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王子に好かれたと自慢気に話す義妹ですが、王様の子は女ばかりなのにおかしな話ですね。

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 つい最近、私に義妹が出来たが…彼女ときたらとても生意気で、私を姉と認めずに馬鹿にしていた。

 するとある日、そんな彼女がおかしな事を言って来た─。



「私、この国の王子様に好かれたの!」



 聞けば、あるパーティーで一人の男と仲良くなったそうだ。

 そしてその男は、実は王様の隠し子で…俺は次期王になる男だと言ったそうだ。



 その証拠にと、お城の紋章が入ったスカーフを、義妹に見せて来たと言うが…王様の子供は、全員女の子ばかりよ?

 これは確かな事だわ。

 そう言い切れるのは、私が…。



 まぁ…この子は他国からこの国に来たばかりだから、王家の事など何も知らないわよね。

 仕方ないから、教えてあげようかしら─。



「あのね、その王子様だけど─」

「姉の私に譲れって言うのは無しよ!お姉様…あなたみたいな馴染み女に、あんな素敵な方は不釣り合いだから。あなたは、せいぜい身の丈に合った方と結ばれればいいわ。」

「…。」



 義妹は私の言葉を遮り、いつもの様に馬鹿にして来た。



 …だったら、もういいわよ。

 王子でも何でも、好きになった男とくっ付きなさい。

 ただし、どうなっても知らないから─。


 

 その後、義妹は何度かその男と会っていた様だが…そんな日々も、ついに終わりを迎えた─。



「な、何で私が、お城の兵に捕まってるのよ─!?」


 
 義妹は城の兵に、その王子とやらと一緒に取り押さえられていた。



「お前は、王家の名を語る男の仲間だろう!」

「な、何を言って…彼は、この国の王子で、あのスカーフだって─」

「まだ分からないの?この国に、王子は存在しないの。王様のお子は、皆女の子ばかりよ?城に出入りを許されてる私が言ってるのだから、間違いないわ。」

「な、何でお姉様みたいな地味で平凡の女が─」

「私は、城を守る騎士団に仕える聖女だもの。騎士団の皆に加護を付ける際に、何度もお城に伺って居て…王様や姫君達とも、仲良くさせて貰って居るから。」



 その事実に、義妹は固まってしまって居る。



「な、何で教えてくれなかったのよ!あなたの正体も、この男の事も!」

「だって、あなたみたいな意地悪な女に加護を付ける気は無かったし…その男について教えてあげようとしても、あなた聞かなかったじゃない。」

「そ、そんな…。」

「その男のスカーフの紋だって、細かい所を見れば本当の紋とは全然違うわ。その男…調べによると、ただの詐欺師ね。あなたはその詐欺師にまんまと騙され、悪事を働く資金のお金を貢がされてただけ。彼はそのお金で、王家を狙う計画を立てていた罪人よ!つまりあなたは、王家を狙う犯罪者の仲間入りをしてしまった事になるわ。」

「わ、私はそんなつもり無いわよ!」


 
 義妹は、泣き叫び必死に抵抗したが…話は牢の中で聞くと言われ、連れて行かれてしまった。



 そして…牢で悪態をついた事が原因なのか、未だに帰って来ずに居る。

 まぁ、偽とはいえ好きになった王子と一緒に居られるなら、良いんじゃないの?



 それと義妹は、身の丈に合った方と結ばれればいいと私に言ってたけど…その相手は、もうとっくに居るから。

 でもそれを正直に話せば、性悪なあなたが彼にちょっかいをかけると思い黙って居たの。



 私の婚約者は、騎士団の団長様だ。

 今回、偽王子の正体を突き止める事にも協力してくれたとても頼りになる…そして優しい彼だ。



 義妹は王子と結ばれ、私に更なるマウントを取りたかった様だけど…そんな牢に居る罪人では、私のお相手には絶対に敵わないんだから─。
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