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王子と熱愛中だと噂になり浮かれる義妹は、その驕りから遂に痛い目を見る事となりました。

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 私には、全く血の繋がらない義妹が居る。
 
 彼女は亡き父の再婚相手の連れ子で…地味な私と違いそれはそれは可愛い顔していたが、その性格は嘘つきで意地が悪った。



 そんな彼女が、私達と同じ学園に通う王子と熱愛中だと噂される事に─。

 するとそれを耳にした義妹は、否定するどころか喜びこう言った。

「流石の王子も、私程可愛い女にはすっかり心奪われてしまったみたいね。王子は婚約者をこの学園で探すつもりだと仰って居たでしょう?ならばこのまま噂通り、私が彼と結ばれるのが自然な流れよね。」



 それを聞いた私は、滅多な事を口にするなと義妹を咎めた。

「そんな事は、あなたが勝手に決める事ではありません。そもそも、あくまで噂でしょう?あなたは王子に好きだと…愛していると言われたの?」



 すると義妹は、そんな私を見て厭な笑みを浮かべこう言った。

「私には何人もの取り巻き達が居るけれど…彼女達が、王子に告白される私の姿を見たと言って居るわ。王子は、私の事が好きなのよ。」

「そんな馬鹿な…。」


 
 確かに、義妹にはいつも引き連れている女生徒達が何人も居るが…彼女達が、そんな証言を?

 そもそも、王子が義妹を好きだと言うのが信じられないわ。
 
 だって、王子は─。



 あの子の嘘つきな性格には、今まで散々困らされて来たけれど…今回の事は、とても見逃せない。

 あの子には、そろそろ痛い目を見て貰いましょう─。



 それから数日後、義妹は王子に呼び出さされる事に─。

 義妹は、ウキウキとした足取りで王子の元へと向かった。



「王子もあの噂をお聞きになったんでしょう?私達、皆からお似合いだと言われて居ますよ!どうでしょう…これを機に、私をあなたの婚約者にして貰えませんか?」

 そう言って、義妹は上目遣いで小首を傾げ…可愛らしく王子に迫った。
 
 しかし王子は、そんな義妹を冷めた目で見てこう言った。



「俺には、既に婚約を申し込んだ相手が居る。それに…君の様な嘘つきの悪女など、絶対にお断りだ。」

「あ、悪女って…そんな言い方あんまりです!」

 義妹は目に涙を滲ませ、王子に泣きつこうとしたが…王子は、そんな義妹の手をサッと振り払った。



「いい加減、恥を晒すのは辞めなさい。」

 その様子を見て居られなくなった私は、二人の間に割って入った。

「お姉様…あなたには関係無いでしょう!?」



 義妹は私をキッと睨んだが…私はそれを無視し、話を続けた。

「あなたは、自分の取り巻き達のそれぞれの弱みを握ると…王子と自分が、さも熱愛中であるかのような噂を流すよう命じましたね?そして王子がそれを拒否したら…王子が自分に愛の告白をして居たと嘘の証言をするよう、強引に約束させたのでしょう?」

「わ、私には何の事か─」

「とぼけても無駄だ。彼女達は勇気を出し、お前にそんな事を強要されたと告白してくれた。それに…この学園には俺に使える者達が生徒や教師として密かに潜り込み、俺の周りを監視して居るんだ。お前の悪事など、もうすっかりお見通しだ。」

「そ、そんな…。」

 私と王子の言葉に、義妹の顔は真っ青になり…彼女は、今度こそ大粒の涙を流すのだった。



「そしてその女生徒達だが…揃って、ある事を証言してくれた。それは、俺がお前に愛の告白をしたのではなく…姉である彼女に、婚約者になって欲しいと告白したと言う事だ。彼女達は、もうお前の取り巻きで居るのは嫌だ…これからは本当の事しか言わないと誓った。計画が上手く行かず、残念だったな。」

「お、王子‥どうか許して下さい!罰を受けるのは嫌よ─!」



 義妹は必死に許しを乞うたが…潜んで居た王子に使える者達に取り押さえられ、その後はこの学園を退学させられる事となった。

 更には王子を罠に嵌めようとした罪で、この国から追放される羽目に─。

 そうなって、義妹は漸く自分のしでかした事の重大さに気付いた様だが…もう何もかもが遅いのだった。



 こうして、義妹と王子が熱愛してという噂はあっという間に消える事となり…その代わりに、私と王子は強い愛で結ばれて居ると言う噂が流れるのだった。

 真面目しか取り柄の無い私に、王子が告白して下さった時は驚いたけれど…その後は密かにお付き合いを始め、途中で義妹の邪魔はあったものの…その愛が終わる事は無かった。

 むしろこの出来事があったからこそ…私達はきっとこの先どんな邪魔が入ったとしても、互いを想う気持ちは変わらないとハッキリと言える自信が付き…より私達の愛は深まったと言えるわ─。
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