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悲劇のヒロイン気取りの義妹にうんざりな私…聖女としても嫌われたので、この地を去ります。
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私には、義妹一人が居るが…彼女は病弱な娘だった。
だから私はそんな彼女を助けたくて毎日神殿に通い、この地の守護神様に祈りを捧げた。
するとそのおかげか、私は聖女の力に目覚める事が出来た。
私は、これで義妹の身体を治してあげられると喜んだのだが…それは、大きな間違いだったらしい─。
と言うのも、私が聖女になった事に義妹は激しく嫉妬した。
そして、私にこんな事を言うようになった。
「私だって体が元気なら毎日神殿に行けたわ!そしたら、私も聖女の力に目覚めてたかも知れないのに!お姉様は、それが出来ない私を本当は嘲笑って居るのよ!私をどうしようもない妹だって─!」
そう涙する義妹を、継母や父は必死に慰め…そして、義妹を悲しませるなと私が聖女になった事を責めた。
そして更に義妹は、私が婚約者を作った事も非難した。
「私だって、体が丈夫で聖女になって居たら…そしたら、お姉様みたいに素敵な婚約者を迎える事が出来たのに─。私に無いものを二つも持って居るなんて、お姉様はズルいわ!私が大事なら、どちらか一つくらい譲ってくれたっていいのに─!」
すると、それを見ていた婚約者は…泣きじゃくる妹に心奪われたのか、私と婚約破棄すると言って来たのだ。
「だって、彼女が余りに可哀相で不憫でならないよ。逆にお前は、彼女のこの泣き顔を見て何とも思わないのか?お前、聖女の癖に冷たいんだな。」
そして領主のご子息でもある彼が、この話を周りの皆に広めてしまうと…私は妹を嘲笑う冷たい聖女として、悪い意味で有名になってしまった。
するとそのせいで今まで聖女様と慕ってくれていた人達も、すっかり私を嫌ってしまい…私の周りには、誰も寄り付かなくなった。
そしてそれを知った義妹は、私を見て意地悪そうにこう言った。
「こんな事になるなら、お姉様は聖女の力などに目覚めない方が良かったですね。今のこの状況は…お姉様でなく私の方が聖女様になった方が良いと、守護神様がお考えだからじゃないですか?ねぇお姉様…いっそ聖女など今すぐ辞めて、その力を私に譲って下さいな。」
…義妹に聖女の資質があるなど、私はとても思えないわ。
それにこんな事になったのは、あなたがすぐに悲劇のヒロインぶって泣くから…そのせいで、皆が私を冷たい女だと思って─。
皆から嫌われても、義妹やこの地の為に祈り続けてきた私。
でも、もうそれも疲れたわ。
聖女の力をこの子に譲るくらいなら…私はもう、この地を去ろう─。
こうして私があの地を去って半年程した頃…私の元に、ある報せが届いた。
何と、義妹があの地の守護神様の怒りを鎮める為の生贄に捧げられたらしい。
更に私を捨てた元婚約者は、次期領主の座から外され、あの地を追い出されてしまったそうだ。
と言うのも、私が去ってからあの地は荒れに荒れ…そしてそれは、私に優しくしなかったあの地の者達に、守護神様が怒ったからだった。
私があの地を去る時、あの地の者達には罰を与えると守護神様は仰って居たけれど…それが現実のものになるとは─。
するとその話を横で聞いていた彼は、こう言った。
「聖女を嫌う様な者に、守護神から加護が与えられないのは当然の事…。そして、罰を受けるのも仕方ない事だ。君が気に病む事は何も無い。」
そんな彼は…あの地を出た後、守護神様の導きによって辿り着いた地の領主様のご子息だった。
彼はとても信心深い人で…この領地の守護神様に、私を迎えろとご神託を受けていたらしい。
そしてすぐに私を保護して下さり、彼の家に住まわせてくれたのだった。
「君は、この地の守護神にもすっかり気に入られ、この地の聖女になったんだ。そしてこの地の者達は、君を敬い大事にして居る。あの地に居たような辛い思いは、絶対にさせない。」
彼の言う通り、この地の者達は皆私を温かく迎えてくれた。
だから私は、ここでなら自身の聖女の力を十分に発揮し生きていけると思えたのだ。
「私…この地に来る事が出来て、本当に良かったわ。そして、あなたに出会えた事は何より幸せです─。」
私と彼は、近く婚約する事になって居る。
神達が仰るには、私と彼は出会うべくして出会った…まさに、運命の相手だったらしい。
義妹の言葉に、聖女になった事を何度か後悔した事もあったけれど…でも今はこの地に来て彼と出会えた事で、聖女になれて本当に良かったと思えるわ─。
だから私はそんな彼女を助けたくて毎日神殿に通い、この地の守護神様に祈りを捧げた。
するとそのおかげか、私は聖女の力に目覚める事が出来た。
私は、これで義妹の身体を治してあげられると喜んだのだが…それは、大きな間違いだったらしい─。
と言うのも、私が聖女になった事に義妹は激しく嫉妬した。
そして、私にこんな事を言うようになった。
「私だって体が元気なら毎日神殿に行けたわ!そしたら、私も聖女の力に目覚めてたかも知れないのに!お姉様は、それが出来ない私を本当は嘲笑って居るのよ!私をどうしようもない妹だって─!」
そう涙する義妹を、継母や父は必死に慰め…そして、義妹を悲しませるなと私が聖女になった事を責めた。
そして更に義妹は、私が婚約者を作った事も非難した。
「私だって、体が丈夫で聖女になって居たら…そしたら、お姉様みたいに素敵な婚約者を迎える事が出来たのに─。私に無いものを二つも持って居るなんて、お姉様はズルいわ!私が大事なら、どちらか一つくらい譲ってくれたっていいのに─!」
すると、それを見ていた婚約者は…泣きじゃくる妹に心奪われたのか、私と婚約破棄すると言って来たのだ。
「だって、彼女が余りに可哀相で不憫でならないよ。逆にお前は、彼女のこの泣き顔を見て何とも思わないのか?お前、聖女の癖に冷たいんだな。」
そして領主のご子息でもある彼が、この話を周りの皆に広めてしまうと…私は妹を嘲笑う冷たい聖女として、悪い意味で有名になってしまった。
するとそのせいで今まで聖女様と慕ってくれていた人達も、すっかり私を嫌ってしまい…私の周りには、誰も寄り付かなくなった。
そしてそれを知った義妹は、私を見て意地悪そうにこう言った。
「こんな事になるなら、お姉様は聖女の力などに目覚めない方が良かったですね。今のこの状況は…お姉様でなく私の方が聖女様になった方が良いと、守護神様がお考えだからじゃないですか?ねぇお姉様…いっそ聖女など今すぐ辞めて、その力を私に譲って下さいな。」
…義妹に聖女の資質があるなど、私はとても思えないわ。
それにこんな事になったのは、あなたがすぐに悲劇のヒロインぶって泣くから…そのせいで、皆が私を冷たい女だと思って─。
皆から嫌われても、義妹やこの地の為に祈り続けてきた私。
でも、もうそれも疲れたわ。
聖女の力をこの子に譲るくらいなら…私はもう、この地を去ろう─。
こうして私があの地を去って半年程した頃…私の元に、ある報せが届いた。
何と、義妹があの地の守護神様の怒りを鎮める為の生贄に捧げられたらしい。
更に私を捨てた元婚約者は、次期領主の座から外され、あの地を追い出されてしまったそうだ。
と言うのも、私が去ってからあの地は荒れに荒れ…そしてそれは、私に優しくしなかったあの地の者達に、守護神様が怒ったからだった。
私があの地を去る時、あの地の者達には罰を与えると守護神様は仰って居たけれど…それが現実のものになるとは─。
するとその話を横で聞いていた彼は、こう言った。
「聖女を嫌う様な者に、守護神から加護が与えられないのは当然の事…。そして、罰を受けるのも仕方ない事だ。君が気に病む事は何も無い。」
そんな彼は…あの地を出た後、守護神様の導きによって辿り着いた地の領主様のご子息だった。
彼はとても信心深い人で…この領地の守護神様に、私を迎えろとご神託を受けていたらしい。
そしてすぐに私を保護して下さり、彼の家に住まわせてくれたのだった。
「君は、この地の守護神にもすっかり気に入られ、この地の聖女になったんだ。そしてこの地の者達は、君を敬い大事にして居る。あの地に居たような辛い思いは、絶対にさせない。」
彼の言う通り、この地の者達は皆私を温かく迎えてくれた。
だから私は、ここでなら自身の聖女の力を十分に発揮し生きていけると思えたのだ。
「私…この地に来る事が出来て、本当に良かったわ。そして、あなたに出会えた事は何より幸せです─。」
私と彼は、近く婚約する事になって居る。
神達が仰るには、私と彼は出会うべくして出会った…まさに、運命の相手だったらしい。
義妹の言葉に、聖女になった事を何度か後悔した事もあったけれど…でも今はこの地に来て彼と出会えた事で、聖女になれて本当に良かったと思えるわ─。
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