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役立たずのお飾り妃と王の愛人に馬鹿にされたので、彼女に役目を譲り消えます。
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私は非常に魔力が強かった事から、王の妃に選ばれた。
と言うのも、この国では家柄や容姿よりも、魔力の強さが重要視されるからだ。
私はこれを大変名誉な事と思い、一生王に尽くして行こうと思った。
しかし王は私が妃となる事に、大いに不満だったらしい。
何故なら、王は魔力も大事だが容姿が何より大事と言うこの国の人間にしては、少し変わった考え方をして居たからだ。
『どうせなら、魔力も強く顔も美人な女が良かった。ちゃんと探せばもっと他に良い女が居たはずだ!』
そう家臣を責める王を見て、私は思わずここに来た事を後悔してしまった。
が、それから少しして…この城に旅の踊り子達が招待された。
すると王はその中でも一番美人な踊り子に目を付け、彼女を城に引き止め自身の傍に置く様になった。
それは踊り子としてでなく…愛人として可愛がる為だ─。
そしてその頃からだ。
私が妃としての役目を上手く果たせなくなったのは─。
私には、自身の魔力をこの城の水晶玉に送る役目があった。
そうする事で私の魔力が変換され、この城を守る結界になるのだ。
でもここ最近は何故かちっとも水晶玉に魔力が溜まらず、これでは変換する事も出来ない。
そんな私に、王は何をやって居るのだと怒って来るし…家臣達も責める様な目で私を見てくる。
だが何より私が一番嫌だったのは、王の愛人となった踊り子の女が私を馬鹿にして来る事だった。
『あなたは、役立たずのお飾り妃ね。そんな妃、もうここに居る必要は無いんじゃない?』
そんな事を毎日嫌味の様に言われ、私はある日とうとう我慢が出来ずこう言った。
「なら、あなたに妃の座とその役目を譲るわ。あなたなら王に気に入られてるし…きっと大丈夫ね!」
彼女は何か言って居たが、私はそれを無視し城を飛び出すのだった─。
そんな私は、もう魔力に自分の人生を振り回されるのは嫌だと思い切ってこの国から隣国へ渡る事に─。
あちらは魔力を持たない者が多く…でもその分、皆が賢く技術も発達して居る。
実は、私は魔力もだが学問にも秀でて居たので…この隣国で上手くやって行けるのではと思ったのだ。
ところがそれから一ヶ月程経った頃、あの国のお城が盗賊に襲われ王とその愛人が命を落としたと言う噂が飛び込んで来た。
「お城には結界があるから、人の命を奪う程の悪人は入って来れないのに─。」
「それが…お妃様が去ってから、城には結界が張られて居なかったらしい。」
そう話すのは、隣国のある地で領主を務めて居る彼だった。
彼は旅人としてこの地を偶然訪れた私を気に入り…、のまま自身の傍に置いてくれたのだ。
そして、賢く品がある君を是非俺の妻にしたいと私に求婚してくれ…私は今までの身分を隠し、彼の妻になる事を決めたのだった─。
「お妃様から役目を引き継いだ愛人は、城に結界を張れる程の魔力を持って居なかったそうだ。そもそもあの女はある術を用いお妃様から魔力を奪うと、それを自分の魔力に変換して居たんだ。お妃様が役目を果たせなくなったのは自分のせいだと、王様から責められ白状したそうだ。だが時すでに遅く、その後すぐ城は盗賊に襲われ二人は─。」
「…何だ、そう言う事だったの。」
「え?」
「いえ、気にしないで下さい。まぁ、王様には弟君が居ますし…何とかなりますよ。でも盗賊だなんて、物騒な世の中ね。」
「何、君の事は俺がしっかり守るから大丈夫だ。俺には魔力と…それを上回る剣の腕もある。それにこの家にはあちこに罠が仕掛けてあるから、悪い奴らは侵入出来ないよ。」
そう言って抱きしめてくれる彼に…私はうっとりとした表情で、その身を預けた。
こんなに頼もしく優しい人に出会える何て、思い切って妃の座と役目を捨てて良かったわ。
でもまさかそれを譲った女が諸悪の根源で、そのせいで王までもが命を落とすとは思わなかったけれど…まぁ、私を大事にしなかった報いという事にでもしておきましょうか─。
と言うのも、この国では家柄や容姿よりも、魔力の強さが重要視されるからだ。
私はこれを大変名誉な事と思い、一生王に尽くして行こうと思った。
しかし王は私が妃となる事に、大いに不満だったらしい。
何故なら、王は魔力も大事だが容姿が何より大事と言うこの国の人間にしては、少し変わった考え方をして居たからだ。
『どうせなら、魔力も強く顔も美人な女が良かった。ちゃんと探せばもっと他に良い女が居たはずだ!』
そう家臣を責める王を見て、私は思わずここに来た事を後悔してしまった。
が、それから少しして…この城に旅の踊り子達が招待された。
すると王はその中でも一番美人な踊り子に目を付け、彼女を城に引き止め自身の傍に置く様になった。
それは踊り子としてでなく…愛人として可愛がる為だ─。
そしてその頃からだ。
私が妃としての役目を上手く果たせなくなったのは─。
私には、自身の魔力をこの城の水晶玉に送る役目があった。
そうする事で私の魔力が変換され、この城を守る結界になるのだ。
でもここ最近は何故かちっとも水晶玉に魔力が溜まらず、これでは変換する事も出来ない。
そんな私に、王は何をやって居るのだと怒って来るし…家臣達も責める様な目で私を見てくる。
だが何より私が一番嫌だったのは、王の愛人となった踊り子の女が私を馬鹿にして来る事だった。
『あなたは、役立たずのお飾り妃ね。そんな妃、もうここに居る必要は無いんじゃない?』
そんな事を毎日嫌味の様に言われ、私はある日とうとう我慢が出来ずこう言った。
「なら、あなたに妃の座とその役目を譲るわ。あなたなら王に気に入られてるし…きっと大丈夫ね!」
彼女は何か言って居たが、私はそれを無視し城を飛び出すのだった─。
そんな私は、もう魔力に自分の人生を振り回されるのは嫌だと思い切ってこの国から隣国へ渡る事に─。
あちらは魔力を持たない者が多く…でもその分、皆が賢く技術も発達して居る。
実は、私は魔力もだが学問にも秀でて居たので…この隣国で上手くやって行けるのではと思ったのだ。
ところがそれから一ヶ月程経った頃、あの国のお城が盗賊に襲われ王とその愛人が命を落としたと言う噂が飛び込んで来た。
「お城には結界があるから、人の命を奪う程の悪人は入って来れないのに─。」
「それが…お妃様が去ってから、城には結界が張られて居なかったらしい。」
そう話すのは、隣国のある地で領主を務めて居る彼だった。
彼は旅人としてこの地を偶然訪れた私を気に入り…、のまま自身の傍に置いてくれたのだ。
そして、賢く品がある君を是非俺の妻にしたいと私に求婚してくれ…私は今までの身分を隠し、彼の妻になる事を決めたのだった─。
「お妃様から役目を引き継いだ愛人は、城に結界を張れる程の魔力を持って居なかったそうだ。そもそもあの女はある術を用いお妃様から魔力を奪うと、それを自分の魔力に変換して居たんだ。お妃様が役目を果たせなくなったのは自分のせいだと、王様から責められ白状したそうだ。だが時すでに遅く、その後すぐ城は盗賊に襲われ二人は─。」
「…何だ、そう言う事だったの。」
「え?」
「いえ、気にしないで下さい。まぁ、王様には弟君が居ますし…何とかなりますよ。でも盗賊だなんて、物騒な世の中ね。」
「何、君の事は俺がしっかり守るから大丈夫だ。俺には魔力と…それを上回る剣の腕もある。それにこの家にはあちこに罠が仕掛けてあるから、悪い奴らは侵入出来ないよ。」
そう言って抱きしめてくれる彼に…私はうっとりとした表情で、その身を預けた。
こんなに頼もしく優しい人に出会える何て、思い切って妃の座と役目を捨てて良かったわ。
でもまさかそれを譲った女が諸悪の根源で、そのせいで王までもが命を落とすとは思わなかったけれど…まぁ、私を大事にしなかった報いという事にでもしておきましょうか─。
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