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何でも譲り続けて来た妹に婚約者も欲しいと言われましたが、それが実現する事はありませんでした。
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妹の為に、私は何でも譲って来た。
物でも両親の愛でも、何でもだ─。
「…流石私の可愛い娘!地味なあの子には…こんな物必要ないからね。」
「お姉様ったら…私達に隠れて、無駄遣いしてるのよ。他にも、素敵なドレスが沢山あったの!」
違うわ…あれは皆、愛するあの人が贈ってくれた物なのに─。
「そうかそうか。おい…お前は姉なんだから、妹のこの子を優先するんだぞ?」
お父様…いくら私が姉だからって、どうして何もかも妹に譲らなければならないの─?
こんな理不尽な思いをするのは…やはり、私が加護も付けられないような人間だから─?
ただ分かって居るのは…この子が欲しがるものは、どんどん増えていく一方だという事。
このままこの子に譲り続けたら、私は何もかも失ってしまうでしょうね。
でも…どうか彼だけは…私の婚約者だけには、目を付けないで欲しい…そう、思っていたのに─。
「お姉様の婚約者って、お金持ちで素敵よね…。お願い、私に彼を譲って?私、どうしても彼が欲しいわ!」
「そんな…お願いよ、彼だけは奪わないで!」
「はぁ!?いつも何でも譲ってくれるのに…そんな意地悪をするなら、お父様たちに言いつけてやるから─!」
そんな…そしたら、きっと私は彼と別れさせられる!
一体、どうしたらいいの…。
***
「…全く、意地悪な姉ね。」
「本当だ!よし…姉のあの子は、この家の地下牢に幽閉する事にした。そしたら、彼はお前のものになるぞ。」
「本当?」
「あぁ。それに…あの子はどのみち、そこに送る予定だった─。」
お姉様は加護を付けられない、罪深き魂の持ち主─。
だから何か悪事を働く前に、いっそ幽閉してしまうのが良いと、お父様たちは考えて居たみたい。
良かった…あの時私のやった事が、今になってこんな効果を生み出すとは─。
「じゃあ私、すぐにお姉様を呼んで来るわ!」
「その必要は無いわ。」
「お姉様…!どこに行ってたの?丁度、話が─」
「私は、地下牢なんかに入らないわよ。もう…この家を出て行きますから。」
「な、何を言ってるの!?」
「私はここを出て、婚約者の元で暮らすの。」
「何ですって!?加護も付けられないような女、彼にふさわしくないわよ!」
「付けられなかったのは…あなたの方でしょう?だから、いかがわしい術を用いて私の加護を奪い、自分のものにしたんじゃない。そうして、お父様達の記憶も書き換えたのよね─。」
お姉様は、手に持って居たある教典を開くと…その瞬間、眩しい光が放たれた─。
***
すると…その光を浴びたお父様達は、私を見た途端、青い顔をして冷や汗を流した。
「そうだ…加護を授けられなかったのは、お前の方だった。だが、私達は─」
「地味で愛嬌の無い私より、可愛いその子が大好きだったから…私よりも、この子に加護が付けばいいのにと思ったんでしょう?そういう心持ちだったから、この子の術に簡単に惑わされてしまったのよ。」
「で、でも…何でお姉様は、その事を思い出したの!?それに、その教典は─」
「婚約者が、私のような人物に加護が付かないのはおかしいと大聖女様が居る神殿に連れて行ってくれたの。そしたら、大聖女様が何もかもあなたの仕業だという事を見抜き…そして、加護とこの経典を授けて下さったのよ。」
「そ、そんな…!」
その後…妹が用いた術が、この国で禁じられた呪術だったという事が大聖女様によって明らかとなり、彼女は罪人として捕らえられた。
そして、妹を可愛がって居た両親は彼女を失なった事で、漸く私に目を向けるようになったが…もう、今更すり寄られても遅いのよ。
私は、あなた達とも、あの家ともすっかり縁を切ってしまいたいのだから。
私の両親は…もう彼の両親だけ。
実の娘を牢に入れようとしたあなた達など、もう要らないわ。
そして私は、迎えに来た彼に手を引かれ…彼の故郷へと旅立って行った─。
あなたを妹に譲ってしまわなくて、本当に良かった。
愛するあなただけは、どうしても妹に譲れない…例え加護が無くても、私はあなたの婚約者で居たい。
そう彼に泣いて訴えた私に…俺が何とかして見せると言ってくれた婚約者─。
そして連れて行かれた神殿で、まさかこんな驚きの事実を聞かされるなど、思ってもいなかったわ。
でもそのおかげで、こうして無事に愛する人と結ばれる事が出来て…私は今、とても幸せよ─。
物でも両親の愛でも、何でもだ─。
「…流石私の可愛い娘!地味なあの子には…こんな物必要ないからね。」
「お姉様ったら…私達に隠れて、無駄遣いしてるのよ。他にも、素敵なドレスが沢山あったの!」
違うわ…あれは皆、愛するあの人が贈ってくれた物なのに─。
「そうかそうか。おい…お前は姉なんだから、妹のこの子を優先するんだぞ?」
お父様…いくら私が姉だからって、どうして何もかも妹に譲らなければならないの─?
こんな理不尽な思いをするのは…やはり、私が加護も付けられないような人間だから─?
ただ分かって居るのは…この子が欲しがるものは、どんどん増えていく一方だという事。
このままこの子に譲り続けたら、私は何もかも失ってしまうでしょうね。
でも…どうか彼だけは…私の婚約者だけには、目を付けないで欲しい…そう、思っていたのに─。
「お姉様の婚約者って、お金持ちで素敵よね…。お願い、私に彼を譲って?私、どうしても彼が欲しいわ!」
「そんな…お願いよ、彼だけは奪わないで!」
「はぁ!?いつも何でも譲ってくれるのに…そんな意地悪をするなら、お父様たちに言いつけてやるから─!」
そんな…そしたら、きっと私は彼と別れさせられる!
一体、どうしたらいいの…。
***
「…全く、意地悪な姉ね。」
「本当だ!よし…姉のあの子は、この家の地下牢に幽閉する事にした。そしたら、彼はお前のものになるぞ。」
「本当?」
「あぁ。それに…あの子はどのみち、そこに送る予定だった─。」
お姉様は加護を付けられない、罪深き魂の持ち主─。
だから何か悪事を働く前に、いっそ幽閉してしまうのが良いと、お父様たちは考えて居たみたい。
良かった…あの時私のやった事が、今になってこんな効果を生み出すとは─。
「じゃあ私、すぐにお姉様を呼んで来るわ!」
「その必要は無いわ。」
「お姉様…!どこに行ってたの?丁度、話が─」
「私は、地下牢なんかに入らないわよ。もう…この家を出て行きますから。」
「な、何を言ってるの!?」
「私はここを出て、婚約者の元で暮らすの。」
「何ですって!?加護も付けられないような女、彼にふさわしくないわよ!」
「付けられなかったのは…あなたの方でしょう?だから、いかがわしい術を用いて私の加護を奪い、自分のものにしたんじゃない。そうして、お父様達の記憶も書き換えたのよね─。」
お姉様は、手に持って居たある教典を開くと…その瞬間、眩しい光が放たれた─。
***
すると…その光を浴びたお父様達は、私を見た途端、青い顔をして冷や汗を流した。
「そうだ…加護を授けられなかったのは、お前の方だった。だが、私達は─」
「地味で愛嬌の無い私より、可愛いその子が大好きだったから…私よりも、この子に加護が付けばいいのにと思ったんでしょう?そういう心持ちだったから、この子の術に簡単に惑わされてしまったのよ。」
「で、でも…何でお姉様は、その事を思い出したの!?それに、その教典は─」
「婚約者が、私のような人物に加護が付かないのはおかしいと大聖女様が居る神殿に連れて行ってくれたの。そしたら、大聖女様が何もかもあなたの仕業だという事を見抜き…そして、加護とこの経典を授けて下さったのよ。」
「そ、そんな…!」
その後…妹が用いた術が、この国で禁じられた呪術だったという事が大聖女様によって明らかとなり、彼女は罪人として捕らえられた。
そして、妹を可愛がって居た両親は彼女を失なった事で、漸く私に目を向けるようになったが…もう、今更すり寄られても遅いのよ。
私は、あなた達とも、あの家ともすっかり縁を切ってしまいたいのだから。
私の両親は…もう彼の両親だけ。
実の娘を牢に入れようとしたあなた達など、もう要らないわ。
そして私は、迎えに来た彼に手を引かれ…彼の故郷へと旅立って行った─。
あなたを妹に譲ってしまわなくて、本当に良かった。
愛するあなただけは、どうしても妹に譲れない…例え加護が無くても、私はあなたの婚約者で居たい。
そう彼に泣いて訴えた私に…俺が何とかして見せると言ってくれた婚約者─。
そして連れて行かれた神殿で、まさかこんな驚きの事実を聞かされるなど、思ってもいなかったわ。
でもそのおかげで、こうして無事に愛する人と結ばれる事が出来て…私は今、とても幸せよ─。
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