100 / 188
私の婚約者や美形の殿方達を従えて幸せに暮らす妹ですが、結局何もかも失ってしまうのでした。
しおりを挟む
美形の男たちに囲まれ楽しく暮らす妹─。
彼らはいつも、妹の身の回りの世話を喜んでして居る。
そして、その中には…私の婚約者の姿もあった。
「彼ったら、お姉様よりも私の傍に居たいそうよ?私があんまり可愛いから、彼だけでなく皆私を好きになっちゃうの。こんな生活が送れて最高だわ!」
そう言って、妹は心底幸せそうな顔をして笑って居た。
…全く。
そうやって、呑気に笑って居ればいいわ。
だってあなたのこの幸せは、もうすぐ終わりを迎えるもの─。
それから少しして…妹はいつものようにその男たちに自分の世話をさせる為、あれこれ命令したのだが…男たちはそれを拒否─。
それどころか、妹を罵り始めたのだ。
「何…どうして私の言う事が聞けないの!?」
「どうしてって…何故、他人のお前の言う事を聞かななくてはならない!」
「こ、この可愛い私に逆らうの!?」
すると男たちは互いに顔を見合わせ…そして、揃ってお腹を抱え笑い出した。
「お前が可愛いだって!?馬鹿な冗談はよせ、自分の顔を鏡で見た事ないのか?」
そう言って、一人の男が傍に在った手鏡を妹に放り投げ…妹は、震える手でそれを拾い上げ覗いた。
「どうして…私の顔が、元に戻って居るわ!」
「元に?…よく分からないが、俺はお前みたいな女の召使になるのはご免だ。というか…俺は、どうしてこんな所に居るんだ?」
「俺も同じだよ。早く家に帰らないと─。」
そう言って、男たちは皆揃って家を出て行ってしまった。
「待ちなさい!お願い、行かないで!」
「追っても無駄よ。彼らはもう、あなたの言う事など聞かないわ。」
「お、お姉様…どうして話が出来るの?あなたの声は、私が魔力で封じたのに─!」
「それはね…彼が、あの魔法石を破壊してくれたからよ─。」
そして部屋に現れたのは…私の婚約者で、騎士団長を務めて居る彼だった。
「この魔法石を町の露天商で偶然手にしたお前は、自分の容姿を美しくしたり気に入った男を魔力で操り下僕にしていた。更に、それを咎めた姉である彼女の声を奪いこの家に閉じ込めた。俺は婚約者である彼女に会えなくなり…きっと何かあったと思い、わざとこの家に近づいたんだ。」
「う、嘘…あなたも、皆と同じく操られて居たんじゃ─」
「俺は騎士団に入る際に神殿で加護を貰ったから、そういう邪悪な魔力の餌食にはならない。だから、わざとお前に魅了された振りをしこの家を探って居たんだ。そして、お前があの魔法石を大事にして居る事を知った。」
「そんなぁ…。」
「団長である彼の剣は、どんな固い魔物でも斬れるから…あなたの魔法石もきっと壊せると私は思ったの。」
「彼女が紙に書き説明してくれた通り、俺は魔法石を真っ二つに叩き切った。そして、この中に閉じ込められて居た魔力はすっかり消失し…それ故にお前の力も消えたんだ。」
割れた石を見た妹は、絶望の表情を浮かべガクリと崩れ落ちた。
「わ、私の美しい顔が…私の楽園が…幸せが壊れてしまった─!」
そう泣き叫ぶ妹を、私と彼は冷たい目で見つめるのだった─。
その後…妹は、駆けつけた憲兵に連れて行かれた。
この国では、魔法石や魔道具で人を操る事は禁じられて居る。
男を魔力で洗脳し攫った後に監禁、そして身内さえも手にかけると言う大罪を犯した妹は、もう一生牢からは出られないだろう。
そして無事に声を取り戻し、以前のように愛の言葉を囁く事が叶った私を…婚約者の彼は、本当に良かったと言って優しく抱きしめてくれた。
彼と会えなくて不安だったけれど、まさか自らここに乗り込み私を救ってくれるとは…彼は騎士だけど、私にとってはかけがえのない王子様だわ。
彼の事は大好きだったけれど、今回の事で益々惚れ込んだわね─。
彼らはいつも、妹の身の回りの世話を喜んでして居る。
そして、その中には…私の婚約者の姿もあった。
「彼ったら、お姉様よりも私の傍に居たいそうよ?私があんまり可愛いから、彼だけでなく皆私を好きになっちゃうの。こんな生活が送れて最高だわ!」
そう言って、妹は心底幸せそうな顔をして笑って居た。
…全く。
そうやって、呑気に笑って居ればいいわ。
だってあなたのこの幸せは、もうすぐ終わりを迎えるもの─。
それから少しして…妹はいつものようにその男たちに自分の世話をさせる為、あれこれ命令したのだが…男たちはそれを拒否─。
それどころか、妹を罵り始めたのだ。
「何…どうして私の言う事が聞けないの!?」
「どうしてって…何故、他人のお前の言う事を聞かななくてはならない!」
「こ、この可愛い私に逆らうの!?」
すると男たちは互いに顔を見合わせ…そして、揃ってお腹を抱え笑い出した。
「お前が可愛いだって!?馬鹿な冗談はよせ、自分の顔を鏡で見た事ないのか?」
そう言って、一人の男が傍に在った手鏡を妹に放り投げ…妹は、震える手でそれを拾い上げ覗いた。
「どうして…私の顔が、元に戻って居るわ!」
「元に?…よく分からないが、俺はお前みたいな女の召使になるのはご免だ。というか…俺は、どうしてこんな所に居るんだ?」
「俺も同じだよ。早く家に帰らないと─。」
そう言って、男たちは皆揃って家を出て行ってしまった。
「待ちなさい!お願い、行かないで!」
「追っても無駄よ。彼らはもう、あなたの言う事など聞かないわ。」
「お、お姉様…どうして話が出来るの?あなたの声は、私が魔力で封じたのに─!」
「それはね…彼が、あの魔法石を破壊してくれたからよ─。」
そして部屋に現れたのは…私の婚約者で、騎士団長を務めて居る彼だった。
「この魔法石を町の露天商で偶然手にしたお前は、自分の容姿を美しくしたり気に入った男を魔力で操り下僕にしていた。更に、それを咎めた姉である彼女の声を奪いこの家に閉じ込めた。俺は婚約者である彼女に会えなくなり…きっと何かあったと思い、わざとこの家に近づいたんだ。」
「う、嘘…あなたも、皆と同じく操られて居たんじゃ─」
「俺は騎士団に入る際に神殿で加護を貰ったから、そういう邪悪な魔力の餌食にはならない。だから、わざとお前に魅了された振りをしこの家を探って居たんだ。そして、お前があの魔法石を大事にして居る事を知った。」
「そんなぁ…。」
「団長である彼の剣は、どんな固い魔物でも斬れるから…あなたの魔法石もきっと壊せると私は思ったの。」
「彼女が紙に書き説明してくれた通り、俺は魔法石を真っ二つに叩き切った。そして、この中に閉じ込められて居た魔力はすっかり消失し…それ故にお前の力も消えたんだ。」
割れた石を見た妹は、絶望の表情を浮かべガクリと崩れ落ちた。
「わ、私の美しい顔が…私の楽園が…幸せが壊れてしまった─!」
そう泣き叫ぶ妹を、私と彼は冷たい目で見つめるのだった─。
その後…妹は、駆けつけた憲兵に連れて行かれた。
この国では、魔法石や魔道具で人を操る事は禁じられて居る。
男を魔力で洗脳し攫った後に監禁、そして身内さえも手にかけると言う大罪を犯した妹は、もう一生牢からは出られないだろう。
そして無事に声を取り戻し、以前のように愛の言葉を囁く事が叶った私を…婚約者の彼は、本当に良かったと言って優しく抱きしめてくれた。
彼と会えなくて不安だったけれど、まさか自らここに乗り込み私を救ってくれるとは…彼は騎士だけど、私にとってはかけがえのない王子様だわ。
彼の事は大好きだったけれど、今回の事で益々惚れ込んだわね─。
153
お気に入りに追加
915
あなたにおすすめの小説
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
婚約破棄と言いますが、好意が無いことを横においても、婚約できるような関係ではないのですが?
迷い人
恋愛
婚約破棄を宣言した次期公爵スタンリー・グルーバーは、恥をかいて引きこもり、当主候補から抹消された。
私、悪くありませんよね?
バカ二人のおかげで優秀な婿と結婚できるお話
下菊みこと
恋愛
バカ二人が自滅するだけ。ゴミを一気に処分できてスッキリするお話。
ルルシアは義妹と自分の婚約者が火遊びをして、子供が出来たと知る。ルルシアは二人の勘違いを正しつつも、二人のお望み通り婚約者のトレードはしてあげる。結果、本来より良い婿を手に入れることになる。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる