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大陸の闇編
神王にオシオキ
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結構な長身でしなやかな筋肉で覆われているであろう事を伺わせる薄手のシャツ。そしてカーゴパンツに革のロングブーツ。
「へえ、結構イケメンだね」
ライムの言う通りかなりのイケメンの部類に入ると思う。濃い焦げ茶の髪は短めに整えられており顔は細長く眼窩は窪んで彫りが深い。肌は浅黒く精悍なイメージを醸し出す。
「ラテン系ヨーロッパ人みたいだな」
「そうだよね。スペインとかイタリアとか、地中海沿岸の人っぽいかな」
こっちの世界じゃあんまり見ない人種だ。ブロンドの白人や俺達のようなモンゴロイド系、そしてその混血はよく見るが。
「ねえ、あの肩に担いだ武器って…」
ライムも気が付いたか。さっきの大火力の攻撃はアレが放ったものだろう。奴の担いだそれはかなり未来的なデザインだったが俺にはバズーカとかパンツァーファウストのような砲撃用の武器に見える。
「ビームランチャーみたいだね!F9〇の!」
劇場版オンリーの作品の中にちょろっと出ただけの武器なのに…まあ確かによく似てる。
「ひょっとして転移者かもな」
「う~ん…私もそう思うよ」
ちょっとカマかけてみるか。
「お前、西暦何年のどこから来た?」
俺の言葉に奴はピクリと眉を動かす。
「てめえら…何者だ?」
もう図星って反応が笑いを誘うがぐっと堪える。こいつ、沸点低そうだからな。
「おいおい、質問してるのはこっちだろうが?黙って質問に答えろよ」
神王は無言で左足のホルスターから銃のような物を抜き警告もせずに俺に向けて発砲した。やっぱり沸点低かった。
「かずとっ!?」
奴は寸分の狂いなく俺の眉間を狙ってきやがった。なんていうか、コイツ本職だな。決断から行動まで、まるで躊躇がない。とっさの事でシルトが反応するが大事ない。心配すんな。
「へっへ。嬢ちゃん、心配いらねえよ。あんたらみんな上玉だ。まとめて俺が可愛がってやるからよぉ?」
なんだコイツ?俺を仕留めたと思ってんのか?俺はここにこうして立ってるんだが?そもそも奴が撃ったのは魔力を収束させた『魔力ビーム』みたいなもんだ。常に全身を魔力障壁で防御している俺にそんなモン通用するか。それはさておき、いい女を見ると判断力が無くなってしまうのか、俺を無視してライムを口説きに掛かった奴はニヤケた面でライムに近づいて行く。ライムはスラリと白猫を抜いた。
「おいおい嬢ちゃん。そんなモン抜いてどうすんだぁ?チャンバラごっこじゃこのビームガンには勝てn…」
ライムは神王に全てを言わせず縮地で間合いを詰めて白猫を一閃。ポトリとビームガンの銃身を切り落とした。てか、ビームガン?レーザーとか粒子ビームとか、そういうのじゃなくてただの魔力を撃ち出しただけだったけど?
「……な!?」
「悪いけど私より弱い男に興味はないの。ホントはここであんたを切り捨てたいとこなんだけど……」
予想外の出来事に呆気に取られている神王の目の前でライムは白猫を鞘に納める。
「あんたを地獄に落とすのは愛しのダーリンの役目なの。ま、せいぜい足掻いてみせて?」
「なんだと!?」
ライムの言葉に驚いたのか神王がこっちを向いた。お返しはしないとな。
〈ビシッ!〉
中指をビンっと弾いて指弾を飛ばす。威力はミニマムだ。
「ぐあっ!」
見事に眉間にヒットして盛大に転がっていく神王。大げさだな。ただの空気の塊だろうが。
『いえ。ご主人様のあれは死ぬほど痛いです』
サンタナがとても嫌そうに語りかけて来た。そうか。精霊王でもそんなに痛いか。
「あー、ライム。済まなかったな。まさかこっちの確認もしないでライムのとこ行くとは思わなかった」
「うん。私もびっくりだよー。まさか攻撃した相手の様子も確認しないなんて」
まあ、ボーラの所に届いた宣戦布告の書状の内容を見てもコイツがバカなのは予想出来たんだよな。それから、何処から来たのか何となく予想はついた。なんつーか、俺達から見れば度を越した女好き、それに殺す時の容赦の無さ。
「おいお前」
額に指弾を受けてひっくり返っている神王へ声を掛ける。
「お前、シシリアンマフィアの鉄砲玉かなんかだろ?」
「ぐ…てめえ…不意打ち決まったくれえでいい気になってんじゃねえぞコラァ!!」
神王は体のバネを使って飛び起きるとナイフを持って襲い掛かって来た。ホント人の話を聞かねえ奴だな。
「……へえ?思ったよりやるんだな」
これは正直な感想だ。身体能力は高い。時折魔法も絡めて来る戦闘センスも悪くはない。先鋒の艦隊司令が言っていた『強い』っていうのも与太話じゃなかったみたいだ。曲がりなりにも大陸を短期間で制覇したのは伊達じゃないって事か。
「ただ、普通の人間にしては、だけどな」
突き出されたナイフを左手で粉々に握り潰して右拳で横っ面をぶん殴る。
「ガハッ……」
お?倒れないで踏ん張ったか。よしよし、そうでなくちゃな。お仕置きタイムはこれからだ。
「へえ、結構イケメンだね」
ライムの言う通りかなりのイケメンの部類に入ると思う。濃い焦げ茶の髪は短めに整えられており顔は細長く眼窩は窪んで彫りが深い。肌は浅黒く精悍なイメージを醸し出す。
「ラテン系ヨーロッパ人みたいだな」
「そうだよね。スペインとかイタリアとか、地中海沿岸の人っぽいかな」
こっちの世界じゃあんまり見ない人種だ。ブロンドの白人や俺達のようなモンゴロイド系、そしてその混血はよく見るが。
「ねえ、あの肩に担いだ武器って…」
ライムも気が付いたか。さっきの大火力の攻撃はアレが放ったものだろう。奴の担いだそれはかなり未来的なデザインだったが俺にはバズーカとかパンツァーファウストのような砲撃用の武器に見える。
「ビームランチャーみたいだね!F9〇の!」
劇場版オンリーの作品の中にちょろっと出ただけの武器なのに…まあ確かによく似てる。
「ひょっとして転移者かもな」
「う~ん…私もそう思うよ」
ちょっとカマかけてみるか。
「お前、西暦何年のどこから来た?」
俺の言葉に奴はピクリと眉を動かす。
「てめえら…何者だ?」
もう図星って反応が笑いを誘うがぐっと堪える。こいつ、沸点低そうだからな。
「おいおい、質問してるのはこっちだろうが?黙って質問に答えろよ」
神王は無言で左足のホルスターから銃のような物を抜き警告もせずに俺に向けて発砲した。やっぱり沸点低かった。
「かずとっ!?」
奴は寸分の狂いなく俺の眉間を狙ってきやがった。なんていうか、コイツ本職だな。決断から行動まで、まるで躊躇がない。とっさの事でシルトが反応するが大事ない。心配すんな。
「へっへ。嬢ちゃん、心配いらねえよ。あんたらみんな上玉だ。まとめて俺が可愛がってやるからよぉ?」
なんだコイツ?俺を仕留めたと思ってんのか?俺はここにこうして立ってるんだが?そもそも奴が撃ったのは魔力を収束させた『魔力ビーム』みたいなもんだ。常に全身を魔力障壁で防御している俺にそんなモン通用するか。それはさておき、いい女を見ると判断力が無くなってしまうのか、俺を無視してライムを口説きに掛かった奴はニヤケた面でライムに近づいて行く。ライムはスラリと白猫を抜いた。
「おいおい嬢ちゃん。そんなモン抜いてどうすんだぁ?チャンバラごっこじゃこのビームガンには勝てn…」
ライムは神王に全てを言わせず縮地で間合いを詰めて白猫を一閃。ポトリとビームガンの銃身を切り落とした。てか、ビームガン?レーザーとか粒子ビームとか、そういうのじゃなくてただの魔力を撃ち出しただけだったけど?
「……な!?」
「悪いけど私より弱い男に興味はないの。ホントはここであんたを切り捨てたいとこなんだけど……」
予想外の出来事に呆気に取られている神王の目の前でライムは白猫を鞘に納める。
「あんたを地獄に落とすのは愛しのダーリンの役目なの。ま、せいぜい足掻いてみせて?」
「なんだと!?」
ライムの言葉に驚いたのか神王がこっちを向いた。お返しはしないとな。
〈ビシッ!〉
中指をビンっと弾いて指弾を飛ばす。威力はミニマムだ。
「ぐあっ!」
見事に眉間にヒットして盛大に転がっていく神王。大げさだな。ただの空気の塊だろうが。
『いえ。ご主人様のあれは死ぬほど痛いです』
サンタナがとても嫌そうに語りかけて来た。そうか。精霊王でもそんなに痛いか。
「あー、ライム。済まなかったな。まさかこっちの確認もしないでライムのとこ行くとは思わなかった」
「うん。私もびっくりだよー。まさか攻撃した相手の様子も確認しないなんて」
まあ、ボーラの所に届いた宣戦布告の書状の内容を見てもコイツがバカなのは予想出来たんだよな。それから、何処から来たのか何となく予想はついた。なんつーか、俺達から見れば度を越した女好き、それに殺す時の容赦の無さ。
「おいお前」
額に指弾を受けてひっくり返っている神王へ声を掛ける。
「お前、シシリアンマフィアの鉄砲玉かなんかだろ?」
「ぐ…てめえ…不意打ち決まったくれえでいい気になってんじゃねえぞコラァ!!」
神王は体のバネを使って飛び起きるとナイフを持って襲い掛かって来た。ホント人の話を聞かねえ奴だな。
「……へえ?思ったよりやるんだな」
これは正直な感想だ。身体能力は高い。時折魔法も絡めて来る戦闘センスも悪くはない。先鋒の艦隊司令が言っていた『強い』っていうのも与太話じゃなかったみたいだ。曲がりなりにも大陸を短期間で制覇したのは伊達じゃないって事か。
「ただ、普通の人間にしては、だけどな」
突き出されたナイフを左手で粉々に握り潰して右拳で横っ面をぶん殴る。
「ガハッ……」
お?倒れないで踏ん張ったか。よしよし、そうでなくちゃな。お仕置きタイムはこれからだ。
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