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私を虐め周りの女を蹴落としてお姉様が手に入れた男は、王子ではなかったようです。
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私の姉は、とても美しく華やかな容姿をして居る。
でもそれを鼻にかける、高飛車で意地の悪い性格で…私は、そんな姉からいつも虐められて居た。
それは、私の容姿が姉と違いとても地味だったからだ。
両親が揃って美形な事もあり…姉は、私が本当はこの家の娘ではないんじゃないかと言い私を揶揄った。
そんな姉は、学園でもいつも威張り散らして居た。
男達は姉の性格の悪さを知りつつも、美しい彼女の虜で…女達は、そんな姉の標的にならないよう常に身を縮ませて居た。
するとそんな中…この学園の生徒の中に、この国の王子が居るのではないかと言う噂が流れた。
彼は正体を隠し、この学園に通って居るそうで…それを知った姉は、すぐに王子探しを始めた。
そして、少し前に編入して来た一人の美形の男子生徒に目を付けた。
「あの美しさ…ただ者では無いと思って居たのよ。やはりそう言う高貴な身分の方だったのね!」
姉は、早速その彼に近づき…彼に近づく女達を排除しだした。
私は、そんな姉を咎めたが…姉は邪魔をするなと言い、私に対する虐めは更に悪化した。
私が世話をして居た花壇も、姉によって花は皆引っこ抜かれ荒されてしまった。
その後も姉は、彼に話しかけられた、笑いかけられた女生徒達を私同様虐め抜くのだった。
そんなある日…学園の食堂で級友とお昼を過ごして居た私の元に、姉が例の男を引き連れやって来た。
「ここは私と王子である彼が座るから、あなたとその男はどこか他所に行きなさい!」
「でも、他にも開いている席が─」
「ここからの眺めが一番いいのよ!ここは、王子とその彼と結ばれた私に相応しい席なのよ!」
するとそんな姉に、一緒に居た男子生徒が口を開いた。
「食堂の席は、誰のものと決まって居る訳ではないだろう?あなたは随分とやりたい放題だが…そろそろ態度を改めるべきだ。」
「何ですって!?地味男の癖に、私に何て口を聞いて居るのよ!」
怒った姉は、トレーの上にあったスープを彼の頭にかけた。
すると次の瞬間…数人の生徒が飛び出し、そんな姉を床に引き倒し取り押さえた。
「あ、あなた達は何なのよ!?」
「彼らは、俺を守る従者で、生徒として紛れて居たんだ。」
頭にスープをかけられた彼は、姉にそう言うと…自身の頭に手を伸ばした。
そして、その黒髪を引っ張ると…それはズルリと取れ、中から美しい金の髪が現れた。
「その髪の色は…この国の王族だけが持つと言う─。まさか、あなたが噂の王子!?じゃあ、この男は…あなた、一体どういう事なのよ!」
姉に詰め寄られた男は、冷や汗をかき真実を述べた。
彼のその髪は、王族に憧れ金色に染めたもので…確かに良い家の生まれだが、王族の血は一切入って居ないというものだった。
更に彼は、本物の王子が一切名乗り出ない事で調子に乗り…このまま卒業まで、王子として姉と良い関係で居るつもりだった。
「卒業と同時に、捨ててやれば別にいいかと思って…。」
「わ、私を捨てるですって!?」
「お前は確かに美しいが、性格が悪すぎるし…遊ぶくらいで丁度いいんだよ!」
二人は醜い言い争いを始めたが…王子はそんな彼らにこう言った。
「王子に危害を加えようとしたあなたの行為は不敬に当たる。王子と偽る事も、決して許されぬ行為だ。あなた達にはこの学園を去って貰う。いずれは、この国からも去る事になるかも知れないが─。」
その言葉に、二人は真っ青な顔になりその場に崩れ落ちるのだった─。
その後、二人はすぐ退学処分となり…姉もその男も家族から縁を切られ、他国に追放されてしまった。
おかげで、私はもう姉に怯えなくていいし…学園も平和そのものだ。
ただ、あれから王子はその正体を隠す事は無くなった。
野暮ったいカツラと眼鏡が無くなった彼は、それはもう素敵で…学園の女達は、皆彼の虜になった。
そんな彼だが、変わらず私と仲用してくれて居て…一緒に花壇の花を植え直すのを手伝ってくれた。
「前も、こうして花壇作りを手伝ってくれましたね。」
「俺は植物が好きで、それが学びたくてこの学園に入ったんだ。いずれは城の庭を美しい花で一面飾りたいと思って居るんだが…その時は、君も傍に居て欲しい。」
王子は、花を愛でる私の姿に一目惚れし…級友として仲良くなって以降、こうして私の傍に居たのだと言う。
突然の告白に驚いたものの…彼と過ごす時間は楽しく、王子と知ってからも彼と共に居たいと言う私の気持ちは変わらなかった。
その為、私は喜んで彼の気持ちに応える事に─。
そして学園卒業後、私は彼の婚約者として城に迎えられる事となり…幸せな未来が訪れるのを、私は心待ちにして居るわ─。
でもそれを鼻にかける、高飛車で意地の悪い性格で…私は、そんな姉からいつも虐められて居た。
それは、私の容姿が姉と違いとても地味だったからだ。
両親が揃って美形な事もあり…姉は、私が本当はこの家の娘ではないんじゃないかと言い私を揶揄った。
そんな姉は、学園でもいつも威張り散らして居た。
男達は姉の性格の悪さを知りつつも、美しい彼女の虜で…女達は、そんな姉の標的にならないよう常に身を縮ませて居た。
するとそんな中…この学園の生徒の中に、この国の王子が居るのではないかと言う噂が流れた。
彼は正体を隠し、この学園に通って居るそうで…それを知った姉は、すぐに王子探しを始めた。
そして、少し前に編入して来た一人の美形の男子生徒に目を付けた。
「あの美しさ…ただ者では無いと思って居たのよ。やはりそう言う高貴な身分の方だったのね!」
姉は、早速その彼に近づき…彼に近づく女達を排除しだした。
私は、そんな姉を咎めたが…姉は邪魔をするなと言い、私に対する虐めは更に悪化した。
私が世話をして居た花壇も、姉によって花は皆引っこ抜かれ荒されてしまった。
その後も姉は、彼に話しかけられた、笑いかけられた女生徒達を私同様虐め抜くのだった。
そんなある日…学園の食堂で級友とお昼を過ごして居た私の元に、姉が例の男を引き連れやって来た。
「ここは私と王子である彼が座るから、あなたとその男はどこか他所に行きなさい!」
「でも、他にも開いている席が─」
「ここからの眺めが一番いいのよ!ここは、王子とその彼と結ばれた私に相応しい席なのよ!」
するとそんな姉に、一緒に居た男子生徒が口を開いた。
「食堂の席は、誰のものと決まって居る訳ではないだろう?あなたは随分とやりたい放題だが…そろそろ態度を改めるべきだ。」
「何ですって!?地味男の癖に、私に何て口を聞いて居るのよ!」
怒った姉は、トレーの上にあったスープを彼の頭にかけた。
すると次の瞬間…数人の生徒が飛び出し、そんな姉を床に引き倒し取り押さえた。
「あ、あなた達は何なのよ!?」
「彼らは、俺を守る従者で、生徒として紛れて居たんだ。」
頭にスープをかけられた彼は、姉にそう言うと…自身の頭に手を伸ばした。
そして、その黒髪を引っ張ると…それはズルリと取れ、中から美しい金の髪が現れた。
「その髪の色は…この国の王族だけが持つと言う─。まさか、あなたが噂の王子!?じゃあ、この男は…あなた、一体どういう事なのよ!」
姉に詰め寄られた男は、冷や汗をかき真実を述べた。
彼のその髪は、王族に憧れ金色に染めたもので…確かに良い家の生まれだが、王族の血は一切入って居ないというものだった。
更に彼は、本物の王子が一切名乗り出ない事で調子に乗り…このまま卒業まで、王子として姉と良い関係で居るつもりだった。
「卒業と同時に、捨ててやれば別にいいかと思って…。」
「わ、私を捨てるですって!?」
「お前は確かに美しいが、性格が悪すぎるし…遊ぶくらいで丁度いいんだよ!」
二人は醜い言い争いを始めたが…王子はそんな彼らにこう言った。
「王子に危害を加えようとしたあなたの行為は不敬に当たる。王子と偽る事も、決して許されぬ行為だ。あなた達にはこの学園を去って貰う。いずれは、この国からも去る事になるかも知れないが─。」
その言葉に、二人は真っ青な顔になりその場に崩れ落ちるのだった─。
その後、二人はすぐ退学処分となり…姉もその男も家族から縁を切られ、他国に追放されてしまった。
おかげで、私はもう姉に怯えなくていいし…学園も平和そのものだ。
ただ、あれから王子はその正体を隠す事は無くなった。
野暮ったいカツラと眼鏡が無くなった彼は、それはもう素敵で…学園の女達は、皆彼の虜になった。
そんな彼だが、変わらず私と仲用してくれて居て…一緒に花壇の花を植え直すのを手伝ってくれた。
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その為、私は喜んで彼の気持ちに応える事に─。
そして学園卒業後、私は彼の婚約者として城に迎えられる事となり…幸せな未来が訪れるのを、私は心待ちにして居るわ─。
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