が大変な事になって居るのに、二人は何も手を打たなかったのだ。
そのせいで怒った民の一部が暴徒化…城に押しかけ、二人に直接制裁を下したと言う訳だ。
その際、私は魔法陣に閉じ込められて居た為に事なきを得たが…今度は国を再興する為、その魔法陣から出し目覚めさせる必要が出て来たのだ。
そこで、強い魔力を得た弟君がその役を買って出る事となり…私をこうして無事救い出して下さったのだった。
だが私は、力が安定しない上にずっと眠らされて居た身─。
そんな私が、果たして皆の期待に応えられるのか…。
そう不安を訴える私に、弟君は手を差し伸べこう言った。
あなたがそうなったのは、その心を傷付けた兄や愛人である妹の存在があったから…。
でも、もうその二人は居ない。
その代わり、この先は自分がずっとあなたの傍に居て、あなたの身も心も守って行くからどうか安心して欲しい。
その言葉に、私は震える手で彼の手を取り立ち上がった。
すると弟君は、そんな私を真剣な目で見つめ…自身が魔力を得たいと思ったのは、聖女である私を守る力が欲しかった為だと言った。
私を婚約者…いずれ妃に迎えられるのは兄だと決まっており、ならば自分は陰からそれを見守る気で居たが…その兄ももう居ない。
だから自分の婚約者として、共にこの国を一から作って行って欲しい─。
その言葉に、私は弟君の心の内を知る事となり…真剣な彼のその気持ちに応えたいと思った。
きっと真面目で誠実な彼なら、私の心を傷付けはしないだろう…。
私は以前のようにちゃんと力を仕える聖女となって、そんな彼を支えて行きたい。
そう思った私は、彼にその決意を伝え…そして婚約者になる事を約束した。
そして私と彼はしっかりと互いの手を握り…ともに、荒れ果てた城を後にするのだった─。
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