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旅から帰ったら婚約すると言った恋人は、それを破り聖女と駆け落ちしました…。
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私の恋人は騎士団に所属して居て…その中でも、一際剣の腕に優れて居た。
そんな彼が、聖女様の巡礼旅の護衛を任せられる事に─。
その旅が終わるのは、早くても半年後と言われ…私はその間、彼に会えない事を寂しく思った。
でも、聖女様の護衛を任せられるなど名誉な事…。
しかも、聖女様直々のご指名だそうだから、当然断れないわよね─。
するとそんな私に、戻って来たら必ず君と婚約する…だからそう落ち込まないでくれと彼は言ってくれた。
まさか、彼から婚約しようと言う言葉を貰えるとは…。
私はとても嬉しく思い…ならばこの半年間は、あなたの無事を毎日この地の守護神に祈り待って居ると答えた。
そして、それから半年後─。
私の元に、ある報せが飛び込んで来た。
何と、聖女と彼が旅の途中で恋仲となり…旅を終えてもこの地に戻る事は無く、そのまま駆け落ちしてしまったと言うのだ─。
それを聞かされた私は…余りのショックにその場で倒れ、三日三晩高熱にうなされ寝込んでしまった。
すると私は、その間不思議な夢を見る事に─。
それは、駆け落ち中のあの二人が出て来る夢だった。
二人共酷くやつれ…今にもそのまま野垂れ死にしてしまいそうな様子だった。
そんな二人の仲は険悪で、その内言い合いを始めた。
『どうして聖女の癖に病に罹るんだ!どうして俺の病を治せない!何の為の巡礼旅だったんだ!』
『私も分からないのよ!この旅の途中までは、ちゃんと聖女の力はあったの。でも、どんどん力が失われて行って…。と言うか、あなただって私をちゃんとその剣で守りなさいよ!何で山賊に襲われお金を奪われちゃうの!?』
『そんな事言ったって、急に体から力が抜けて…。お前に加護を授けて貰ったのに、かえって調子が悪いんだよ!』
そこで私は目を覚ました。
あれはただの夢…?
それとも、今の二人の姿─?
するとそんな私の元を、騎士団長が訪ねて来た。
恋人の裏切りに倒れた私を、彼は心配して下さったようだ。
私はどうしようか迷ったが…あの不思議な夢を騎士団長にお伝えする事に─。
すると…体がもう大丈夫ならば、共に神殿に来て欲しいと仰った。
そして神殿を訪ねれば…私を見た神官長が、歓喜の声を気た。
「あなたは聖女の力に目覚めて居る…!そしてその夢は、ただの夢では無くご神託です。神があなたを憐み、あの二人に罰を与え…そして今の状況を教えて下さったのです。」
私が聖女…?
驚く私に…聖女の役目を果たさず、人の恋人を奪い逃げる者はもう聖女ではない…そして彼女の代わりとなる者として、この地で一番信心深い私が選ばれたのだと神官長は説明して下った。
「聖女としての力を失ったから、病に罹るし治せもしない。そして、山賊に襲われる不運に襲われたんだ。そして授かった加護と言うのも、もう効果が無いのだろう。それで、その二人は今何処に?」
騎士団長に尋ねられ…私は、二人が居た場所を事細かに伝えた。
そのおかげで、逃げて居た二人は騎士団に捕らえられ…数日後、この地に戻って来た。
すると…次の聖女になった私を見て、恋人だった彼はこう言って来た。
「俺はこの女に騙されただけだ!聖女の私を選んだ方がもっと幸せになれると言うから、つい─。でも、今はもうこの女を愛して居ない!お前しか好きじゃないから─!」
しかしそれを聞いた聖女は激怒し、こう反論した。
「確かに最初に声を開けたのは私だけれど、そんな私に惚れ込み駆け落ちし様と言ったのはあなたじゃない!嘘を付くんじゃないわよ!?」
そして、またもや醜い言い争いを始めた二人に…私はもうそんな姿は見たくないと止めた。
「いずれにせよ、あなた達が愚かな行いをした事は事実です。しかしそんなあなた達に、その罪を償うチャンスが与えられました。今、この地は守護神様のお怒りで日照りが続いて居ます。それもこれも、あなた達が巡礼旅をきちんと終えなかったからです。ですが…あなた達を生贄に捧げるなら、雨を降らせると守護神が仰ってくれました。」
私の言葉に、二人の表情が途端に真っ青になった。
「い、生贄って、そんな─!」
「俺はお前とやり直すから、生贄になるのはこの女だけで良いだろう!?」
「誰があなたとやり直すと言いました?と言うか…あなた達は駆け落ちする程、惹かれ合って居たんでしょう?その行先が、死の世界になるだけの事。むしろ、あなた達が生贄になる事でこの地の人々が救われるのだから…名誉な事と思って下さい。」
「い、嫌~!」
「そ、そんな…!」
二人はその場に崩れ落ち号泣したが…私は聖女としての初仕事の準備に取り掛かる為、その場を後にした─。
その後、二人は干上がった沼の中に埋められる事に─。
その直後、私が祈りを捧げれば…この地に久しぶりの雨が降り、私は無事に務めを果たす事が出来た。
そしてそれにより、私は正式にこの地の聖女として生きて行く事となった。
そんな私の護衛を買って出て下さったのは…あの騎士団長だった。
実は彼は…以前から私に、特別な想いを抱いて居たそうだ。
あの時見舞ってくれたのは、騎士団長としての務めだけでなく…一人の男として私を支えたいと言う想いがあったからだと言う。
そんな彼は、私をとても大事にしてくれ…私は次第に、彼に惹かれる様に─。
そして恋人に裏切られた傷も癒えてきた私は、彼の気持ちに応えたのだった。
その後、私達は婚約し…彼は私を聖女としてだけでなく、婚約者としても守り愛してくれて…私は、とても幸せな日々を送って居るわ─。
そんな彼が、聖女様の巡礼旅の護衛を任せられる事に─。
その旅が終わるのは、早くても半年後と言われ…私はその間、彼に会えない事を寂しく思った。
でも、聖女様の護衛を任せられるなど名誉な事…。
しかも、聖女様直々のご指名だそうだから、当然断れないわよね─。
するとそんな私に、戻って来たら必ず君と婚約する…だからそう落ち込まないでくれと彼は言ってくれた。
まさか、彼から婚約しようと言う言葉を貰えるとは…。
私はとても嬉しく思い…ならばこの半年間は、あなたの無事を毎日この地の守護神に祈り待って居ると答えた。
そして、それから半年後─。
私の元に、ある報せが飛び込んで来た。
何と、聖女と彼が旅の途中で恋仲となり…旅を終えてもこの地に戻る事は無く、そのまま駆け落ちしてしまったと言うのだ─。
それを聞かされた私は…余りのショックにその場で倒れ、三日三晩高熱にうなされ寝込んでしまった。
すると私は、その間不思議な夢を見る事に─。
それは、駆け落ち中のあの二人が出て来る夢だった。
二人共酷くやつれ…今にもそのまま野垂れ死にしてしまいそうな様子だった。
そんな二人の仲は険悪で、その内言い合いを始めた。
『どうして聖女の癖に病に罹るんだ!どうして俺の病を治せない!何の為の巡礼旅だったんだ!』
『私も分からないのよ!この旅の途中までは、ちゃんと聖女の力はあったの。でも、どんどん力が失われて行って…。と言うか、あなただって私をちゃんとその剣で守りなさいよ!何で山賊に襲われお金を奪われちゃうの!?』
『そんな事言ったって、急に体から力が抜けて…。お前に加護を授けて貰ったのに、かえって調子が悪いんだよ!』
そこで私は目を覚ました。
あれはただの夢…?
それとも、今の二人の姿─?
するとそんな私の元を、騎士団長が訪ねて来た。
恋人の裏切りに倒れた私を、彼は心配して下さったようだ。
私はどうしようか迷ったが…あの不思議な夢を騎士団長にお伝えする事に─。
すると…体がもう大丈夫ならば、共に神殿に来て欲しいと仰った。
そして神殿を訪ねれば…私を見た神官長が、歓喜の声を気た。
「あなたは聖女の力に目覚めて居る…!そしてその夢は、ただの夢では無くご神託です。神があなたを憐み、あの二人に罰を与え…そして今の状況を教えて下さったのです。」
私が聖女…?
驚く私に…聖女の役目を果たさず、人の恋人を奪い逃げる者はもう聖女ではない…そして彼女の代わりとなる者として、この地で一番信心深い私が選ばれたのだと神官長は説明して下った。
「聖女としての力を失ったから、病に罹るし治せもしない。そして、山賊に襲われる不運に襲われたんだ。そして授かった加護と言うのも、もう効果が無いのだろう。それで、その二人は今何処に?」
騎士団長に尋ねられ…私は、二人が居た場所を事細かに伝えた。
そのおかげで、逃げて居た二人は騎士団に捕らえられ…数日後、この地に戻って来た。
すると…次の聖女になった私を見て、恋人だった彼はこう言って来た。
「俺はこの女に騙されただけだ!聖女の私を選んだ方がもっと幸せになれると言うから、つい─。でも、今はもうこの女を愛して居ない!お前しか好きじゃないから─!」
しかしそれを聞いた聖女は激怒し、こう反論した。
「確かに最初に声を開けたのは私だけれど、そんな私に惚れ込み駆け落ちし様と言ったのはあなたじゃない!嘘を付くんじゃないわよ!?」
そして、またもや醜い言い争いを始めた二人に…私はもうそんな姿は見たくないと止めた。
「いずれにせよ、あなた達が愚かな行いをした事は事実です。しかしそんなあなた達に、その罪を償うチャンスが与えられました。今、この地は守護神様のお怒りで日照りが続いて居ます。それもこれも、あなた達が巡礼旅をきちんと終えなかったからです。ですが…あなた達を生贄に捧げるなら、雨を降らせると守護神が仰ってくれました。」
私の言葉に、二人の表情が途端に真っ青になった。
「い、生贄って、そんな─!」
「俺はお前とやり直すから、生贄になるのはこの女だけで良いだろう!?」
「誰があなたとやり直すと言いました?と言うか…あなた達は駆け落ちする程、惹かれ合って居たんでしょう?その行先が、死の世界になるだけの事。むしろ、あなた達が生贄になる事でこの地の人々が救われるのだから…名誉な事と思って下さい。」
「い、嫌~!」
「そ、そんな…!」
二人はその場に崩れ落ち号泣したが…私は聖女としての初仕事の準備に取り掛かる為、その場を後にした─。
その後、二人は干上がった沼の中に埋められる事に─。
その直後、私が祈りを捧げれば…この地に久しぶりの雨が降り、私は無事に務めを果たす事が出来た。
そしてそれにより、私は正式にこの地の聖女として生きて行く事となった。
そんな私の護衛を買って出て下さったのは…あの騎士団長だった。
実は彼は…以前から私に、特別な想いを抱いて居たそうだ。
あの時見舞ってくれたのは、騎士団長としての務めだけでなく…一人の男として私を支えたいと言う想いがあったからだと言う。
そんな彼は、私をとても大事にしてくれ…私は次第に、彼に惹かれる様に─。
そして恋人に裏切られた傷も癒えてきた私は、彼の気持ちに応えたのだった。
その後、私達は婚約し…彼は私を聖女としてだけでなく、婚約者としても守り愛してくれて…私は、とても幸せな日々を送って居るわ─。
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