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 半年と言う長く楽しい旅行を終え、俺とエリザベートは幸せ一杯で新しい家に向かった。


 
 大勢の職人を雇い、倍の速さで完成させるように命じておいたから……きっと今頃は、さぞや立派な家が建って居るだろうな──。

 そう思い、新居の前に馬車を付けたが……馬車を降りた俺とエリザベートは、驚きで言葉を失った。


 
 と言うのも、完成されて居るはずの新居は半分までしか出来て居らず……残りの土地には草木が生い茂り、放置されてかなり時が経って居る事は明らかだった。



「ど、どういう事!?これじゃあ、住めないじゃないのよ!」

「い、いい加減な仕事をしやがって!一言文句を言ってやらねば!」



 そう言って、俺は職人達の元を訪ねたが……屋敷の建設中止を依頼された、そもそも建設資金が出なくなったのだから、途中迄しか作れないのは仕方ないと言われ追い返されてしまった。



『あなたの婚約者が、お父様の遺産の半分は自分に与えられた物だからこんな物の為に使えないと建設の中止を訴えて来たんですよ。それに、残りの土地の半分をあるお金持ちが買い取ると迄言って来ましてね……。私達も、そこと揉めるのは何かと面倒なので──。と言う訳で私達はこの件にもう関わりたくないので、後はご自身でどうにかして下さい。』



 などと、どいつもこいつも同じような事を言って居たが……マリアージュめ、大人しく別荘で過ごして居ればいいものを何を急にしゃしゃり出て来たのか。
 
 それに、その土地を買ったと言う金持ちは一体何者なんだ!



 俺とエリザベートは腹を立てつつ、そして訳が分からないまま仕方なく元々暮らして居た屋敷に戻る事にしたが……売却中であるはずの屋敷はその看板が外されており、中には誰かが潜んで居る気配がした。



 まさか、泥棒か浮浪者でも入ったのか──!?



 驚いた俺は、エリザベートと共に慌てて屋敷の中に突入した。



 しかしそこに居たのは、俺に捨てられたはずのマリアージュと……そして、名も知らぬ男二人だった。



***



「マ、マリアージュ……。婚約者の俺が少し留守をしただけで、そんな見知らぬ男達を連れ込むとは……お前、実は本当に浮気をして居たな?それと、俺の父親の遺産が半分自分の物とはどう言う事だ!?」

 そう言って、混乱しながらもアデル様は私を責め立てたが……しかし私は、そんな彼を冷めた目で見つめこう言った。



「私が浮気をして居ない事は、本当はあなたは良くご存じでしょう?あの写真は何者かが……あなたの隣に居るその女、エリザベートが偽造しばら撒いたのです。それにあなたのお父様の遺産が半分私の物と言うのは、遺言書によって確実なものとなって居ます。文句があるなら、後でもう一度よく確認してください。それと、あなたは見知らぬ男達と言いましたが……彼女にとっては、そうではありませんから。ですよね、エリザベート。私はあなたの為に、この方をわざわざ国から呼んだのよ。あなたは、彼に言わなければならない事があるでしょう?」

「マリアージュ、お前は何を言って……。エリザベート?お前、そんな真っ青な顔をしてどうしたんだ?」

「……あ、あなたはあの出来事以降は屋敷に引き籠りになったはずででしょう?なのに、こんなところまで来て──。まさか、あの土地を買ったお金持ちって言うのは──!?」
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