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西国編
敵には絶望と後悔を
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「うわあああ!?」
「な、なんでゴーレムがこんなに大量に!?」
「く、くそっ!突破しろお!」
「隊長!無理です!攻撃が全て弾かれます!」
突然の奇襲。追跡していた船が突然消え、自らが乗って来た船は全て沈められてしまった自分達に残された道は前に進む事だけだった。逃げた馬車を追跡し、村の一つも占領して本隊への連絡手段を探る。それしかない。
「おのれ…」
しかし眼前に突如現れたゴーレム達に行く手を塞がれ指揮官は歯ぎしりする。
「隊長!隊長!」
状況を好転させる材料が見つからず、こうして考えている間にも一人また一人と部下が減って行く中で報告に上がって来た部下にすら苛立ちを覚える指揮官。さらに状況が悪化するというのか。
「今度はなんだ!」
「は!逃げた馬車が転進してきます!いえ、馬車では無く竜車です!」
「なにぃ!? ではあの馬車は馬ではなく地竜が牽いていたというのか!」
「は!」
「ゴーレム共は地竜に攻撃を仕掛けたりはせんのか?」
「いえ!むしろ共闘しているように見えます!ゴーレムの術者が竜車の中にいるのではないかと!」
指揮官はワナワナと震えながら声を絞り出す。
「……撤退だ。」
「は!いえ、しかし我々には船はもう…」
「どこでもいい!ゴーレムと竜が居ない場所へ撤退だ!」
指揮官に出せる指示はこれしかなかった。
◇◇◇
索敵マップにある赤い点がどんどん減っていく。青い点が赤い点を追い詰め、そのまま赤い点がこっちに追いやられて来る。天罰用にロックオンしていた敵も残りは100人以下だ。予想以上にゴーレムとスタリオンが暴れている様だな。ロックオンしていない敵も含めて約120人程。ビートは竜車の御者席から動いていない様だ。
「おお~、来た来た。大慌てで逃げて来るねえ。」
ユニコーンのチェロキーに騎乗したライムが俺の横に馬首を並べて来た。このチェロキーも俺の眷属なんだが、やっぱりユニコーンには美少女を乗せたい。そんな訳でライムの乗馬になって貰っている。チェロキーの方も自分よりも強者であり正式な勇者でもあるライムには畏怖の念を抱いている為特に不満は無いようだ。
「あいつら、スタリオンとゴーレム共を相手にするよりこっちの方がマシだって思ってんだろうなぁ…」
『スプライト様がお造りになられたとは言え、たかが土人形如きよりも我が主を下に見るなど言語道断。蹴散らしてご覧に入れる。』
コイツは俺の乗馬でラングラー。ユニコーンの亜種で、角が二本あるバイコーンだ。黒光りする馬体がカッコいいヤツだ。
「こっちはたったの5騎だけど普通の馬が俺のムスタングだけって時点でもう何だかね。」
「何を言う、テル。このムスタングとて戦国の世に出せば歴史に名を残す名馬だぞ?」
確かにな。テルの愛馬のムスタングは正真正銘普通の馬だ。だがユキの言う通りでこいつは異常に頭がいい。身体能力も高い。そして何より素晴らしいのがその胆力だ。ユニコーンやバイコーン、それに地竜やフェンリルなど、通常であれば自分が捕食される側であるはずなのに、そういった存在に囲まれても泰然としている。ホント、すげえ馬だ。
「サンタナ、アクア、お前らは常識の範囲内で頼むぞ?本気で暴れられたら地形が変わるからな。」
「まあ?ご主人様がそれを仰いますか?」
「うむ。非常に心外じゃのう…」
蘭丸は尻尾が五本にまで増えてしまった。この間のダンジョンでかなりレベルアップした模様。戦闘=レベルアップの仕組みに気付いたか、今も戦闘を目の前に尻尾がわっさわっさと揺れている。
青い美少女姿のアクアを背に乗せたエスプリは涎が垂れているぞ?ライム、注意しとけよ。
「こらっ!エスプリ!食べちゃダメ!」
『はっ!? い、いや、我は別にそんな事は思っておらんぞ?』
「よだれ!ほら!じゅるってなってるし!」
『い、いや、これはだな…』
主人であるライムの調教が始まった。神狼と崇められるフェンリルもライムの前では仔犬と変わんねえな。
『おにいちゃん、てき、きたー。あーし、やっつけてつよくなるおー!』
背中にサンタナを乗せた蘭丸の一言が戦闘開始の合図となった。それにしても、蘭丸もエスプリも、背中に美少女を乗せたその絵面、も〇〇け姫みたいなんだよな…
「よし!行くぞ、ラン!」
『応!』
俺はカラクリの魔力の刃を3メートル程に伸ばしてラングラーを疾走させる。悪いが一番槍は俺が貰おう。
「な、なんでゴーレムがこんなに大量に!?」
「く、くそっ!突破しろお!」
「隊長!無理です!攻撃が全て弾かれます!」
突然の奇襲。追跡していた船が突然消え、自らが乗って来た船は全て沈められてしまった自分達に残された道は前に進む事だけだった。逃げた馬車を追跡し、村の一つも占領して本隊への連絡手段を探る。それしかない。
「おのれ…」
しかし眼前に突如現れたゴーレム達に行く手を塞がれ指揮官は歯ぎしりする。
「隊長!隊長!」
状況を好転させる材料が見つからず、こうして考えている間にも一人また一人と部下が減って行く中で報告に上がって来た部下にすら苛立ちを覚える指揮官。さらに状況が悪化するというのか。
「今度はなんだ!」
「は!逃げた馬車が転進してきます!いえ、馬車では無く竜車です!」
「なにぃ!? ではあの馬車は馬ではなく地竜が牽いていたというのか!」
「は!」
「ゴーレム共は地竜に攻撃を仕掛けたりはせんのか?」
「いえ!むしろ共闘しているように見えます!ゴーレムの術者が竜車の中にいるのではないかと!」
指揮官はワナワナと震えながら声を絞り出す。
「……撤退だ。」
「は!いえ、しかし我々には船はもう…」
「どこでもいい!ゴーレムと竜が居ない場所へ撤退だ!」
指揮官に出せる指示はこれしかなかった。
◇◇◇
索敵マップにある赤い点がどんどん減っていく。青い点が赤い点を追い詰め、そのまま赤い点がこっちに追いやられて来る。天罰用にロックオンしていた敵も残りは100人以下だ。予想以上にゴーレムとスタリオンが暴れている様だな。ロックオンしていない敵も含めて約120人程。ビートは竜車の御者席から動いていない様だ。
「おお~、来た来た。大慌てで逃げて来るねえ。」
ユニコーンのチェロキーに騎乗したライムが俺の横に馬首を並べて来た。このチェロキーも俺の眷属なんだが、やっぱりユニコーンには美少女を乗せたい。そんな訳でライムの乗馬になって貰っている。チェロキーの方も自分よりも強者であり正式な勇者でもあるライムには畏怖の念を抱いている為特に不満は無いようだ。
「あいつら、スタリオンとゴーレム共を相手にするよりこっちの方がマシだって思ってんだろうなぁ…」
『スプライト様がお造りになられたとは言え、たかが土人形如きよりも我が主を下に見るなど言語道断。蹴散らしてご覧に入れる。』
コイツは俺の乗馬でラングラー。ユニコーンの亜種で、角が二本あるバイコーンだ。黒光りする馬体がカッコいいヤツだ。
「こっちはたったの5騎だけど普通の馬が俺のムスタングだけって時点でもう何だかね。」
「何を言う、テル。このムスタングとて戦国の世に出せば歴史に名を残す名馬だぞ?」
確かにな。テルの愛馬のムスタングは正真正銘普通の馬だ。だがユキの言う通りでこいつは異常に頭がいい。身体能力も高い。そして何より素晴らしいのがその胆力だ。ユニコーンやバイコーン、それに地竜やフェンリルなど、通常であれば自分が捕食される側であるはずなのに、そういった存在に囲まれても泰然としている。ホント、すげえ馬だ。
「サンタナ、アクア、お前らは常識の範囲内で頼むぞ?本気で暴れられたら地形が変わるからな。」
「まあ?ご主人様がそれを仰いますか?」
「うむ。非常に心外じゃのう…」
蘭丸は尻尾が五本にまで増えてしまった。この間のダンジョンでかなりレベルアップした模様。戦闘=レベルアップの仕組みに気付いたか、今も戦闘を目の前に尻尾がわっさわっさと揺れている。
青い美少女姿のアクアを背に乗せたエスプリは涎が垂れているぞ?ライム、注意しとけよ。
「こらっ!エスプリ!食べちゃダメ!」
『はっ!? い、いや、我は別にそんな事は思っておらんぞ?』
「よだれ!ほら!じゅるってなってるし!」
『い、いや、これはだな…』
主人であるライムの調教が始まった。神狼と崇められるフェンリルもライムの前では仔犬と変わんねえな。
『おにいちゃん、てき、きたー。あーし、やっつけてつよくなるおー!』
背中にサンタナを乗せた蘭丸の一言が戦闘開始の合図となった。それにしても、蘭丸もエスプリも、背中に美少女を乗せたその絵面、も〇〇け姫みたいなんだよな…
「よし!行くぞ、ラン!」
『応!』
俺はカラクリの魔力の刃を3メートル程に伸ばしてラングラーを疾走させる。悪いが一番槍は俺が貰おう。
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