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私から婚約者を奪おうと呪いをかけ痛い目を見た姉が、懲りずにまたも過ちを犯しました…。

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 私には、性格も容姿も申し分ない婚約者が居る。

 するとそんな彼に、留学から帰って来た姉が一目惚れしてしまった。

 そして姉は、私の目を盗み彼を誘惑する様になってしまったのだ。



 そしてそれ以降、私の身の回りで小さな不幸が連続して起きる様に─。

 例えば、階段の手すりが壊れ落ちそうになったり…窓から物が落ちて来て、下を歩いて居た私に当たりそうになったり…。

 でもどれもギリギリのところで私は危機を回避し、命拾いをして居た。


 
 するとそれに気付いた私の婚約者は、私が呪われているのではないかと言い…暫くこの地を離れ、安全な所に身を隠すべきだと言った。

「…でも、私が居ない間にお姉様があなたに近づいたら─。お姉様は私と違い美人だから、心配なの。」

「俺は君しか愛して居ないから大丈夫だ。君が身を隠している間に、俺が君に呪いをかけた者を必ず突き止めるよ─。」

 私は彼の言葉を信じ、その地を離れる事を決めた。



 そして、それから二週間後─。

 姉が、急な病に倒れ危篤だと言う報せが飛び込んで来た。
 
 そこで私は、これまでお世話になって居た神殿を出て実家に戻る事に─。



 するとそこには…全身の皮膚が黒く爛れ、虫の息となった姉がベッドに横たわって居た。

 そしてその傍には、私の婚約者が─。



「君に呪いをかけたのは、彼女だった。でも、俺が君に授けた加護によって中々君を呪い殺す事が出来なくて…彼女は更に重い呪いを君にかけたんだ。でも君は、俺の勧めで既に神殿に身を隠して居たから…その呪いは、全て彼女自身に返ってしまったらしい。」

「お姉様…何て愚かな事を─。」


 
 私が姉の元に近づくと、彼女は静かに目を開けた。

 そして、まだ死にたくない…こんな事になるなら、妹のあなたを呪うんじゃなかったと涙した。

「…命が助かるならもうそれで十分よ、だからどうか私を助けて─。」


 
 そんな姉の言葉を聞き、私は何だか彼女が憐れになった。

 するとそれに気づいた彼は…加護を持った自分達が祈りを捧げれば、姉は死から逃れられるのではないかと言った。

 そして私達は、姉の命を救って下さるよう神に祈る事に─。



 その翌日、姉は奇跡的な回復を見せた。

 姉の黒く爛れた皮膚は、元の色に変わって居て…それを見た姉は大いに喜んだ。



 だがその喜びは、すぐに絶望へと変わった。

 と言うのも…綺麗になったのは首から下だけで、姉の美しい顔には数日経っても黒い痣が残ったままだった。



「ど、どうして顔だけ治らないの…!?あなた、私の為に祈ってくれたのよね!?」

 そう言って、姉は私に突っかかって来たが…それを制したのは、私の婚約者だった。

「君の顔がそうなったのは、君が根っからの悪女だったから─。君がちゃんと心を入れ替えたのなら、俺達は君を完全に許そうとしたが…君は見舞いに来た友人に、こう言って居たな?」


 
 姉は、このまま呪いから解放されれば…私はもう一度、彼にアタックしようと話し…続けてこう言った。

『流石に、もう妹に呪いはかけないけれど…その代わりに、今度は彼に惚れ薬でも飲ませてみようかしら─?』
 


 だから私達は、あの日だけしか祈りを捧げなかったのだ。
 
 私も彼も、そんな姉にすっかり呆れ…もう彼女の完全な回復など、どうでも良いと思ってしまった。

 それに姉も、命が助かるならそれで十分と言ってたし…顔の痣くらい、我慢すればいいわ。




「君の身体が治りきる前に、俺達が神に祈りを捧げるのを辞めた事で…その結果呪いが中途半端に解け、そうして痣となって残ったんだろうな。」

「そんな…私は、あの美しい顔が自慢だったのに!こんなに醜くなってしまったなら、あのまま死んだ方がマシだったわ!」

 そう言って、姉はベッドに突っ伏して泣いたが…今更悔いても、もう遅いのだった。


 
 その後…姉は呪いを身に宿した恐ろしい女として、田舎の空き家へと押し込められる事に─。

 そしてその頃には、姉は醜い顔になった事がショックで心を病み‥廃人同然になってしまって居た。

 でもその方が、もう悪知恵も浮かばないだろうし…私も彼も一安心だわ。

 

 その後、私は彼と無事に結婚する事が決まり…今は誰にもその仲を邪魔される事無く、幸せに暮らして居るわ─。
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