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幼馴染の聖なる力を信じた婚約者は、その後英雄となると私の事を捨ててしまいました…。
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家同士の繋がりで婚約した私と彼。
そんな彼は騎士団に所属しており、近くある戦場へ赴く事に─。
彼はこれまでにも数々の戦場で活躍しており、今度手柄を立てたら王から英雄の称号を贈られると言う。
私は剣を振るう事は出来ないが、これまでずっと彼の無事を祈って来た。
そこで今回も彼が無事であるよう…そして望みである英雄になれるように神に祈るのだった。
一方で、私と同じく彼の身を案じる者が─。
それは彼の幼馴染だった。
彼女は地味な私と違い、大層可愛らしく可憐で…その容姿から神に愛されし娘と言われて居た。
すると彼女は戦場に赴く彼に、神に愛されて居るとずっと昔から言われて来たがそのおかげで聖なる力に目覚めた─。
今迄もあなたの無事を祈って来たが、今回は手作りのお守を作ったので是非持って行って欲しいと言う。
すると彼は可愛い彼女の贈り物に大喜びし…そして君の加護があるならきっと無事に帰れる、英雄になれる日もすぐそこだと言うのだった。
と同時に私に向かって、俺の婚約者の癖にこう言う気が利いた事も出来ないのか…今からそんな調子で、英雄となる俺の伴侶してこの先やって行けるのかと罵った。
そしてそれを聞いた幼馴染は、そんな私を嘲笑い…こんな人が婚約者で可哀そうと彼を慰めるのだった。
彼はこの幼馴染を溺愛しており、それを見る度に婚約者として複雑な気持ちを抱いて来た。
今だって彼女の事ばかり褒め、私の事は悪く言って…私だってずっとあなたを想い祈って来たのに─。
そこで私は、彼が戦場から戻ったら幼馴染との関わり方や私達の今後についてよく話し合おうと決めた。
そしてそれから一ヶ月後、彼は多くの敵兵を倒し手柄を独り占めした。
するとそれが王の耳に入り、彼は望んで居た英雄の称号を与えられる事に─。
そこで彼は、今までも今回の成果も全ては聖なる力を持つ幼馴染のおかげだ…英雄になった者に与えられる褒美には、是非聖女となった彼女をと言い出したのだ。
この話を聞いた私は激怒…あなたには私と言う婚約者が既に居るではないかと訴えた。
しかし彼は、何の力も持たない地味なお前より…神に愛され聖なる力を持つ可愛い彼女を人生の伴侶にする方が幸せに決まって居ると、私に一方的に婚約破棄を告げた。
私は悔しかったが、英雄の望みを一つ叶える事は絶対だと昔から決まっており…それに逆らう事は出来ず、私は彼の元を去るのだった。
その後、彼は望み通り幼馴染を婚約者に迎え…彼女と二人で暮らし始める事に─。
すると彼の訴えもあり王は彼女を聖女と認め、英雄と聖女のカップルは世間でも評判となった。
だが私は、そんな彼女にある疑問を抱いて居た。
と言うのも…以前訪れたある神殿で、私は聖女様が作ったお守りを見た事がある。
そのお守りは美しい光を纏って居て、それはそれは神聖なものに見えた。
でもあの時彼女が彼に渡したお守りは、高価な素材を使った物ではあったが…あれと同じ輝きがあったかと言われれば…だけど彼が余りにそれを絶賛するから、その時は何も言えなかったのだ─。
そんな中、世間である噂が囁かれ始めた。
それは、聖女である彼女の力は果たして本当なのか…加護を授けて貰っても、特に効果を感じないと言うものだった。
それを知った私は、彼の元婚約者としてあの時見たお守りの事を王にお知らせする事にした。
幸い騎士団長は私の遠い親戚だった為、その縁でそれは無事に叶い…私の話や世間の噂もあり、彼女が本当に聖女であるか王自らが調べる事となった。
そして二人は揃って城に呼び出され、彼女は王にその力を試される事となった。
するとその結果、彼女は聖女では無い…お守りにはこれと言った効果は無く、彼の思い込みであった事が判明した。
更には、彼女を聖女と認めた神官長が…彼女から多額の金を積まれ、彼女が聖女であると嘘の証言をした事まで明らかに─。
すると彼女は聖女の名を騙った事で罰を受け、牢に入れられた後に処刑される事に─。
また英雄となった彼も、最初に彼女が聖女であると思い込み結果世間を混乱させた責任を問われ、英雄の称号は剥奪…この国から永久追放となるのだった。
そして私はと言うと…聖女の作ったお守りの輝きが見えたのは、それに近い力を持って居るからかも知れないと考えた王にその身を調べられる事となり…その結果、未熟ではあるが確かに聖女の力に目覚めて居る事が判明した。
そしてその事から、お前が今まで戦場で活躍し無事帰還する事が出来たのはその娘のおかげだ…本当に感謝すべきはその嘘付きな幼馴染では無く元婚約者の方であると、王は彼に断言するのだった。
すると真実を聞かされた彼は、私ではなく彼女を選んだ事を心底後悔し…罰を受け泣き崩れる彼女に続き、その場に崩れ落ち涙するのだった。
こうして二人はそれぞれの罰を受け、私の前から姿を消した。
その後、私は本格的にこの国の聖女として務める事となり…未熟だった力も今ではとても強いものになった。
すると私は王の望みで王子に加護を授ける事となり、それを無事に成功させた。
そしてその際、私は王子に見初められ…彼の望みで婚約者に迎えれられる事に─。
その後は彼に深く愛され、民達からも深い信仰心を捧げられる事になり…一人の女としても聖女としても、とても幸せな日々を送って居るわ─。
そんな彼は騎士団に所属しており、近くある戦場へ赴く事に─。
彼はこれまでにも数々の戦場で活躍しており、今度手柄を立てたら王から英雄の称号を贈られると言う。
私は剣を振るう事は出来ないが、これまでずっと彼の無事を祈って来た。
そこで今回も彼が無事であるよう…そして望みである英雄になれるように神に祈るのだった。
一方で、私と同じく彼の身を案じる者が─。
それは彼の幼馴染だった。
彼女は地味な私と違い、大層可愛らしく可憐で…その容姿から神に愛されし娘と言われて居た。
すると彼女は戦場に赴く彼に、神に愛されて居るとずっと昔から言われて来たがそのおかげで聖なる力に目覚めた─。
今迄もあなたの無事を祈って来たが、今回は手作りのお守を作ったので是非持って行って欲しいと言う。
すると彼は可愛い彼女の贈り物に大喜びし…そして君の加護があるならきっと無事に帰れる、英雄になれる日もすぐそこだと言うのだった。
と同時に私に向かって、俺の婚約者の癖にこう言う気が利いた事も出来ないのか…今からそんな調子で、英雄となる俺の伴侶してこの先やって行けるのかと罵った。
そしてそれを聞いた幼馴染は、そんな私を嘲笑い…こんな人が婚約者で可哀そうと彼を慰めるのだった。
彼はこの幼馴染を溺愛しており、それを見る度に婚約者として複雑な気持ちを抱いて来た。
今だって彼女の事ばかり褒め、私の事は悪く言って…私だってずっとあなたを想い祈って来たのに─。
そこで私は、彼が戦場から戻ったら幼馴染との関わり方や私達の今後についてよく話し合おうと決めた。
そしてそれから一ヶ月後、彼は多くの敵兵を倒し手柄を独り占めした。
するとそれが王の耳に入り、彼は望んで居た英雄の称号を与えられる事に─。
そこで彼は、今までも今回の成果も全ては聖なる力を持つ幼馴染のおかげだ…英雄になった者に与えられる褒美には、是非聖女となった彼女をと言い出したのだ。
この話を聞いた私は激怒…あなたには私と言う婚約者が既に居るではないかと訴えた。
しかし彼は、何の力も持たない地味なお前より…神に愛され聖なる力を持つ可愛い彼女を人生の伴侶にする方が幸せに決まって居ると、私に一方的に婚約破棄を告げた。
私は悔しかったが、英雄の望みを一つ叶える事は絶対だと昔から決まっており…それに逆らう事は出来ず、私は彼の元を去るのだった。
その後、彼は望み通り幼馴染を婚約者に迎え…彼女と二人で暮らし始める事に─。
すると彼の訴えもあり王は彼女を聖女と認め、英雄と聖女のカップルは世間でも評判となった。
だが私は、そんな彼女にある疑問を抱いて居た。
と言うのも…以前訪れたある神殿で、私は聖女様が作ったお守りを見た事がある。
そのお守りは美しい光を纏って居て、それはそれは神聖なものに見えた。
でもあの時彼女が彼に渡したお守りは、高価な素材を使った物ではあったが…あれと同じ輝きがあったかと言われれば…だけど彼が余りにそれを絶賛するから、その時は何も言えなかったのだ─。
そんな中、世間である噂が囁かれ始めた。
それは、聖女である彼女の力は果たして本当なのか…加護を授けて貰っても、特に効果を感じないと言うものだった。
それを知った私は、彼の元婚約者としてあの時見たお守りの事を王にお知らせする事にした。
幸い騎士団長は私の遠い親戚だった為、その縁でそれは無事に叶い…私の話や世間の噂もあり、彼女が本当に聖女であるか王自らが調べる事となった。
そして二人は揃って城に呼び出され、彼女は王にその力を試される事となった。
するとその結果、彼女は聖女では無い…お守りにはこれと言った効果は無く、彼の思い込みであった事が判明した。
更には、彼女を聖女と認めた神官長が…彼女から多額の金を積まれ、彼女が聖女であると嘘の証言をした事まで明らかに─。
すると彼女は聖女の名を騙った事で罰を受け、牢に入れられた後に処刑される事に─。
また英雄となった彼も、最初に彼女が聖女であると思い込み結果世間を混乱させた責任を問われ、英雄の称号は剥奪…この国から永久追放となるのだった。
そして私はと言うと…聖女の作ったお守りの輝きが見えたのは、それに近い力を持って居るからかも知れないと考えた王にその身を調べられる事となり…その結果、未熟ではあるが確かに聖女の力に目覚めて居る事が判明した。
そしてその事から、お前が今まで戦場で活躍し無事帰還する事が出来たのはその娘のおかげだ…本当に感謝すべきはその嘘付きな幼馴染では無く元婚約者の方であると、王は彼に断言するのだった。
すると真実を聞かされた彼は、私ではなく彼女を選んだ事を心底後悔し…罰を受け泣き崩れる彼女に続き、その場に崩れ落ち涙するのだった。
こうして二人はそれぞれの罰を受け、私の前から姿を消した。
その後、私は本格的にこの国の聖女として務める事となり…未熟だった力も今ではとても強いものになった。
すると私は王の望みで王子に加護を授ける事となり、それを無事に成功させた。
そしてその際、私は王子に見初められ…彼の望みで婚約者に迎えれられる事に─。
その後は彼に深く愛され、民達からも深い信仰心を捧げられる事になり…一人の女としても聖女としても、とても幸せな日々を送って居るわ─。
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