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妃候補だった私と義妹ですが、どちらかを選ぶかで王子の運命が決まってしまいました──。
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「俺は、彼女を選びます。」
そう言って、王子は私の隣に居た義妹に手を差し伸べ…そして義妹は、喜んでその手を掴んだ。
そんな二人は、今からある事試される。
そえれは、この国の未来を任せて良いのかどうかだ─。
***
「俺はもうすぐ王になる。そしてその為に、妃になる女を選べと父に言われた。その候補がお前たちという訳だ。二人は姉妹と聞いていたが…噂通りの容姿だな。姉が不美人な方で、妹が美人な方か。」
「王子ったら何て正直な…。でもその覚え方で正解ですわ。私たちは母親が違うから、似てないのも仕方ありません。」
そう言って、王子と義妹は笑い合い…私は、そんな二人をぼんやりと見て居た。
この国には、ある風習がある。
王子の妃候補として、国の娘の中から二人が選ばれる。
それは今回の様に姉妹であったり、赤の他人であったり色々だ。
現王の夢の中にこの国の守護神が現れ、その娘の名を告げ…王は言われた通りその娘を探し出し、王子の妃にふさわしい娘になるべく彼女らに学びの場を与える。
そして王子が妃を迎える年齢になると、彼女たちに引き合わせ…その後しばらくして、王子自身にどちらかの娘を選ばせる。
片方は本当の妃になる娘、もう片方はその資格が無かった者…つまりは不正解だ。
そして選んだ娘と共に、王家に代々伝わる剣を神殿の泉から引き抜く事が出来たら、王子は次期王として神に確かに認められたという事で、この国を任せられるのだ─。
すると王子は、未だ何も言わない私をジロリと見て来た。
「姉は随分と愛想が無いな。」
「あぁ…この人は、昔から男が苦手なの。」
「何?じゃあもう、俺の相手は決まったようなものだな。」
そう言うと、王子は義妹の肩を抱き部屋を出て行った─。
あれから幾日が経ったが…王子は義妹とばかり過ごし、私の存在などまるで無視していた。
「お前は本当に美しい…お前が妃になったら、毎日この顔が見られるな。」
「見るだけじゃなくて、毎日触れて素敵な事も出来るわ。」
「おお、それは楽しみだ。あの姉もお前を見習うべきだが…まぁ、不美人には無理だな。」
そう言って、離れた所に控える私を馬鹿にする王子だが…違うわ。
私は…男が苦手なのではなく、ただあなたが嫌いなだけよ。
王子は忘れてしまったようだけど、私と彼は幼い頃にあるパーティーで会ってる。
そんな彼は私を見るなり、その容姿を酷く侮辱した。
私は先祖返りで、珍しい髪と瞳の色をして居るからそれで─。
すると王子はそんな私を化け物だと呼び、階段から突き落した。
しかし何とか幸い怪我だけで済んだ私を、王子はは今と同じように嘲笑い眺めて居た。
だからそんな残酷非道な者、この国を司る王になどなれるはずがない。
それに義妹だって、未来の妃としてはその品行に問題があるわ。
彼女は自分の美しさを理解しており、このお城に入るまでに何人の男と遊んできた事か─。
だからそんな二人が結ばれたら、どんな恐ろしい事になるのか心配だった…。
でも聞いたのだ。
稀に、儀式が失敗する事もあると─。
「次期王とその妃になる者です。神よ、どうぞあなたの判断を─。」
王子と義妹は神殿の泉に入り、そして台座から剣を引き抜こうとした。
しかし、剣は一向に抜けない。
「おい、もっと力を入れろ!」
「やってるわ!王子こそ、男なんだから力を込めて!」
二人は互いに文句を言い合い、色々と喚き合っているが…剣は一向に抜けない。
「ま、待て…何かおかしい。泉の水が、どんどん深く…これは、一体?」
「嘘、剣から手が離れない!」
「王子…どうやらあなたは失敗したみたいですね。」
私の言葉に、王子の額に冷や汗が滲んだ。
「お前、何を言うんだ!?」
「妃候補として教育を受けた時に聞きました。神に認められたら、剣は力を込めずとも引き抜く事が出来ると。でも…一向に剣が抜けない時は危険だ。なぜならそれは、近い将来二人が、この国を転覆させるから…。そうですよね、王様?」
「その通りだ…お前たちは恐ろしい存在だ。この国の為に、もう生かしておく事は出来ない、それが決まりなんだ。だから…お前たちは、そのまま泉に沈む事となる。」
「お、俺が居なくなったら、次期王はどうなるのです!?」
「構いません。あなたには、双子の弟君がいらっしゃるのだから。」
「何故それを知って…あいつは体が弱く、人前には出てこないのに!」
「良く存じて居ますよ。だってあの後…階段から落ちた私を介抱してくれたのは彼だから。」
「は?階段…?」
「…いえ、あなたにはもう関係のない事ですよ。」
すると義妹が、涙を流し私に救いを求めて来た。
「お姉様!私、死にたくないわ!」
と同時に、王子も焦り喚き出した。
「じ、次期王はこの俺だ。こんなの認められるか!」
そう言って二人は暴れ叫んだが…その声ごと、二人は泉の底へと姿を消した─。
その後…王子が姿を消した為、特例として弟の王子が次期王の候補に選ばれる事に。
そしてその妃として隣に立つのが、残った妃候補の私だ。
あの王子は不正解の義妹を選びあんな結果になった、だから残った私は…つまりはそう言う事である。
「君が僕の元に来てくれてから体の調子も良くなったし、気持ちも前向きになれた。今の自分なら次期王としてやっていける気がするよ。」
「守護神が、あなたと私にこの国を任せよう…そう、思ってくれたからじゃないでしょうか。」
そして、私達の儀式は見事に成功した。
儀式後、私は泉の底をじっと見たが…あの二人の姿は、全く見えないのだった。
私を選んでいれば、王子…あなたはその命を失わずに済んだわ。
でも、あなた相手に選ばれてもすぐにこちらからお断りだったでしょう─。
そう言って、王子は私の隣に居た義妹に手を差し伸べ…そして義妹は、喜んでその手を掴んだ。
そんな二人は、今からある事試される。
そえれは、この国の未来を任せて良いのかどうかだ─。
***
「俺はもうすぐ王になる。そしてその為に、妃になる女を選べと父に言われた。その候補がお前たちという訳だ。二人は姉妹と聞いていたが…噂通りの容姿だな。姉が不美人な方で、妹が美人な方か。」
「王子ったら何て正直な…。でもその覚え方で正解ですわ。私たちは母親が違うから、似てないのも仕方ありません。」
そう言って、王子と義妹は笑い合い…私は、そんな二人をぼんやりと見て居た。
この国には、ある風習がある。
王子の妃候補として、国の娘の中から二人が選ばれる。
それは今回の様に姉妹であったり、赤の他人であったり色々だ。
現王の夢の中にこの国の守護神が現れ、その娘の名を告げ…王は言われた通りその娘を探し出し、王子の妃にふさわしい娘になるべく彼女らに学びの場を与える。
そして王子が妃を迎える年齢になると、彼女たちに引き合わせ…その後しばらくして、王子自身にどちらかの娘を選ばせる。
片方は本当の妃になる娘、もう片方はその資格が無かった者…つまりは不正解だ。
そして選んだ娘と共に、王家に代々伝わる剣を神殿の泉から引き抜く事が出来たら、王子は次期王として神に確かに認められたという事で、この国を任せられるのだ─。
すると王子は、未だ何も言わない私をジロリと見て来た。
「姉は随分と愛想が無いな。」
「あぁ…この人は、昔から男が苦手なの。」
「何?じゃあもう、俺の相手は決まったようなものだな。」
そう言うと、王子は義妹の肩を抱き部屋を出て行った─。
あれから幾日が経ったが…王子は義妹とばかり過ごし、私の存在などまるで無視していた。
「お前は本当に美しい…お前が妃になったら、毎日この顔が見られるな。」
「見るだけじゃなくて、毎日触れて素敵な事も出来るわ。」
「おお、それは楽しみだ。あの姉もお前を見習うべきだが…まぁ、不美人には無理だな。」
そう言って、離れた所に控える私を馬鹿にする王子だが…違うわ。
私は…男が苦手なのではなく、ただあなたが嫌いなだけよ。
王子は忘れてしまったようだけど、私と彼は幼い頃にあるパーティーで会ってる。
そんな彼は私を見るなり、その容姿を酷く侮辱した。
私は先祖返りで、珍しい髪と瞳の色をして居るからそれで─。
すると王子はそんな私を化け物だと呼び、階段から突き落した。
しかし何とか幸い怪我だけで済んだ私を、王子はは今と同じように嘲笑い眺めて居た。
だからそんな残酷非道な者、この国を司る王になどなれるはずがない。
それに義妹だって、未来の妃としてはその品行に問題があるわ。
彼女は自分の美しさを理解しており、このお城に入るまでに何人の男と遊んできた事か─。
だからそんな二人が結ばれたら、どんな恐ろしい事になるのか心配だった…。
でも聞いたのだ。
稀に、儀式が失敗する事もあると─。
「次期王とその妃になる者です。神よ、どうぞあなたの判断を─。」
王子と義妹は神殿の泉に入り、そして台座から剣を引き抜こうとした。
しかし、剣は一向に抜けない。
「おい、もっと力を入れろ!」
「やってるわ!王子こそ、男なんだから力を込めて!」
二人は互いに文句を言い合い、色々と喚き合っているが…剣は一向に抜けない。
「ま、待て…何かおかしい。泉の水が、どんどん深く…これは、一体?」
「嘘、剣から手が離れない!」
「王子…どうやらあなたは失敗したみたいですね。」
私の言葉に、王子の額に冷や汗が滲んだ。
「お前、何を言うんだ!?」
「妃候補として教育を受けた時に聞きました。神に認められたら、剣は力を込めずとも引き抜く事が出来ると。でも…一向に剣が抜けない時は危険だ。なぜならそれは、近い将来二人が、この国を転覆させるから…。そうですよね、王様?」
「その通りだ…お前たちは恐ろしい存在だ。この国の為に、もう生かしておく事は出来ない、それが決まりなんだ。だから…お前たちは、そのまま泉に沈む事となる。」
「お、俺が居なくなったら、次期王はどうなるのです!?」
「構いません。あなたには、双子の弟君がいらっしゃるのだから。」
「何故それを知って…あいつは体が弱く、人前には出てこないのに!」
「良く存じて居ますよ。だってあの後…階段から落ちた私を介抱してくれたのは彼だから。」
「は?階段…?」
「…いえ、あなたにはもう関係のない事ですよ。」
すると義妹が、涙を流し私に救いを求めて来た。
「お姉様!私、死にたくないわ!」
と同時に、王子も焦り喚き出した。
「じ、次期王はこの俺だ。こんなの認められるか!」
そう言って二人は暴れ叫んだが…その声ごと、二人は泉の底へと姿を消した─。
その後…王子が姿を消した為、特例として弟の王子が次期王の候補に選ばれる事に。
そしてその妃として隣に立つのが、残った妃候補の私だ。
あの王子は不正解の義妹を選びあんな結果になった、だから残った私は…つまりはそう言う事である。
「君が僕の元に来てくれてから体の調子も良くなったし、気持ちも前向きになれた。今の自分なら次期王としてやっていける気がするよ。」
「守護神が、あなたと私にこの国を任せよう…そう、思ってくれたからじゃないでしょうか。」
そして、私達の儀式は見事に成功した。
儀式後、私は泉の底をじっと見たが…あの二人の姿は、全く見えないのだった。
私を選んでいれば、王子…あなたはその命を失わずに済んだわ。
でも、あなた相手に選ばれてもすぐにこちらからお断りだったでしょう─。
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