いや、自由に生きろって言われても。

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西国編

デコ ピン ボール

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   「ぐべっ!?」

   美少女には似つかわしくない悲鳴をあげてサラマンダーが吹き飛ぶ。
 
   俺がやった事はただ正面から間合いを詰めてデコピンをぶちかましただけだ。

   すっ飛んで行ったサラマンダーも大概なスピードだったが俺はそれを上回るスピードでサラマンダーの背後に回り込む。空中でなんとか体勢を立て直したサラマンダーだが見据えた先に既に俺は居ない。

   「よう、どこ見てんだ?」

   背後から俺に声を掛けられギョッとして振り向くサラマンダーに追撃のデコピン。

   「あぅっ!」

   そして背後に回って肩を叩き、振り返ったところにデコピンかまして吹っ飛ばすの無限ループ。

   デコピンされてピンボール状態になるサラマンダーだが何度も背後を取られて少しは学習したようだ。

   「何度も何度も同じ手を喰らうか!」

   今度は振り向く事なくドラゴンのような尻尾での一撃を食らわせて来た。

   「甘い。」

   しかし、所詮は勘に頼った攻撃だ。高度を下げる事で容易く回避する。

   「おい。あんまり尻尾をバタバタさせるとパンツ見えるぞ?」

   「くっ!見るなぁ!尻尾が有るのにそんなの履けるかぁ!」

   むう…それは何ともやり難いな。なら早目にカタをつけるか。

   「おい。今度も正面から真っ直ぐ行って一発入れるから我慢しろよ?キツめに行くからな?」

   「ぐ…舐めるなぁ!」

   サラマンダーは雨に打たれた身体から蒸気を吹き上げ、赤い頭髪を逆立たせて激昂する。同時に両手を交互に突き出しながら無数の炎弾を放って来た。なるほど、接近される前に弾幕を張ったか。いいぞ!

   一発一発がクレーターを生成するだけの威力を持った炎弾。俺はそれを指弾で全て迎撃する。

   「は!あははははは!やったか!?」

   「残念。」

   「へ!?」

   炎弾を迎撃した時に発生した蒸気で視界が塞がれ…それが晴れた時にサラマンダーの視界に入ったのは満面の笑みを浮かべてデコピンポーズを取る俺の姿だった。

   「覚悟はいいか?」

   「あ、いや、えへへ?」

   笑って誤魔化してるサラマンダーに ズビシッ!!とデコピンを決める。

   「いだぃっーーッ!!」

   かなり離れた山肌に大の字になってめり込んでいたサラマンダーの頭を鷲掴みにして引き摺り出す。それにしてもコイツ、かなり打たれ強いな。サンタナもアクアもここまで耐えられなかったんじゃないか?

   『私達は実力差を見極めて早々に諦めただけです。』

   『そうじゃ。此奴の頑張りは無駄に痛い思いをするだけだと言う事を理解していない愚かな行為じゃな。』

   そりゃそうか。さっさと諦めてごめんなさいすれば俺だって鬼じゃないからな。

   『『鬼じゃない?』』

   お前らも後でデコピンだ。

   取り敢えず頭を鷲掴みにしたサラマンダーをそのままスプライトの作ったドームまで運ぶ。勿論カズト・高機動モードでだ。

   「いででででで!離せバカ!頭割れる!」

   お?気付いたかサラマンダー。それにしてもバカとは随分だな。

   「誰がバカだ。マジで鉢割るぞコラ。」

   「いやーっ!いだだだだ!?ごめんなさいっ!?」

   さて、スプライトのドームが見えて来た。蘭丸が尻尾をバサバサ降ってこっち見てるな。

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   病室でコッソリ執筆ちぅ。文字数少な目です。

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