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結婚が決まって居たのは私だったのに、実際に花嫁となったのは可愛い義妹でした…。
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近く、結婚する事が決まった私。
それを大好きな祖母に報告すれば…大層喜び、私の花嫁衣裳のドレスを作ると言ってくれた。
祖母は昔、王都で人気だったドレスのデザイナーで…裁縫の腕も優れて居た。
「あなたに似合う…そしてあなたが幸せになれる、とびきりのドレスを用意するわね─。」
そう言って微笑む祖母に、私は心からの感謝を告げた。
そして、結婚式当日─。
そのドレスを纏う事になったのは…私ではなく、義妹だった。
彼女は…私には地味なデザインだけれど、良い生地を使って居るなどと言い、幸せそうに微笑んで居た。
そしてそんな義妹を…私の元婚約者は、とても可愛いと褒め称えた。
実は…私は結婚式の直前、義妹に婚約者を略奪されてしまったのだ。
それを知り涙する私に、可愛い義妹の誘惑に耐える事が出来なかったと彼は言った。
更に、地味で平凡な私には飽きた…そんなお前では結婚式のドレス姿も期待できないなどと言い、私との結婚を無かった事にした。
そして代わりに、彼は義妹と結婚式を挙げる事になり…祖母が私の為にと作ったドレスを義妹が無理矢理奪い、こうして纏う事になったのだった。
そんな二人の幸せそうな姿に、私はとうとう耐え切れなくなり…式を抜け出し、祖母の家へと向かった。
義妹は祖母を口うるさいだの、そもそも年寄りは嫌いだのと言って、結婚式には招かなかったのだ。
そして顔を見るなり号泣する私を、祖母は一生懸命慰めてくれた。
すると…少しして、いつもは見せない険しい顔をしこう言った。
「あのドレスが完成した時…私はあれを神殿に持って行って、あなたが幸せになれる様に聖女様に加護を授けて貰ったんだよ。」
「え…?」
「だから本来、あのドレスはあなたしか纏えないの。なのに、姉を裏切るような悪女が着たら…さぞや大きな罰が当たる事になるでしょうね。」
そして、そんな悪女や愚かな男の事は忘れ…新しい恋を見つけ、今度こそ幸せになって頂戴と微笑んだ。
「でも私、もう恋など─」
その時、誰かが屋敷のドアを叩く音がした。
それを聞いた祖母は…あなたの事を大事に想う者は、きっとすぐ近くに居ると言い…玄関のドアを開けた。
するとそこには、私の男友達が息を切らし立って居て…私の顔を見て、安心した様に微笑んだ。
「急に居なくなったから、何かおかしな事を考えてやしないかと心配で後を追って来たんだ。」
そんな彼に、私は心配をかけた事を謝った。
そして、もう大丈夫だから式に戻ると言う私に…式は中止になったから、その必要は無いと言った。
首を傾げる私に…元婚約者の愛人を名乗る女が式に乱入し、彼と義妹をナイフで刺したからだと説明した。
その結果、元婚約者はその場で亡くなり…義妹は一命を取り留めたものの、その可愛い顔を失ってしまったそうだ。
「こう言っては何だが…君があの男と結婚しなくて本当に良かった。もしかしたら、刺されて居たのは君だったかも知れないのだから─。」
彼の言葉に、私は青ざめながら確かにと頷いた。
もしかしたら…私はあのドレスの加護によって、悲惨な運命を迎えずに済んだのかも─。
そう思い祖母を見れば…彼女もそうだと思ったのか、コクリと頷いた。
そして…彼に近づき、こう言ったのだ。
「この子をそこまで心配してくれてありがとう。この子は私の可愛い孫だから、どうか幸せになって貰いたいのだけれど─。」
すると彼は、祖母をじっと見た後…その役目は、どうか自分に任せて欲しいと言った。
そして、驚く私に向き直ると…以前から、密かに私の事が好きだった事─。
こんなふうに傷つく私を、もう見て居られない…これからは、自分の手で幸せにしてあげたいのだと、真剣な面持ちで告白してくれた。
「俺は、絶対に君を裏切らない。一生大事にすると、ここで誓うよ─。」
彼の言葉に、私はチラリと祖母を見た。
すると祖母は…温かい笑みを浮かべ、私達を見て居た。
その笑顔を見た時…彼となら仲良くやって行ける、きっと幸せになれると、不思議と心からそう思う事が出来た。
そして、私は彼の気持ちに応えたのだった─。
その後、私達は順調に交際を続け…そろそろ結婚しようかと言う話になった。
その話を聞いた祖母は大いに喜び、早速ドレスの制作に取り掛かった。
私は今度こそ、大好きな祖母の作ったドレスを身に纏い…幸せを手にする事が出来るでしょう─。
その日が来るのを、私は指折り数え待って居るのだった─。
それを大好きな祖母に報告すれば…大層喜び、私の花嫁衣裳のドレスを作ると言ってくれた。
祖母は昔、王都で人気だったドレスのデザイナーで…裁縫の腕も優れて居た。
「あなたに似合う…そしてあなたが幸せになれる、とびきりのドレスを用意するわね─。」
そう言って微笑む祖母に、私は心からの感謝を告げた。
そして、結婚式当日─。
そのドレスを纏う事になったのは…私ではなく、義妹だった。
彼女は…私には地味なデザインだけれど、良い生地を使って居るなどと言い、幸せそうに微笑んで居た。
そしてそんな義妹を…私の元婚約者は、とても可愛いと褒め称えた。
実は…私は結婚式の直前、義妹に婚約者を略奪されてしまったのだ。
それを知り涙する私に、可愛い義妹の誘惑に耐える事が出来なかったと彼は言った。
更に、地味で平凡な私には飽きた…そんなお前では結婚式のドレス姿も期待できないなどと言い、私との結婚を無かった事にした。
そして代わりに、彼は義妹と結婚式を挙げる事になり…祖母が私の為にと作ったドレスを義妹が無理矢理奪い、こうして纏う事になったのだった。
そんな二人の幸せそうな姿に、私はとうとう耐え切れなくなり…式を抜け出し、祖母の家へと向かった。
義妹は祖母を口うるさいだの、そもそも年寄りは嫌いだのと言って、結婚式には招かなかったのだ。
そして顔を見るなり号泣する私を、祖母は一生懸命慰めてくれた。
すると…少しして、いつもは見せない険しい顔をしこう言った。
「あのドレスが完成した時…私はあれを神殿に持って行って、あなたが幸せになれる様に聖女様に加護を授けて貰ったんだよ。」
「え…?」
「だから本来、あのドレスはあなたしか纏えないの。なのに、姉を裏切るような悪女が着たら…さぞや大きな罰が当たる事になるでしょうね。」
そして、そんな悪女や愚かな男の事は忘れ…新しい恋を見つけ、今度こそ幸せになって頂戴と微笑んだ。
「でも私、もう恋など─」
その時、誰かが屋敷のドアを叩く音がした。
それを聞いた祖母は…あなたの事を大事に想う者は、きっとすぐ近くに居ると言い…玄関のドアを開けた。
するとそこには、私の男友達が息を切らし立って居て…私の顔を見て、安心した様に微笑んだ。
「急に居なくなったから、何かおかしな事を考えてやしないかと心配で後を追って来たんだ。」
そんな彼に、私は心配をかけた事を謝った。
そして、もう大丈夫だから式に戻ると言う私に…式は中止になったから、その必要は無いと言った。
首を傾げる私に…元婚約者の愛人を名乗る女が式に乱入し、彼と義妹をナイフで刺したからだと説明した。
その結果、元婚約者はその場で亡くなり…義妹は一命を取り留めたものの、その可愛い顔を失ってしまったそうだ。
「こう言っては何だが…君があの男と結婚しなくて本当に良かった。もしかしたら、刺されて居たのは君だったかも知れないのだから─。」
彼の言葉に、私は青ざめながら確かにと頷いた。
もしかしたら…私はあのドレスの加護によって、悲惨な運命を迎えずに済んだのかも─。
そう思い祖母を見れば…彼女もそうだと思ったのか、コクリと頷いた。
そして…彼に近づき、こう言ったのだ。
「この子をそこまで心配してくれてありがとう。この子は私の可愛い孫だから、どうか幸せになって貰いたいのだけれど─。」
すると彼は、祖母をじっと見た後…その役目は、どうか自分に任せて欲しいと言った。
そして、驚く私に向き直ると…以前から、密かに私の事が好きだった事─。
こんなふうに傷つく私を、もう見て居られない…これからは、自分の手で幸せにしてあげたいのだと、真剣な面持ちで告白してくれた。
「俺は、絶対に君を裏切らない。一生大事にすると、ここで誓うよ─。」
彼の言葉に、私はチラリと祖母を見た。
すると祖母は…温かい笑みを浮かべ、私達を見て居た。
その笑顔を見た時…彼となら仲良くやって行ける、きっと幸せになれると、不思議と心からそう思う事が出来た。
そして、私は彼の気持ちに応えたのだった─。
その後、私達は順調に交際を続け…そろそろ結婚しようかと言う話になった。
その話を聞いた祖母は大いに喜び、早速ドレスの制作に取り掛かった。
私は今度こそ、大好きな祖母の作ったドレスを身に纏い…幸せを手にする事が出来るでしょう─。
その日が来るのを、私は指折り数え待って居るのだった─。
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