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弐
51.追跡者、もはやこれまで?
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目の前には、股間を押さえながら悶絶している男が五人。そして毒酒入りの瓶を目の前にちらつかされて、涙目で正座している女が一人。
「お前ら、俺達の戦闘を見てたんだろ? 自分達でどうにか出来るとでも思ったか? あん?」
地上にいた時から頻繁に絡まれる人生を送っていたコンタ。こういう時のコンタは徹底的に相手の心を折りにかかる。二度とちょっかいをかけてくる気にならないように。
何も、相手を甚振る趣味があったり、極めて攻撃的な性格をしているという訳ではない。むしろ逆である。コンタ本人は平穏に過ごせればそれに越したことはないとすら思っている。ただ、それを害そうとするものにはとことん付き合ってやるのだが。
「コンタ。違いますよ。正面から挑んでもどうにもならない。そう思ったからこそ、毒などという姑息な手を用いてきたのでしょう」
「おお。なるほど」
マーリの推察に、コンタはいたく納得する。手のひらに拳をポンと乗せるベタなアクション付きで。
「コンタ、バカ。ふっ……」
「やかましい!」
「あぅっ!」
小馬鹿にしたように笑う杏子の脳天に、コンタが軽くチョップを落とす。
「お前ら、なんで俺達に付きまとう? 他にも仲間いっぱい引き連れてよ?」
「――!?」
大げさに痛がる素振りをする杏子を放置し、正座している女に対し尋問するコンタだが、自分達に他にも仲間がいることを看破されて女は驚愕する。
「そうだな。あと四チームに分かれてるよな。遺跡の外に一チーム、中に入ってるのが三チームだ」
構成と位置情報までも的確に把握しているらしいコンタの言葉に、女は青ざめ、冷たい汗が背中を伝う。
「俺達が的確に敵を発見して、先手必勝でやってたのも見てたんだろ? 魔物の存在はバレてんのに、自分達はバレてねえとでも思ってたか? あん? この瓶、一気飲みさせんぞコラ」
そう言いながらコンタは女の目の前で瓶をゆらゆらと揺らす。
「早く言わないと、男たちの、もげる」
さらに杏子の追撃の一言。悶絶していた男達が泣いた。本気で泣いた。
「つ、つめてえ……もう勘弁してくれ」
「お、俺はまだ童て――」
「もう、吐いちまおうぜ」
「馬鹿野郎! 吐いたら俺達殺されるぞ!
「そんなの嫌だ! 俺はまだ童て――」
一部どうでもいい発言もあったが、男達の心はほとんど折れている。
「なるほど。吐いたら殺されるのか。どうせなら、今ここで殺してやろう。別に貴様達以外にも仲間はいるようだしな。そいつらを絞り上げて聞き出せばいい」
全く冗談が通じなそうな、お堅い女騎士といった姿のデイジーが女に剣を突き付けた。
目の前の切っ先を見てゴクリと生唾を飲み込む女。
「ま、待っておくれよ! 話す! 話すから! 命だけは……」
正座している女が涙を流しながら命乞いをする。それを見ていたトーマスが、心底呆れた顔をして呟いた。
「俺達が命乞いしたら、お前らは見逃してくれたのか?」
「そ、それは……」
女はそれ以上言葉を繋ぐことが出来なかった。何しろ致死性の毒を混入させた酒で殺そうとしたのだ。明らかな物証を前にどんな言い逃れができるというのか。
「まあ、話さずにここで俺達に殺されるか、素直に話して運よく生き延びるか選ばせてやる。それから、お前らの仲間をここに集めろ。一人残さずだ」
「ん。それが一番手っ取り早い。仲間と繋ぎを取る方法くらいあるはず」
コンタの言葉を受けて、杏子も同意する。一網打尽というやつだ。
遺跡強盗にしてみれば、二択とは名ばかりの、実質一択だ。それも、前門の虎、後門の狼。今この場を生き延びるために、コンタ達の要求を呑む以外に選択肢はなかった。
「お前ら、俺達の戦闘を見てたんだろ? 自分達でどうにか出来るとでも思ったか? あん?」
地上にいた時から頻繁に絡まれる人生を送っていたコンタ。こういう時のコンタは徹底的に相手の心を折りにかかる。二度とちょっかいをかけてくる気にならないように。
何も、相手を甚振る趣味があったり、極めて攻撃的な性格をしているという訳ではない。むしろ逆である。コンタ本人は平穏に過ごせればそれに越したことはないとすら思っている。ただ、それを害そうとするものにはとことん付き合ってやるのだが。
「コンタ。違いますよ。正面から挑んでもどうにもならない。そう思ったからこそ、毒などという姑息な手を用いてきたのでしょう」
「おお。なるほど」
マーリの推察に、コンタはいたく納得する。手のひらに拳をポンと乗せるベタなアクション付きで。
「コンタ、バカ。ふっ……」
「やかましい!」
「あぅっ!」
小馬鹿にしたように笑う杏子の脳天に、コンタが軽くチョップを落とす。
「お前ら、なんで俺達に付きまとう? 他にも仲間いっぱい引き連れてよ?」
「――!?」
大げさに痛がる素振りをする杏子を放置し、正座している女に対し尋問するコンタだが、自分達に他にも仲間がいることを看破されて女は驚愕する。
「そうだな。あと四チームに分かれてるよな。遺跡の外に一チーム、中に入ってるのが三チームだ」
構成と位置情報までも的確に把握しているらしいコンタの言葉に、女は青ざめ、冷たい汗が背中を伝う。
「俺達が的確に敵を発見して、先手必勝でやってたのも見てたんだろ? 魔物の存在はバレてんのに、自分達はバレてねえとでも思ってたか? あん? この瓶、一気飲みさせんぞコラ」
そう言いながらコンタは女の目の前で瓶をゆらゆらと揺らす。
「早く言わないと、男たちの、もげる」
さらに杏子の追撃の一言。悶絶していた男達が泣いた。本気で泣いた。
「つ、つめてえ……もう勘弁してくれ」
「お、俺はまだ童て――」
「もう、吐いちまおうぜ」
「馬鹿野郎! 吐いたら俺達殺されるぞ!
「そんなの嫌だ! 俺はまだ童て――」
一部どうでもいい発言もあったが、男達の心はほとんど折れている。
「なるほど。吐いたら殺されるのか。どうせなら、今ここで殺してやろう。別に貴様達以外にも仲間はいるようだしな。そいつらを絞り上げて聞き出せばいい」
全く冗談が通じなそうな、お堅い女騎士といった姿のデイジーが女に剣を突き付けた。
目の前の切っ先を見てゴクリと生唾を飲み込む女。
「ま、待っておくれよ! 話す! 話すから! 命だけは……」
正座している女が涙を流しながら命乞いをする。それを見ていたトーマスが、心底呆れた顔をして呟いた。
「俺達が命乞いしたら、お前らは見逃してくれたのか?」
「そ、それは……」
女はそれ以上言葉を繋ぐことが出来なかった。何しろ致死性の毒を混入させた酒で殺そうとしたのだ。明らかな物証を前にどんな言い逃れができるというのか。
「まあ、話さずにここで俺達に殺されるか、素直に話して運よく生き延びるか選ばせてやる。それから、お前らの仲間をここに集めろ。一人残さずだ」
「ん。それが一番手っ取り早い。仲間と繋ぎを取る方法くらいあるはず」
コンタの言葉を受けて、杏子も同意する。一網打尽というやつだ。
遺跡強盗にしてみれば、二択とは名ばかりの、実質一択だ。それも、前門の虎、後門の狼。今この場を生き延びるために、コンタ達の要求を呑む以外に選択肢はなかった。
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