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男達に守られる儚く可憐な聖女の妹は、私を犠牲にした事でその本性を見破られ破滅しました。
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私の妹は聖女だ。
その儚く可憐な容姿で、いつも男達に守られ…そしてそれに、彼女は大いに甘えていた。
すると、そんな姿もまた可愛らしいと男達は大いに盛り上がって居たが…姉の私は、それを白けた目で見ていた。
「ちょっとお姉様、そんな怖い目で見ないで!誰か…お姉様が私を虐めるわ!」
妹の叫びに…兵士達は一斉に駆け寄り、彼女をぐるりと囲う様にし守った。
「お前は、聖女様の付き人の癖に…何て無礼な!」
「早く聖女様から離れ、俺達の飯の用意でもしろ!」
そう兵士達に責められる私を…妹はその背に隠れ、クスクスと嘲笑って居た─。
今、私達は国境近くの僻地に来ている。
というのも…この辺りに魔物が出る様になり、城に居る腕利きの兵士達と聖女の妹が、王の命を受けそれを討伐する旅に出る事になったのだ。
妹は、始めこそ嫌がって居たが…成功したら王子と婚約出来る事を知り、コロッと態度を変えそれを受け入れたのだ。
そして私は、そんな彼女に巻き込まれる形で、同行する事になったのだが…今では、完全に彼らの雑用係と化している。
その時…どこからともなく魔物の大群が現れた。
兵士達は必死で応戦するも…妹を守りながらでは、中々苦戦している様だ。
「このままでは、皆やられてしまうわ!あなた…聖女なんだから、自分の身くらい自分で守りなさい!」
「だって…怖いんだもの!そうだ…そこまで言うならお姉様が囮になって、あの魔物達を引きつけてよ!」
そう言うと…何と妹は、私を崖下に突き落としたのだ。
「ほら魔物さん達、ここに若い女が居るわよ!狙うならこっちにしなさい─!」
…あ、あの子ったら、聖女の癖によくもこんな事を─。
いや…私は、もう気付いて居る。
あの子には、もはや聖女の力がない事を─。
あの子自身も、何となくそれに気付いて居るが…認めたくないのだと言う事も─。
そして、もう少しで私の身体は地上に激突…という所で、私の身体は眩しい光に包まれた。
すると、その光を浴びた魔物達は消え去り…辺りには静寂が訪れた─。
***
その後…魔物の消滅を見届けた妹達と私は、王達の元へ向かった。
「…あの辺りの魔物達は、皆消滅した事が確認された。」
「では王様、約束通り私は王子と婚約を─」
「いや…俺が婚約するのはお前ではなく、彼女だ。」
「…なッ!?」
王の傍に控えていた王子は驚く妹をきつく睨むと、その後私の元へやって来た。
そして私の前に跪くと、その手を取りこう言った。
「神殿の泉で、今回の魔物討伐の様子を見ていたが…君の身体から放たれたあの光…あれは、まさに聖女の光だった。君はもう、聖女の力に目覚めて居るのだろう?」
「…はい、旅の途中で─。」
「ちょっと、聖女は私よ!?この国では、聖女は一人しか生まれない─」
「そのお前が聖女の力を無くしたから、姉の彼女が聖女になったんだ。男に守られる事に快感を覚え…無駄に男達を煽り、競わせ…そんな事をして居るから、聖女の力を失うんだ。お前だって、本当は気付いて居るんだろう?ただ、認めたくないだけで─。」
「そ、それは…。」
「傷付いた兵士達を治癒したのは、お前ではなく彼女だった。彼女は皆が寝静まった頃に、皆の傷を見て回り…癒しの力で治して居たんだ。お前は、それを自身が無意識の内にやった事だと信じ込もうとしていた様だが…神殿の泉は真実を映す。誤魔化そうとしたって、そうは行かない。」
王子の追及に、妹はついに涙を流し…そして、いつもの様に兵士達に守って貰おうと手を伸ばしたが…彼らは皆、彼女を幻滅した様な目で見ていた。
「そ、そんな目で見ないで…!いつもみたいに私を守ってよ…私をちやほやしなさいよ!」
「そんな見苦しい真似、もう辞めなさい。皆、あなたの本性を知ってしまったのよ。あなたを守ろうとする者は、もう居ないわ。」
「そ、そんな…。」
こうして妹は…王子と婚約どころか、聖女として身分を偽った罪で、投獄される事になってしまった。
更には、聖女の私を殺そうとした罪で、やがてこの国から追放され…二度と私に危害を加える事の無いよう、海に浮かぶ小島に流刑となるそうだ。
そして、私はというと…真実を知った兵士達に、今までの非礼を謝罪される事に─。
中には、死んで償うと言う者まで居たが…彼らには、この先もこの国を守って貰わなればならない。
なのに、私の為に死ぬなどどうか辞めて欲しいと、必死で止めた。
するとそれを見て居た王は、私こそ真の聖女だ…どうか王子と婚約し、いずれはこの国の妃としてその温かい心でこの国を守って行って欲しいと仰った。
当の王子も、是非にと仰って下さり…私は、喜んで彼と婚約する事に─。
何の取柄もなく地味な私が、妹に代わり聖女の力に目覚め…更には王子のお相手に選ばれるなど、夢にも思ってなかった…。
でも…旅の間の妹の様子を見て居たら、そんな結果になるのも当然だし…私を殺しかけた彼女には、これを機に大いに反省して欲しいわね─。
その儚く可憐な容姿で、いつも男達に守られ…そしてそれに、彼女は大いに甘えていた。
すると、そんな姿もまた可愛らしいと男達は大いに盛り上がって居たが…姉の私は、それを白けた目で見ていた。
「ちょっとお姉様、そんな怖い目で見ないで!誰か…お姉様が私を虐めるわ!」
妹の叫びに…兵士達は一斉に駆け寄り、彼女をぐるりと囲う様にし守った。
「お前は、聖女様の付き人の癖に…何て無礼な!」
「早く聖女様から離れ、俺達の飯の用意でもしろ!」
そう兵士達に責められる私を…妹はその背に隠れ、クスクスと嘲笑って居た─。
今、私達は国境近くの僻地に来ている。
というのも…この辺りに魔物が出る様になり、城に居る腕利きの兵士達と聖女の妹が、王の命を受けそれを討伐する旅に出る事になったのだ。
妹は、始めこそ嫌がって居たが…成功したら王子と婚約出来る事を知り、コロッと態度を変えそれを受け入れたのだ。
そして私は、そんな彼女に巻き込まれる形で、同行する事になったのだが…今では、完全に彼らの雑用係と化している。
その時…どこからともなく魔物の大群が現れた。
兵士達は必死で応戦するも…妹を守りながらでは、中々苦戦している様だ。
「このままでは、皆やられてしまうわ!あなた…聖女なんだから、自分の身くらい自分で守りなさい!」
「だって…怖いんだもの!そうだ…そこまで言うならお姉様が囮になって、あの魔物達を引きつけてよ!」
そう言うと…何と妹は、私を崖下に突き落としたのだ。
「ほら魔物さん達、ここに若い女が居るわよ!狙うならこっちにしなさい─!」
…あ、あの子ったら、聖女の癖によくもこんな事を─。
いや…私は、もう気付いて居る。
あの子には、もはや聖女の力がない事を─。
あの子自身も、何となくそれに気付いて居るが…認めたくないのだと言う事も─。
そして、もう少しで私の身体は地上に激突…という所で、私の身体は眩しい光に包まれた。
すると、その光を浴びた魔物達は消え去り…辺りには静寂が訪れた─。
***
その後…魔物の消滅を見届けた妹達と私は、王達の元へ向かった。
「…あの辺りの魔物達は、皆消滅した事が確認された。」
「では王様、約束通り私は王子と婚約を─」
「いや…俺が婚約するのはお前ではなく、彼女だ。」
「…なッ!?」
王の傍に控えていた王子は驚く妹をきつく睨むと、その後私の元へやって来た。
そして私の前に跪くと、その手を取りこう言った。
「神殿の泉で、今回の魔物討伐の様子を見ていたが…君の身体から放たれたあの光…あれは、まさに聖女の光だった。君はもう、聖女の力に目覚めて居るのだろう?」
「…はい、旅の途中で─。」
「ちょっと、聖女は私よ!?この国では、聖女は一人しか生まれない─」
「そのお前が聖女の力を無くしたから、姉の彼女が聖女になったんだ。男に守られる事に快感を覚え…無駄に男達を煽り、競わせ…そんな事をして居るから、聖女の力を失うんだ。お前だって、本当は気付いて居るんだろう?ただ、認めたくないだけで─。」
「そ、それは…。」
「傷付いた兵士達を治癒したのは、お前ではなく彼女だった。彼女は皆が寝静まった頃に、皆の傷を見て回り…癒しの力で治して居たんだ。お前は、それを自身が無意識の内にやった事だと信じ込もうとしていた様だが…神殿の泉は真実を映す。誤魔化そうとしたって、そうは行かない。」
王子の追及に、妹はついに涙を流し…そして、いつもの様に兵士達に守って貰おうと手を伸ばしたが…彼らは皆、彼女を幻滅した様な目で見ていた。
「そ、そんな目で見ないで…!いつもみたいに私を守ってよ…私をちやほやしなさいよ!」
「そんな見苦しい真似、もう辞めなさい。皆、あなたの本性を知ってしまったのよ。あなたを守ろうとする者は、もう居ないわ。」
「そ、そんな…。」
こうして妹は…王子と婚約どころか、聖女として身分を偽った罪で、投獄される事になってしまった。
更には、聖女の私を殺そうとした罪で、やがてこの国から追放され…二度と私に危害を加える事の無いよう、海に浮かぶ小島に流刑となるそうだ。
そして、私はというと…真実を知った兵士達に、今までの非礼を謝罪される事に─。
中には、死んで償うと言う者まで居たが…彼らには、この先もこの国を守って貰わなればならない。
なのに、私の為に死ぬなどどうか辞めて欲しいと、必死で止めた。
するとそれを見て居た王は、私こそ真の聖女だ…どうか王子と婚約し、いずれはこの国の妃としてその温かい心でこの国を守って行って欲しいと仰った。
当の王子も、是非にと仰って下さり…私は、喜んで彼と婚約する事に─。
何の取柄もなく地味な私が、妹に代わり聖女の力に目覚め…更には王子のお相手に選ばれるなど、夢にも思ってなかった…。
でも…旅の間の妹の様子を見て居たら、そんな結果になるのも当然だし…私を殺しかけた彼女には、これを機に大いに反省して欲しいわね─。
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