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そして、ジャンと別れたのだけれど……こうして彼が目の前に現れたと言う事は、その夢がちゃんと叶ったと言う事なのね──!
私は、ジャンと再会出来た事……そして、ジャンの夢が叶った事を心から喜ぶのだった。
しかしジャンは……そんな私に、衝撃的な言葉を告げたのだ。
『婚約者のアデル様が、エリザベートと言う悪女と浮気関係にある、ですって──?』
『そうだ。君の婚約者は、事業が忙しいと言って君を訪ねて来ないようだが……本当は、その女と旅行を楽しんで居るからだ。それもただの旅行では無く、婚前旅行と言っても過言ではない。』
『ま、待って頂戴……何が何だか、話が全く分からないわ。エリザベートと言うメイドには、以前アデル様の屋敷を訪ねた際にお茶を出して貰ったけれど……その彼女が、アデル様と関係を持って居る?でもアデル様は、私を心配してこの別荘に住まわせてくれて居るのよ?そんな方が、浮気だ何て──。』
『アデルが君をここに送ったのも、君を心配してと言う理由からではないんだ──。』
そう言ってジャンは、アデル様の本当の気持ちと……そして、エリザベートがいかに卑劣な女であるかを私に語り始めるのだった──。
***
『……まさか、アデル様がそんな酷い事を考えて居たなんて。ジャン……幼馴染のあなたの言葉なら、私は信じたいわ。でも……婚約者のアデル様を信じたいと言う気持ちが残って居るの。いくらあなたのお世話になって居る医師……アデル様の主治医が、彼の命を受け偽の診断書を作り私を騙す事に手を貨したと自白をしたとしても、ね──。』
『あぁ。突然の話だから……そう思うのは仕方ない。』
アデル様に無理矢理従わされた主治医は……それ以降、医者としてやってはいけない事をしてしまったと思い悩んで居たと言う。
結局主治医は、最近になって医者を引退する事を決め……自身の診療所を、研修医の頃から何かと目をかけて居たジャンに任せる事にしたと言う。
そして主治医はその話をジャンにする際、己の罪も告白したのだが……そんな被害に遭った人物が幼馴染で再会を約束して居る私だと知ったジャンは、診療所を引き継ぐ事を了承すると共に……そんな話を持ち掛けたアデル様を怪しみ、その身辺を密かに探る事にしたのだと言う。
するとそれから少しして、コソコソと人目を忍び逢瀬を楽しむアデル様と美しい女をジャンは目にする事になったが……その女の顔を見た瞬間、彼は驚きで声を失ったと言う。
と言うのも……アデル様と一緒に居た女は、かつて医者となるべく共に勉学に励んだ親友の人生を滅茶苦茶にし、行方眩まして居たあの悪女のメイドだったからだ──。
私は、ジャンと再会出来た事……そして、ジャンの夢が叶った事を心から喜ぶのだった。
しかしジャンは……そんな私に、衝撃的な言葉を告げたのだ。
『婚約者のアデル様が、エリザベートと言う悪女と浮気関係にある、ですって──?』
『そうだ。君の婚約者は、事業が忙しいと言って君を訪ねて来ないようだが……本当は、その女と旅行を楽しんで居るからだ。それもただの旅行では無く、婚前旅行と言っても過言ではない。』
『ま、待って頂戴……何が何だか、話が全く分からないわ。エリザベートと言うメイドには、以前アデル様の屋敷を訪ねた際にお茶を出して貰ったけれど……その彼女が、アデル様と関係を持って居る?でもアデル様は、私を心配してこの別荘に住まわせてくれて居るのよ?そんな方が、浮気だ何て──。』
『アデルが君をここに送ったのも、君を心配してと言う理由からではないんだ──。』
そう言ってジャンは、アデル様の本当の気持ちと……そして、エリザベートがいかに卑劣な女であるかを私に語り始めるのだった──。
***
『……まさか、アデル様がそんな酷い事を考えて居たなんて。ジャン……幼馴染のあなたの言葉なら、私は信じたいわ。でも……婚約者のアデル様を信じたいと言う気持ちが残って居るの。いくらあなたのお世話になって居る医師……アデル様の主治医が、彼の命を受け偽の診断書を作り私を騙す事に手を貨したと自白をしたとしても、ね──。』
『あぁ。突然の話だから……そう思うのは仕方ない。』
アデル様に無理矢理従わされた主治医は……それ以降、医者としてやってはいけない事をしてしまったと思い悩んで居たと言う。
結局主治医は、最近になって医者を引退する事を決め……自身の診療所を、研修医の頃から何かと目をかけて居たジャンに任せる事にしたと言う。
そして主治医はその話をジャンにする際、己の罪も告白したのだが……そんな被害に遭った人物が幼馴染で再会を約束して居る私だと知ったジャンは、診療所を引き継ぐ事を了承すると共に……そんな話を持ち掛けたアデル様を怪しみ、その身辺を密かに探る事にしたのだと言う。
するとそれから少しして、コソコソと人目を忍び逢瀬を楽しむアデル様と美しい女をジャンは目にする事になったが……その女の顔を見た瞬間、彼は驚きで声を失ったと言う。
と言うのも……アデル様と一緒に居た女は、かつて医者となるべく共に勉学に励んだ親友の人生を滅茶苦茶にし、行方眩まして居たあの悪女のメイドだったからだ──。
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