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聖女の力に目覚めたと言う妹が、自身を守る騎士が必要だと私の婚約者を狙って来ました。
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ある日、妹と婚約者が話をする所に出くわしてしまった私。
「どうかお姉様と婚約破棄し、私の騎士様になって?私も……聖女の力に目覚めたんです!」
「君が…?」
妹は、首を傾げる彼の手をぎゅっと握った。
「今の私には、不思議なモノが沢山視えるの。あぁ…これがお姉様の見てた世界なのね!」
妹の言葉に、彼は今すぐ返事は出来ないと言い神殿を去った─。
「…今の話、本当なの?」
「お姉様、見てらしたのね。そうよ…この神殿で、お姉様の世話をする内に、ね。いつかお姉様を追い越し、私がこの地一の聖女になってやるわ。そして彼も私のものにしてみせる。だって…聖女様には、それを守る素敵な騎士様が必要だもの!」
あなたが聖女ですって…?
それが本当なら、あなたに宿るソレは何?
あなたになど騎士様は…彼は、必要ないわ─。
※※※
お姉様、私に何も言い返せなかったわね。
でも当たり前か。
この可愛らしい私が聖女の力に目覚めてしまったら、あんな地味なお姉様など勝ち目はないもの。
きっと彼を奪われたらどうしようと、今から不安で胸が一杯なんでしょう。
あなたも聖女になりたいのなら、清く正しい心を持て…修行に励めと口うるさく言ってたけど、そんな事しなくても私は神に愛された。
私は…この神殿の守護神に愛されちゃってるんだから─!
あれは少し前の事…神殿のある部屋で、私は不思議な箱を見つけた。
するとその箱から声が聞こえて…自分はこの神殿を守る神で、これを開けてくれたら私を聖女にしてくれると言った。
だから私は喜んで札を外し、蓋を開けたわ。
その時から私は、人ではない不思議なモノが一杯視えるようになった─。
するとそれから数日後の事。
私に話があると、お姉様の婚約者が訪ねて来た。
きっとこの前の返事ね…私の事を受け入れるって…愛してくれるって言いに来てくれたのよ─!
「君の騎士にはなれない。それから、彼女と婚約破棄はしない。」
「ど、どうして!?」
「君からは、聖女の力を感じないからだ。この前手を握られた時、それが分かった。君からは、聖なる力ではなく邪悪な力を感じたんだ。」
「な、何ですって!?馬鹿言わないで!」
私は怒りの余り、彼に詰め寄った。
が、そんな私を止める声が─。
「彼の言っている事は本当です。彼には私の加護が付いているから、あなたに宿る邪神に気付く事が出来たのよ─。」
***
「お姉様!じゃ、邪神ってどういう事!?あれは、確かにこの神殿の守護神と─」
「あなたが開けたあの箱は、邪神を封じた物…あなたは、その悪しき神の言葉に惑わされただけです。」
「なッ!?」
「大体あなた、どうしてそんな物が置いてある開かずの間に入ったんです?あそこは、聖職者以外立ち入るなと言われていたはずです。」
「それは、その…。」
「どうせ金目の物を狙い、そこに入りこんだのでしょう?あなたは聖女になりたいと言う割にろくに修行もせず、おまけに世話係の仕事もせず遊んでばかり…そのせいで常にお金に困っていた。私の私物が時々消えたのも、どうせあなたが盗んでお金に換えてしまったんじゃないの?」
「私は、何も…。」
「俺の調べで、聖女の力が宿った物だと、お前がいくつかの品物を店に持ち込んだという証言が得られた。店の倉庫に彼女の私物だけでなく、神殿の所有する貴重な神具もあったぞ?もはやお前は聖女ではなく悪党だ!」
「そんな…!」
「あなたは悪党な上に、その身に邪神まで宿らせてしまった。あなたに見えていたのは、邪神の力に引き寄せられたただの悪霊や魔物の類いです!邪神をこのままにはしておけない…再び、眠らせなければ─。」
すると屋のドアが開き、神官たちが次々と入って来て妹を取り囲んだ。
「わ…私に何する気よ?い、嫌──!」
***
その後…邪神を宿した妹は、その身体ごと開かずの間に封印されてしまった。
でも仕方ないわ。
あの子ったら、邪神が封印されていた特別な箱まで売ってお金に換えてしまったんだもの。
封印する箱が無いなら、妹のその身に封じるより他ないわ。
それは大層苦痛を伴う事だけれど…力も無いのに聖女を語り神殿で犯罪を起こすなどきっと重い罪に問われ、一生牢に入れられて居たし…閉じ込められるのが、牢か開かずの間かだけでそう変わりはないから─。
一方私は、更に真面目に修行に励み…やがてこの国で唯一の大聖女となる事が出来た。
するとその力が国王の目に留まり、私は彼が団長を務める騎士団の皆に、加護を授ける事を許された。
私はこれまで、ずっと彼に守り愛されてきたから…いつかは私が彼の助けとなり、彼の大事なものを守りたかった。
だからその目標を達成する事が出来て、本当に良かった─。
そう彼に話せば、彼は優しい笑みを浮かべ……心から感謝すると言い、私を抱きしめてくれるのだった─。
「どうかお姉様と婚約破棄し、私の騎士様になって?私も……聖女の力に目覚めたんです!」
「君が…?」
妹は、首を傾げる彼の手をぎゅっと握った。
「今の私には、不思議なモノが沢山視えるの。あぁ…これがお姉様の見てた世界なのね!」
妹の言葉に、彼は今すぐ返事は出来ないと言い神殿を去った─。
「…今の話、本当なの?」
「お姉様、見てらしたのね。そうよ…この神殿で、お姉様の世話をする内に、ね。いつかお姉様を追い越し、私がこの地一の聖女になってやるわ。そして彼も私のものにしてみせる。だって…聖女様には、それを守る素敵な騎士様が必要だもの!」
あなたが聖女ですって…?
それが本当なら、あなたに宿るソレは何?
あなたになど騎士様は…彼は、必要ないわ─。
※※※
お姉様、私に何も言い返せなかったわね。
でも当たり前か。
この可愛らしい私が聖女の力に目覚めてしまったら、あんな地味なお姉様など勝ち目はないもの。
きっと彼を奪われたらどうしようと、今から不安で胸が一杯なんでしょう。
あなたも聖女になりたいのなら、清く正しい心を持て…修行に励めと口うるさく言ってたけど、そんな事しなくても私は神に愛された。
私は…この神殿の守護神に愛されちゃってるんだから─!
あれは少し前の事…神殿のある部屋で、私は不思議な箱を見つけた。
するとその箱から声が聞こえて…自分はこの神殿を守る神で、これを開けてくれたら私を聖女にしてくれると言った。
だから私は喜んで札を外し、蓋を開けたわ。
その時から私は、人ではない不思議なモノが一杯視えるようになった─。
するとそれから数日後の事。
私に話があると、お姉様の婚約者が訪ねて来た。
きっとこの前の返事ね…私の事を受け入れるって…愛してくれるって言いに来てくれたのよ─!
「君の騎士にはなれない。それから、彼女と婚約破棄はしない。」
「ど、どうして!?」
「君からは、聖女の力を感じないからだ。この前手を握られた時、それが分かった。君からは、聖なる力ではなく邪悪な力を感じたんだ。」
「な、何ですって!?馬鹿言わないで!」
私は怒りの余り、彼に詰め寄った。
が、そんな私を止める声が─。
「彼の言っている事は本当です。彼には私の加護が付いているから、あなたに宿る邪神に気付く事が出来たのよ─。」
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「お姉様!じゃ、邪神ってどういう事!?あれは、確かにこの神殿の守護神と─」
「あなたが開けたあの箱は、邪神を封じた物…あなたは、その悪しき神の言葉に惑わされただけです。」
「なッ!?」
「大体あなた、どうしてそんな物が置いてある開かずの間に入ったんです?あそこは、聖職者以外立ち入るなと言われていたはずです。」
「それは、その…。」
「どうせ金目の物を狙い、そこに入りこんだのでしょう?あなたは聖女になりたいと言う割にろくに修行もせず、おまけに世話係の仕事もせず遊んでばかり…そのせいで常にお金に困っていた。私の私物が時々消えたのも、どうせあなたが盗んでお金に換えてしまったんじゃないの?」
「私は、何も…。」
「俺の調べで、聖女の力が宿った物だと、お前がいくつかの品物を店に持ち込んだという証言が得られた。店の倉庫に彼女の私物だけでなく、神殿の所有する貴重な神具もあったぞ?もはやお前は聖女ではなく悪党だ!」
「そんな…!」
「あなたは悪党な上に、その身に邪神まで宿らせてしまった。あなたに見えていたのは、邪神の力に引き寄せられたただの悪霊や魔物の類いです!邪神をこのままにはしておけない…再び、眠らせなければ─。」
すると屋のドアが開き、神官たちが次々と入って来て妹を取り囲んだ。
「わ…私に何する気よ?い、嫌──!」
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その後…邪神を宿した妹は、その身体ごと開かずの間に封印されてしまった。
でも仕方ないわ。
あの子ったら、邪神が封印されていた特別な箱まで売ってお金に換えてしまったんだもの。
封印する箱が無いなら、妹のその身に封じるより他ないわ。
それは大層苦痛を伴う事だけれど…力も無いのに聖女を語り神殿で犯罪を起こすなどきっと重い罪に問われ、一生牢に入れられて居たし…閉じ込められるのが、牢か開かずの間かだけでそう変わりはないから─。
一方私は、更に真面目に修行に励み…やがてこの国で唯一の大聖女となる事が出来た。
するとその力が国王の目に留まり、私は彼が団長を務める騎士団の皆に、加護を授ける事を許された。
私はこれまで、ずっと彼に守り愛されてきたから…いつかは私が彼の助けとなり、彼の大事なものを守りたかった。
だからその目標を達成する事が出来て、本当に良かった─。
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