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元婚約者に結婚式を台無しにされそうになりましたが、漸く彼と完全に縁を切れそうです。
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私は婚約者に浮気された挙句、一方的に婚約破棄された苦い過去がある。
しかし…その男の事も、漸く記憶の片隅に追いやる事が出来た。
と言うのも、私の幼馴染が私を慰め支え続けてくれたから。
そして、私達は自然と恋仲となり…やがて結婚する事に─。
今日はそんな彼との結婚式の日だと言うのに…なのに、どうしてあの男がここに居るの─!?
会場に入って目にしたのは…呼んでも居ないのに式場に押しかけて来て、そしてそこに入る令嬢達に声をかけて回る元婚約者だった。
確かあの男は…浮気して婚約者を捨てたと言う悪評が立ち、新しい婚約者が見つからないと言う話だったわね。
もしやその相手を見つける為に、こんな所にまで乗り込んで来たと言うの…?
令嬢達が困って居るのを見た私は、すぐに彼に駆け寄り…彼の腕を取ると、会場の外へと連れ出した。
「あなた、よくここに顔が出せたわね!」
「いや~…ここには、名家の令嬢が何人も来て居ると聞いたからな。誰か一人くらいは、俺の事を好きになってくれる女が居るはずと思ってな。」
「呆れた…女漁りなら他所でやって頂戴─!」
しかし彼は、そんな私を見てニヤリと笑った。
「ここに来たのは、新しい女を見つける為でもあるが…自分だけ幸せになろうと言うお前に、復讐する為でもあるぞ?」
「何ですって?」
自分の行いが原因で身を滅ぼしたと言うのに…これではまるで逆恨みも良い所だわ─。
「とにかく、あなたは一刻も早くここを去りなさい。でなければ…タダでは済まないわよ?」
「フン!非力な女のお前に、一体何が出来ると言うんだ?」
「私でなく…私の夫となる彼が、あなたを許さないの─。」
その瞬間…元婚約者が、会場の外の道まで吹っ飛ばされた。
「うわッ…な、何が起こった!?」
元婚約者は泥まみれになり傷付いた体で立ち上がろうとしたが…こちらを見て、ビクリとその身を震わせた。
でも、それは仕方ないだろう─。
私を腕に抱き…鋭い目で睨みを聞かせて居る幼馴染の気迫は、鬼気迫るものがあったから─。
「おい…二度と彼女の前に現れるなと俺はお前に言ったのに、もう忘れてしまったのか?そして、もしそれを破ったらタダでは済まないと忠告したはずだ。」
「し、城の騎士団に所属して居るからと言って偉そうに…!お前など、俺の家の力があれば─」
「それは無理よ。今の彼には、王様が付いて居るのだから。」
「…え?」
「少し前に…お城に盗賊達が入り込もうとした事件があったでしょう?彼らをやっつけたのは、この彼です。彼一人で何人もの悪人を退治したのよ?その後、その件や過去の功績を王様に認められた彼は、この結婚式の後に騎士団長を任命する事が決まって居ます。そんな彼に、ただの成金息子のあなたが何を出来ると言うのよ?」
「それは…。」
「呼んでも居ないのに俺と彼女の結婚式に入り込み、招待客にも迷惑をかけたお前には、罪を償って貰うからな。」
「そ、そんな…。」
その後…元婚約者は招待されて居た彼の部下の騎士団員達に連れて行かれ、会場を後にした。
そして…王様の命で、彼はこの国を追放される事が決まったのだ。
王様は彼をとても気に入ってらっしゃるから…その彼の結婚式を台無しにしたあの人が許せなかったんでしょう。
しかも‥彼は悪い仲間と手を組み、あくどい商売にも手を染めて居た事も判明したそうで…ならば、そんな罰を受けても仕方ないわね。
それにしても…幼馴染がこんなにも出世する事になり、そのおかげであの男との悪縁が完全に切れる事になるとは…私は夫となる彼に心から感謝し、大事にして行く事を改めて誓うのだった─。
しかし…その男の事も、漸く記憶の片隅に追いやる事が出来た。
と言うのも、私の幼馴染が私を慰め支え続けてくれたから。
そして、私達は自然と恋仲となり…やがて結婚する事に─。
今日はそんな彼との結婚式の日だと言うのに…なのに、どうしてあの男がここに居るの─!?
会場に入って目にしたのは…呼んでも居ないのに式場に押しかけて来て、そしてそこに入る令嬢達に声をかけて回る元婚約者だった。
確かあの男は…浮気して婚約者を捨てたと言う悪評が立ち、新しい婚約者が見つからないと言う話だったわね。
もしやその相手を見つける為に、こんな所にまで乗り込んで来たと言うの…?
令嬢達が困って居るのを見た私は、すぐに彼に駆け寄り…彼の腕を取ると、会場の外へと連れ出した。
「あなた、よくここに顔が出せたわね!」
「いや~…ここには、名家の令嬢が何人も来て居ると聞いたからな。誰か一人くらいは、俺の事を好きになってくれる女が居るはずと思ってな。」
「呆れた…女漁りなら他所でやって頂戴─!」
しかし彼は、そんな私を見てニヤリと笑った。
「ここに来たのは、新しい女を見つける為でもあるが…自分だけ幸せになろうと言うお前に、復讐する為でもあるぞ?」
「何ですって?」
自分の行いが原因で身を滅ぼしたと言うのに…これではまるで逆恨みも良い所だわ─。
「とにかく、あなたは一刻も早くここを去りなさい。でなければ…タダでは済まないわよ?」
「フン!非力な女のお前に、一体何が出来ると言うんだ?」
「私でなく…私の夫となる彼が、あなたを許さないの─。」
その瞬間…元婚約者が、会場の外の道まで吹っ飛ばされた。
「うわッ…な、何が起こった!?」
元婚約者は泥まみれになり傷付いた体で立ち上がろうとしたが…こちらを見て、ビクリとその身を震わせた。
でも、それは仕方ないだろう─。
私を腕に抱き…鋭い目で睨みを聞かせて居る幼馴染の気迫は、鬼気迫るものがあったから─。
「おい…二度と彼女の前に現れるなと俺はお前に言ったのに、もう忘れてしまったのか?そして、もしそれを破ったらタダでは済まないと忠告したはずだ。」
「し、城の騎士団に所属して居るからと言って偉そうに…!お前など、俺の家の力があれば─」
「それは無理よ。今の彼には、王様が付いて居るのだから。」
「…え?」
「少し前に…お城に盗賊達が入り込もうとした事件があったでしょう?彼らをやっつけたのは、この彼です。彼一人で何人もの悪人を退治したのよ?その後、その件や過去の功績を王様に認められた彼は、この結婚式の後に騎士団長を任命する事が決まって居ます。そんな彼に、ただの成金息子のあなたが何を出来ると言うのよ?」
「それは…。」
「呼んでも居ないのに俺と彼女の結婚式に入り込み、招待客にも迷惑をかけたお前には、罪を償って貰うからな。」
「そ、そんな…。」
その後…元婚約者は招待されて居た彼の部下の騎士団員達に連れて行かれ、会場を後にした。
そして…王様の命で、彼はこの国を追放される事が決まったのだ。
王様は彼をとても気に入ってらっしゃるから…その彼の結婚式を台無しにしたあの人が許せなかったんでしょう。
しかも‥彼は悪い仲間と手を組み、あくどい商売にも手を染めて居た事も判明したそうで…ならば、そんな罰を受けても仕方ないわね。
それにしても…幼馴染がこんなにも出世する事になり、そのおかげであの男との悪縁が完全に切れる事になるとは…私は夫となる彼に心から感謝し、大事にして行く事を改めて誓うのだった─。
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