69 / 181
王子と熱愛中だと噂になり浮かれる義妹は、その驕りから遂に痛い目を見る事となりました。
しおりを挟む
私には、全く血の繋がらない義妹が居る。
彼女は亡き父の再婚相手の連れ子で…地味な私と違いそれはそれは可愛い顔していたが、その性格は嘘つきで意地が悪った。
そんな彼女が、私達と同じ学園に通う王子と熱愛中だと噂される事に─。
するとそれを耳にした義妹は、否定するどころか喜びこう言った。
「流石の王子も、私程可愛い女にはすっかり心奪われてしまったみたいね。王子は婚約者をこの学園で探すつもりだと仰って居たでしょう?ならばこのまま噂通り、私が彼と結ばれるのが自然な流れよね。」
それを聞いた私は、滅多な事を口にするなと義妹を咎めた。
「そんな事は、あなたが勝手に決める事ではありません。そもそも、あくまで噂でしょう?あなたは王子に好きだと…愛していると言われたの?」
すると義妹は、そんな私を見て厭な笑みを浮かべこう言った。
「私には何人もの取り巻き達が居るけれど…彼女達が、王子に告白される私の姿を見たと言って居るわ。王子は、私の事が好きなのよ。」
「そんな馬鹿な…。」
確かに、義妹にはいつも引き連れている女生徒達が何人も居るが…彼女達が、そんな証言を?
そもそも、王子が義妹を好きだと言うのが信じられないわ。
だって、王子は─。
あの子の嘘つきな性格には、今まで散々困らされて来たけれど…今回の事は、とても見逃せない。
あの子には、そろそろ痛い目を見て貰いましょう─。
それから数日後、義妹は王子に呼び出さされる事に─。
義妹は、ウキウキとした足取りで王子の元へと向かった。
「王子もあの噂をお聞きになったんでしょう?私達、皆からお似合いだと言われて居ますよ!どうでしょう…これを機に、私をあなたの婚約者にして貰えませんか?」
そう言って、義妹は上目遣いで小首を傾げ…可愛らしく王子に迫った。
しかし王子は、そんな義妹を冷めた目で見てこう言った。
「俺には、既に婚約を申し込んだ相手が居る。それに…君の様な嘘つきの悪女など、絶対にお断りだ。」
「あ、悪女って…そんな言い方あんまりです!」
義妹は目に涙を滲ませ、王子に泣きつこうとしたが…王子は、そんな義妹の手をサッと振り払った。
「いい加減、恥を晒すのは辞めなさい。」
その様子を見て居られなくなった私は、二人の間に割って入った。
「お姉様…あなたには関係無いでしょう!?」
義妹は私をキッと睨んだが…私はそれを無視し、話を続けた。
「あなたは、自分の取り巻き達のそれぞれの弱みを握ると…王子と自分が、さも熱愛中であるかのような噂を流すよう命じましたね?そして王子がそれを拒否したら…王子が自分に愛の告白をして居たと嘘の証言をするよう、強引に約束させたのでしょう?」
「わ、私には何の事か─」
「とぼけても無駄だ。彼女達は勇気を出し、お前にそんな事を強要されたと告白してくれた。それに…この学園には俺に使える者達が生徒や教師として密かに潜り込み、俺の周りを監視して居るんだ。お前の悪事など、もうすっかりお見通しだ。」
「そ、そんな…。」
私と王子の言葉に、義妹の顔は真っ青になり…彼女は、今度こそ大粒の涙を流すのだった。
「そしてその女生徒達だが…揃って、ある事を証言してくれた。それは、俺がお前に愛の告白をしたのではなく…姉である彼女に、婚約者になって欲しいと告白したと言う事だ。彼女達は、もうお前の取り巻きで居るのは嫌だ…これからは本当の事しか言わないと誓った。計画が上手く行かず、残念だったな。」
「お、王子‥どうか許して下さい!罰を受けるのは嫌よ─!」
義妹は必死に許しを乞うたが…潜んで居た王子に使える者達に取り押さえられ、その後はこの学園を退学させられる事となった。
更には王子を罠に嵌めようとした罪で、この国から追放される羽目に─。
そうなって、義妹は漸く自分のしでかした事の重大さに気付いた様だが…もう何もかもが遅いのだった。
こうして、義妹と王子が熱愛してという噂はあっという間に消える事となり…その代わりに、私と王子は強い愛で結ばれて居ると言う噂が流れるのだった。
真面目しか取り柄の無い私に、王子が告白して下さった時は驚いたけれど…その後は密かにお付き合いを始め、途中で義妹の邪魔はあったものの…その愛が終わる事は無かった。
むしろこの出来事があったからこそ…私達はきっとこの先どんな邪魔が入ったとしても、互いを想う気持ちは変わらないとハッキリと言える自信が付き…より私達の愛は深まったと言えるわ─。
彼女は亡き父の再婚相手の連れ子で…地味な私と違いそれはそれは可愛い顔していたが、その性格は嘘つきで意地が悪った。
そんな彼女が、私達と同じ学園に通う王子と熱愛中だと噂される事に─。
するとそれを耳にした義妹は、否定するどころか喜びこう言った。
「流石の王子も、私程可愛い女にはすっかり心奪われてしまったみたいね。王子は婚約者をこの学園で探すつもりだと仰って居たでしょう?ならばこのまま噂通り、私が彼と結ばれるのが自然な流れよね。」
それを聞いた私は、滅多な事を口にするなと義妹を咎めた。
「そんな事は、あなたが勝手に決める事ではありません。そもそも、あくまで噂でしょう?あなたは王子に好きだと…愛していると言われたの?」
すると義妹は、そんな私を見て厭な笑みを浮かべこう言った。
「私には何人もの取り巻き達が居るけれど…彼女達が、王子に告白される私の姿を見たと言って居るわ。王子は、私の事が好きなのよ。」
「そんな馬鹿な…。」
確かに、義妹にはいつも引き連れている女生徒達が何人も居るが…彼女達が、そんな証言を?
そもそも、王子が義妹を好きだと言うのが信じられないわ。
だって、王子は─。
あの子の嘘つきな性格には、今まで散々困らされて来たけれど…今回の事は、とても見逃せない。
あの子には、そろそろ痛い目を見て貰いましょう─。
それから数日後、義妹は王子に呼び出さされる事に─。
義妹は、ウキウキとした足取りで王子の元へと向かった。
「王子もあの噂をお聞きになったんでしょう?私達、皆からお似合いだと言われて居ますよ!どうでしょう…これを機に、私をあなたの婚約者にして貰えませんか?」
そう言って、義妹は上目遣いで小首を傾げ…可愛らしく王子に迫った。
しかし王子は、そんな義妹を冷めた目で見てこう言った。
「俺には、既に婚約を申し込んだ相手が居る。それに…君の様な嘘つきの悪女など、絶対にお断りだ。」
「あ、悪女って…そんな言い方あんまりです!」
義妹は目に涙を滲ませ、王子に泣きつこうとしたが…王子は、そんな義妹の手をサッと振り払った。
「いい加減、恥を晒すのは辞めなさい。」
その様子を見て居られなくなった私は、二人の間に割って入った。
「お姉様…あなたには関係無いでしょう!?」
義妹は私をキッと睨んだが…私はそれを無視し、話を続けた。
「あなたは、自分の取り巻き達のそれぞれの弱みを握ると…王子と自分が、さも熱愛中であるかのような噂を流すよう命じましたね?そして王子がそれを拒否したら…王子が自分に愛の告白をして居たと嘘の証言をするよう、強引に約束させたのでしょう?」
「わ、私には何の事か─」
「とぼけても無駄だ。彼女達は勇気を出し、お前にそんな事を強要されたと告白してくれた。それに…この学園には俺に使える者達が生徒や教師として密かに潜り込み、俺の周りを監視して居るんだ。お前の悪事など、もうすっかりお見通しだ。」
「そ、そんな…。」
私と王子の言葉に、義妹の顔は真っ青になり…彼女は、今度こそ大粒の涙を流すのだった。
「そしてその女生徒達だが…揃って、ある事を証言してくれた。それは、俺がお前に愛の告白をしたのではなく…姉である彼女に、婚約者になって欲しいと告白したと言う事だ。彼女達は、もうお前の取り巻きで居るのは嫌だ…これからは本当の事しか言わないと誓った。計画が上手く行かず、残念だったな。」
「お、王子‥どうか許して下さい!罰を受けるのは嫌よ─!」
義妹は必死に許しを乞うたが…潜んで居た王子に使える者達に取り押さえられ、その後はこの学園を退学させられる事となった。
更には王子を罠に嵌めようとした罪で、この国から追放される羽目に─。
そうなって、義妹は漸く自分のしでかした事の重大さに気付いた様だが…もう何もかもが遅いのだった。
こうして、義妹と王子が熱愛してという噂はあっという間に消える事となり…その代わりに、私と王子は強い愛で結ばれて居ると言う噂が流れるのだった。
真面目しか取り柄の無い私に、王子が告白して下さった時は驚いたけれど…その後は密かにお付き合いを始め、途中で義妹の邪魔はあったものの…その愛が終わる事は無かった。
むしろこの出来事があったからこそ…私達はきっとこの先どんな邪魔が入ったとしても、互いを想う気持ちは変わらないとハッキリと言える自信が付き…より私達の愛は深まったと言えるわ─。
139
お気に入りに追加
895
あなたにおすすめの小説
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
舞台装置は壊れました。
ひづき
恋愛
公爵令嬢は予定通り婚約者から破棄を言い渡された。
婚約者の隣に平民上がりの聖女がいることも予定通り。
『お前は未来の国王と王妃を舞台に押し上げるための装置に過ぎん。それをゆめゆめ忘れるな』
全てはセイレーンの父と王妃の書いた台本の筋書き通り───
※一部過激な単語や設定があるため、R15(保険)とさせて頂きます
2020/10/30
お気に入り登録者数50超え、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
2020/11/08
舞台装置は壊れました。の続編に当たる『不確定要素は壊れました。』を公開したので、そちらも宜しくお願いします。
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
木山楽斗
恋愛
「君とは一年後に離婚するつもりだ」
結婚して早々、私は夫であるマグナスからそんなことを告げられた。
彼曰く、これは親に言われて仕方なくした結婚であり、義理を果たした後は自由な独り身に戻りたいらしい。
身勝手な要求ではあったが、その気持ちが理解できない訳ではなかった。私もまた、親に言われて結婚したからだ。
こうして私は、一年間の期限付きで夫婦生活を送ることになった。
マグナスは紳士的な人物であり、最初に言ってきた要求以外は良き夫であった。故に私は、それなりに楽しい生活を送ることができた。
「もう少し様子を見たいと思っている。流石に一年では両親も納得しそうにない」
一年が経った後、マグナスはそんなことを言ってきた。
それに関しては、私も納得した。彼の言う通り、流石に離婚までが早すぎると思ったからだ。
それから一年後も、マグナスは離婚の話をしなかった。まだ様子を見たいということなのだろう。
夫がいつ離婚を切り出してくるのか、そんなことを思いながら私は日々を過ごしている。今の所、その気配はまったくないのだが。
【完結・全7話】妹などおりません。理由はご説明が必要ですか?お分かりいただけますでしょうか?
BBやっこ
恋愛
ナラライア・グスファースには、妹がいた。その存在を全否定したくなり、血の繋がりがある事が残念至極と思うくらいには嫌いになった。あの子が小さい頃は良かった。お腹が空けば泣き、おむつを変えて欲しければむずがる。あれが赤ん坊だ。その時まで可愛い子だった。
成長してからというもの。いつからあんな意味不明な人間、いやもう同じ令嬢というジャンルに入れたくない。男を誘い、お金をぶんどり。貢がせて人に罪を着せる。それがバレてもあの笑顔。もう妹というものじゃない。私の婚約者にも毒牙が…!
目を覚ました気弱な彼女は腹黒令嬢になり復讐する
音爽(ネソウ)
恋愛
家族と婚約者に虐げられてきた伯爵令嬢ジーン・ベンスは日々のストレスが重なり、高熱を出して寝込んだ。彼女は悪夢にうなされ続けた、夢の中でまで冷遇される理不尽さに激怒する。そして、目覚めた時彼女は気弱な自分を払拭して復讐に燃えるのだった。
私の留学中に、婚約者と妹が恋仲になったようです──。
Nao*
恋愛
現在、隣国に留学中の私。
すると私が不在の間に、婚約者ガルディア様と妹のリリララが恋仲になったと言う話が届く。
何と二人は、私が居るにも関わらず新たな婚約関係を結ぶ事を約束して居るらしい。
そんな裏切りに傷付く私だったが…使用人を務めるロベルトが、優しく慰めてくれる。
更には、追い求めて居たある物が漸く見つかり…私にも希望の光が見えて来て─?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる