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義妹と私の婚約者であった彼の結婚式に、無理矢理出席させられる事になりました…。

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 今は亡き父が縁を結んでくれた、私の婚約者─。

 父が生きて居る頃、彼は私にとても優しかった。

 だが父亡き今、彼はすっかり別人のようになってしまった。



 と言うのも、彼は事業を成功させた事で傲慢で高飛車な…そして、女好きの男へと変貌を遂げた。

 その結果、彼は地味な私など相手にしなくなり…代わりに、美しい私の義妹を溺愛するように─。



 彼女は父の再婚相手の連れ子で、とても美しく華のある娘だ。

 だが性格はとても意地が悪く…私は姉だと言うのに彼女に見下され、陰で色々と嫌がらせをされて居た。



 そんな事を他所に、義妹と私の婚約者は肉体関係を持つようになり…彼は私との婚約を無かった事にすると一方的に私を捨て、義妹と結婚する事を決めた。



「彼女と結婚すれば、お前の父親の遺産を分けてくれるそけるがいいうだ。」

 確かに父の遺産は今継母が管理し、いずれは義妹にとなって居るが…私はそれに納得が出来ないで居る。

 

「…あなたはお金が目当てで私を捨て、あの子を選ぶんですか?」

「まぁな。後は彼女の美しさが決め手だ。お前の地味顔にはもう飽きたんだ。だが、俺達の結婚式にはお前も参加して貰うぞ?少しでも招待客が居た方が華やかになると、俺も彼女も思って居るからな。せっかくだから、お前はそこで俺と同じくらい良い男を見つけるがいい。」

 こうして、私は彼に一方的に捨てられた挙句…無理矢理二人の結婚式に参加させられる事に─。



 そして気が乗らないまま、二人の結婚式の日がやって来た。

 幸せそうに見つめ合う二人を見て、私はひっそりとため息をついた。



 すると、そんな私に一人の殿方が近付いて来た。

 この方は…父が病に倒れ死を迎える前に、何度か家を訪ねて来た方─?



 首を傾げる私に、彼は私の父親から遺言書を預かり…そして遺産の分配について任されて居たと話した。

 彼は父の親友のご子息で、賢く人柄も良い為父に信用されそう言う事になったらしい。


 
 そして彼は、その遺言書を私に見せてくれた。

 するとそこには、遺産は実の娘である私へと書かれており…使用人と不貞を働いて居た継母やその娘には、一切渡さないと書かれて居た。
 
 そもそも、父は死の直前に継母と離縁をして居たそうだが…彼女はそれを上手く誤魔化し、父の遺産を私から奪って居たのだった。



 それを知った私は、式の途中だったが…談笑する義妹と元婚約者にその遺言書を突き付けた。

「…と言う事だから、その子と結婚してもあなたに父の遺産は入らないわの。」

「そ、そんな…俺は遺産が手に入ると思ったから、事業を拡大したばかりだと言うのに─。そんな事になったら、俺は多額の負債を抱えてしまう!」

「そんなの知らないわ、恨むならその子と継母を恨むのね。」



 私の言葉に、元婚約者は義妹を責めだし…二人は継母も巻き込み、取っ組み合いの喧嘩を始めた。

 その結果、招待客にまで被害が及び…式は中止されたのだった─。


 
 結局、義妹と元婚約者は喧嘩別れする事になったが…彼は負債を抱え苦労してるし、義妹と継母は使い込んだ父の遺産を私に返す為に働き通しの毎日を送る羽目に─。

 そうなって、彼は私を捨てた事を…義妹は彼と結ばれた事を後悔したが、全てが遅いのだった。



 一方、私はと言うと…父の遺産を受け取り、不自由ない生活を送って居た。

 そして二人の結婚式に出会ったあの彼と恋仲となり、順調にお付き合いを重ねて居る。



 実は彼は、父に呼ばれ我が家を訪ねた時から私に惹かれて居たそうで…出会いの場は最悪だったとは言え、こうして私と結ばれる事が出来て嬉しいと話した。

 

 私も、あの二人の結婚式に出席させられるなど何て自分は不幸なのかと思ったけれど…こんな良縁を手にする事が出来て、今となってはあれも悪くない想いだわ─。
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