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ジャンは、医者になるべくある名門学園に通って居おり……そこで、志を同じくするある名家のご子息と仲良くなった。
ジャンは、そんな彼の屋敷に何度か招かれ一緒に勉強をするようになったが……その際、当時はそこでメイドとして働いて居たエリザベートに給仕をされたと言う。
だがそんな彼女の目は、何やら値踏みをして来るようなねっとりとした厭らしいもののように見え……ジャンは、無意識のうちに彼女に警戒心を感じて居たと言う。
するとそんな中、そのご子息に恋人が出来て……二人は、学園卒業と同時に結婚する事に──。
だがそれが世間に知れ渡ると同時に、その恋人に覚えのない悪評が立ったと言う。
それは、彼女は婚約者が居るのに沢山の男と関係を持つふしだらな女で……そのせいで病気になり、更にその病気を婚約者であるジャンの友人に移してしまい苦しめて居ると言うものだった。
するとそれはまさに、今回私の身に起きた事と酷使して居り……ジャンの話を聞いた私は、驚きで言葉を失った。
『君の悪評を聞き、俺はすぐにエリザベートの仕業だと思った。あの女は、俺の友人の恋人に対してもそう言った嘘の噂を流し、苦しめて居たのだから──。でもそれが分かったのは、その恋人が心を壊し……そしてその事を思い悩んだ友人が、医者の夢を諦め引き籠りになった後だった。どうもエリザベートは思い込みの激しい女で、メイドでありながら自分が彼の婚約者になれると思って居たが……彼にそう言う相手が出来た事で裏切られたと言う怒りや、愛されたいと言う嫉妬からそんな嘘の噂を流したり、偽の合成写真をばら撒いたらしい。』
『写真って、私も──』
『そうだ、そこも同じだ。君の乱交写真と言うものを俺もこの目で見たが、あれは過去にあの女がばら撒いた物と全く構図が同じだった。だからこそ、エリザベートの仕業だと俺は確信が持てたんだ。それでそのエリザベートは、自分の罪が明らかになると隙を付いて友人の屋敷から逃亡し、それっきりとなってしまった。それがまさか、君の婚約者の元に居て……そしてそんな関係になって居るとは──。』
『……本当に、こんな事ってあるのね。私、アデル様の屋敷に行くわ。ジャン……あなたの話だと、売りに出されて居る真っ最中だと言う屋敷にね。自分の目で見れば、流石に納得が出来るし……そうなれば、覚悟が決まるだろうから──。』
そうして、私はジャンと共にアデル様のお屋敷にやって来たのだけれど……本当にそこは売却中となって居て、そして私の愛するアデル様の姿は無かった。
アデル様が、いつも私の元を訪ねる際に乗って来た馬車は無く……それに乗り上機嫌であの女と旅行に出かけた事は、簡単に想像が出来た。
アデル様……私は、あなたの事を心から愛して居たのよ?
なのにそんな私を裏切り、そのような悪女と一緒になる事を望むとは──。
分かったわ。
あなたがその気なら、私にも考えがあります。
あなたは旅行から帰ったら新しい地で、新しい家でエリザベートと幸せになるつもりだろうけれど……そんな事、絶対に叶えてはあげないんだから──。
ジャンは、そんな彼の屋敷に何度か招かれ一緒に勉強をするようになったが……その際、当時はそこでメイドとして働いて居たエリザベートに給仕をされたと言う。
だがそんな彼女の目は、何やら値踏みをして来るようなねっとりとした厭らしいもののように見え……ジャンは、無意識のうちに彼女に警戒心を感じて居たと言う。
するとそんな中、そのご子息に恋人が出来て……二人は、学園卒業と同時に結婚する事に──。
だがそれが世間に知れ渡ると同時に、その恋人に覚えのない悪評が立ったと言う。
それは、彼女は婚約者が居るのに沢山の男と関係を持つふしだらな女で……そのせいで病気になり、更にその病気を婚約者であるジャンの友人に移してしまい苦しめて居ると言うものだった。
するとそれはまさに、今回私の身に起きた事と酷使して居り……ジャンの話を聞いた私は、驚きで言葉を失った。
『君の悪評を聞き、俺はすぐにエリザベートの仕業だと思った。あの女は、俺の友人の恋人に対してもそう言った嘘の噂を流し、苦しめて居たのだから──。でもそれが分かったのは、その恋人が心を壊し……そしてその事を思い悩んだ友人が、医者の夢を諦め引き籠りになった後だった。どうもエリザベートは思い込みの激しい女で、メイドでありながら自分が彼の婚約者になれると思って居たが……彼にそう言う相手が出来た事で裏切られたと言う怒りや、愛されたいと言う嫉妬からそんな嘘の噂を流したり、偽の合成写真をばら撒いたらしい。』
『写真って、私も──』
『そうだ、そこも同じだ。君の乱交写真と言うものを俺もこの目で見たが、あれは過去にあの女がばら撒いた物と全く構図が同じだった。だからこそ、エリザベートの仕業だと俺は確信が持てたんだ。それでそのエリザベートは、自分の罪が明らかになると隙を付いて友人の屋敷から逃亡し、それっきりとなってしまった。それがまさか、君の婚約者の元に居て……そしてそんな関係になって居るとは──。』
『……本当に、こんな事ってあるのね。私、アデル様の屋敷に行くわ。ジャン……あなたの話だと、売りに出されて居る真っ最中だと言う屋敷にね。自分の目で見れば、流石に納得が出来るし……そうなれば、覚悟が決まるだろうから──。』
そうして、私はジャンと共にアデル様のお屋敷にやって来たのだけれど……本当にそこは売却中となって居て、そして私の愛するアデル様の姿は無かった。
アデル様が、いつも私の元を訪ねる際に乗って来た馬車は無く……それに乗り上機嫌であの女と旅行に出かけた事は、簡単に想像が出来た。
アデル様……私は、あなたの事を心から愛して居たのよ?
なのにそんな私を裏切り、そのような悪女と一緒になる事を望むとは──。
分かったわ。
あなたがその気なら、私にも考えがあります。
あなたは旅行から帰ったら新しい地で、新しい家でエリザベートと幸せになるつもりだろうけれど……そんな事、絶対に叶えてはあげないんだから──。
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