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妹と違い愛されない嫌われ聖女の私など要らないと、王によって追放処分を受けました…。
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この国には、聖女が二人居る。
一人は姉の私、もう一人は妹だった。
私達はほぼ同時期に聖女の力に目覚め、共に神殿に迎え入れられ…私達は、姉妹で力を合わせこの国の為に祈りを捧げて来た。
そしてそんな日々は、これから先も続く…そう、私は思って居た。
だが…王が妹を見初め、妹も王を好きになった事で事態は一変した。
王は、妹だけを特別扱いし…やがて、この国に聖女は二人も要らない…姉の私は聖女の座を退く様にと命じた。
そして妹も、王の言う通りにすべきだと私に言って来る様になった。
「お前は聖女の癖に、地味で暗い。そのせいで、民から全く好かれてないじゃないか。そんな者を彼女の傍に置いておけば、彼女まで悪い目で見られてしまうだろう─!」
確かに、私は妹と違って可愛くも明るくも無く…加護を貰いにやって来た民達は、いつも妹を選んで居た。
でも、妹が忙しかったり不在の場合は私が代わりに加護を授けたが…その時は、皆心なしかガッカリして居た─。
「その様子は…お前にも心当たりがあるんだろう?お前は彼女と違い、民から愛されて居ないんだ。そんな聖女、この国にはもう必要ない。」
「で、ですが…私はこれからも妹と─」
「お姉様…この国を守る事くらい、私一人でも出来ます!私の愛する王の命に逆らおうなど…いくらお姉様でも、決して許しません!」
妹にまでそう言われ…私は言われた通り、聖女の座を退きこの国を出て行く事にした。
昨夜見た、ある夢の事は何も言わず─。
その後、私は隣国へと渡った。
この国は、まだ聖女が存在しておらず…私はあの国の聖女の座こそ退いたが、その力はまだ健在で…それを、この国の為に役立てたかったのだ。
そして、それを隣国の王に申し出れば…彼は私を大いに歓迎して下さった。
また隣国の王は…自分が見たと言う、ある不思議な夢について語った。
「君がここに来る前の晩…俺は不思議な夢を見た。何やら大きな金色の獅子が出て来て、明日お前の運命の相手が城を訪ねて来る─。そしてその人物は、自分と同じ金の輝きを纏って居るからすぐ分ると言ったが…それは、まさに君の事だったんだね。君の身体からは、眩い輝きを感じる─。」
「金色の獅子は、あの国の守護神様です。そして私も、あの国を追放される前に不思議な夢を見ました。恋に溺れた妹は聖女としての力をやがて失う…だからこそ、私がこの国に必要だが…私はこの国から追放される事になる。そうなったら隣国に行き…王に会う様に─。なぜなら…彼こそが私の運命の相手なのだから、と─。」
そう話し、私はニコリと笑みを浮かべ隣国の王を見つめ…彼もまた、そんな私に優しく微笑み…そしてそっと抱き締めてくれたのだった─。
それから私は、この隣国の聖女としてこの国の為に祈りを捧げ…と同時に、王の妃としても彼の傍で過ごす事になった。
そんな私は、愛され聖女のお妃などと隣国の民達から呼ばれ、とても大事にされる事に─。
それは、あの国ではまず無かった事で…少し気恥ずかしいが、私はそれを嬉しく思って居る。
一方、聖女が妹だけになったあの国は…王との恋に溺れた妹が、聖女としての役目を果たさなくなり…その上、自分と王の幸せだけを祈る様になった。
すると、その我欲の強さが聖女の力を上回り…守護神様の仰った通り、妹はついに聖女の力を失くしてしまった。
そのせいで、あの国では疫病や天災が発生し…今や民の殆どがあの国から出て行ってしまい、国は崩壊寸前だと言う。
その責任を取るべく、妹は聖女の座を剥奪され処刑される事になり…王も弟君に王の座を譲り、城の地下に一生幽閉される事が決まったらしい。
そうなって、あの二人は私を追放した事を心から悔いて居るそうだが…最早、何もかもが遅いのだった─。
一人は姉の私、もう一人は妹だった。
私達はほぼ同時期に聖女の力に目覚め、共に神殿に迎え入れられ…私達は、姉妹で力を合わせこの国の為に祈りを捧げて来た。
そしてそんな日々は、これから先も続く…そう、私は思って居た。
だが…王が妹を見初め、妹も王を好きになった事で事態は一変した。
王は、妹だけを特別扱いし…やがて、この国に聖女は二人も要らない…姉の私は聖女の座を退く様にと命じた。
そして妹も、王の言う通りにすべきだと私に言って来る様になった。
「お前は聖女の癖に、地味で暗い。そのせいで、民から全く好かれてないじゃないか。そんな者を彼女の傍に置いておけば、彼女まで悪い目で見られてしまうだろう─!」
確かに、私は妹と違って可愛くも明るくも無く…加護を貰いにやって来た民達は、いつも妹を選んで居た。
でも、妹が忙しかったり不在の場合は私が代わりに加護を授けたが…その時は、皆心なしかガッカリして居た─。
「その様子は…お前にも心当たりがあるんだろう?お前は彼女と違い、民から愛されて居ないんだ。そんな聖女、この国にはもう必要ない。」
「で、ですが…私はこれからも妹と─」
「お姉様…この国を守る事くらい、私一人でも出来ます!私の愛する王の命に逆らおうなど…いくらお姉様でも、決して許しません!」
妹にまでそう言われ…私は言われた通り、聖女の座を退きこの国を出て行く事にした。
昨夜見た、ある夢の事は何も言わず─。
その後、私は隣国へと渡った。
この国は、まだ聖女が存在しておらず…私はあの国の聖女の座こそ退いたが、その力はまだ健在で…それを、この国の為に役立てたかったのだ。
そして、それを隣国の王に申し出れば…彼は私を大いに歓迎して下さった。
また隣国の王は…自分が見たと言う、ある不思議な夢について語った。
「君がここに来る前の晩…俺は不思議な夢を見た。何やら大きな金色の獅子が出て来て、明日お前の運命の相手が城を訪ねて来る─。そしてその人物は、自分と同じ金の輝きを纏って居るからすぐ分ると言ったが…それは、まさに君の事だったんだね。君の身体からは、眩い輝きを感じる─。」
「金色の獅子は、あの国の守護神様です。そして私も、あの国を追放される前に不思議な夢を見ました。恋に溺れた妹は聖女としての力をやがて失う…だからこそ、私がこの国に必要だが…私はこの国から追放される事になる。そうなったら隣国に行き…王に会う様に─。なぜなら…彼こそが私の運命の相手なのだから、と─。」
そう話し、私はニコリと笑みを浮かべ隣国の王を見つめ…彼もまた、そんな私に優しく微笑み…そしてそっと抱き締めてくれたのだった─。
それから私は、この隣国の聖女としてこの国の為に祈りを捧げ…と同時に、王の妃としても彼の傍で過ごす事になった。
そんな私は、愛され聖女のお妃などと隣国の民達から呼ばれ、とても大事にされる事に─。
それは、あの国ではまず無かった事で…少し気恥ずかしいが、私はそれを嬉しく思って居る。
一方、聖女が妹だけになったあの国は…王との恋に溺れた妹が、聖女としての役目を果たさなくなり…その上、自分と王の幸せだけを祈る様になった。
すると、その我欲の強さが聖女の力を上回り…守護神様の仰った通り、妹はついに聖女の力を失くしてしまった。
そのせいで、あの国では疫病や天災が発生し…今や民の殆どがあの国から出て行ってしまい、国は崩壊寸前だと言う。
その責任を取るべく、妹は聖女の座を剥奪され処刑される事になり…王も弟君に王の座を譲り、城の地下に一生幽閉される事が決まったらしい。
そうなって、あの二人は私を追放した事を心から悔いて居るそうだが…最早、何もかもが遅いのだった─。
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