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西国編
帰還しました。
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船大工のダッツンに船の手配を任せ俺とライムはヘイアンへ戻る事にした。ゲンの軍船はチンゼイを包囲しているが本島にちょっかいは一切掛けて来ないのが確認できたからだ。ポンティアックのような輩と取引しているくらいだからいずれは制圧に動くのだろうが、肝心のポンティアックからは最早ゲンに情報が漏れる事はない。ゲンの息が掛かった者達も今頃はヘイアンに残した忍びの三人が処理しているかも知れないな。
「ふわぁ~、異世界の『瀬戸内海』だねえ。こっちにもやっぱり渦潮とかあるのかな?」
行きは山陰。帰りは山陽。折角だから少しくらい旅行気分を味わったっていいじゃないか。
「どうだろうな?地形はなんとなく似たような感じだけど気候は全然違うんだよな。」
気候が違えば海流とか潮流とかいったものに影響があるんじゃないのか?とは思う。なにせこっちは日本と違って四季がない。言ってみれば春と秋がローテーションしている様な感じだ。年中過ごしやすいと言われればそうなんだが、四季が無いって事は天体同士の位置関係も違うのかも知れない。もしくはこの星の地軸の傾きが違うとか。そうなると潮の干満なんかも日本とは違うだろう。
「ま、行ってみれば分かるよねっ。」
ライムはご機嫌でチェロの上で揺られている。ライムも今回の『お出かけ』を楽しんでいる様で何よりだ。実はチョーシュー領内で大規模なダンジョンを見つけたのだ。攻略したい欲求に駆られたんだが今回は様子見で『ちょっとお出かけ』しているだけなので泣く泣く断念し、次にメンバー全員で攻略しようと言うことで話は纏まった。いや、俺とライムの二人で決めた事だけど。それも楽しみなんだろう。
山陽地方の各国を冒険者の立場で普通に巡り、お約束のチンピラに絡まれるイベントも数回こなし、土地の名物を食い景色を楽しむ。各地の土産を買い込み一週間程かけてヘイアンに帰って来た。
『ごしゅじんさま、おかえり~!』
御所に入るとドスドスと地響きを立ててスタリオンが出迎えてくれた。
「おう、ただいま。いい子にしてたか?ライムにお土産おねだりしてもいいぞ?」
『わーい!』
見た目はおっかない地竜なんだがまだまだ子供だ。ライムの収納から出された魚を喜んで食べている。内陸の、しかも山脈を棲み処にしてたからスタリオンが海魚を食べるのは初めてかもな。
「!!おさかなの匂いがしますっ!!」
遠くからビートがすっ飛んで来た。
「カズト様!お魚!海のお魚が!あー!?スタリオンだけズルいですわ!」
「ちょ、待て待て!あるから!ちゃんとあるから!」
ライムが苦笑しながら収納から魚を出してやる。なんとなく鯖っぽいヤツ。当然生だ。ビートはそれを両手で受け取りそのまま齧り付こうするが…
「ちょっと待てーーーい!お前、褐色のお色気お姉さんの姿で生の魚に齧り付くとかシュールすぎるから!」
「!…そうですわね。私とした事が。ではこちらの方で。」
ポンッと煙に包まれたビートは黒猫の姿になって改めて鯖っぽい魚を美味そうに食べ始めた。
「そこまでして生で食いたかったのか…」
呆れ9割の俺だったが、いつもは高貴さが全面に出ているビートの弾けた様子もなかなか可愛いと思うのが1割くらい。
じぃーーーーっ
じぃーーーーーーーっ
「ちょ、かずと。犬系のあの二人がずっとこっち見てるんだけど。」
あいつらもか。
「エスプリに蘭丸。お前らも食うか?」
二人はこちらに駆け寄って来て、ビートと同じくポンっと変化する。デカいフェンリルとこれまた尻尾が3本にまで増えた妖狐。眷属化して俺の魔力を吸収した蘭丸は子犬くらいの大きさだったのに今はゴールデンレトリバーくらいある。狐としてはこちらもデカい。
つーかね。ちゃんとお座りしてわっさわっさ尻尾振ってんのよ。魚の前にちょっとモフらせろ。
存分にモフッた後、二人にも大き目の魚を出してもらい、食べている姿を見ながら和んでいると離れた所で呆けているボーラに気付く。そういや帰還の挨拶もしてないな。
「えーと、ボーラ?」
「あ、ああああの狐はっ!?」
ああ、そうか。今までは混乱してて気付かなかったのか。かつて都を大混乱に陥れた金毛九尾の妖狐を連想でもしたのか?
……その大混乱の張本人だけどな。
「ああ、可愛いだろ?」
「うむ。確かに……では無くて!尻尾が多いように見えるのだが!?」
「ああ。まだ3本だな。」
「まだ!?」
「あの尻尾に包まれてみるか?極楽だぞ?多分。」
「うむ。確かに……では無くて!まだと言う事は更に増えると?」
「ああ。そのうち9本まで増えると思うぞ?」
「9本!?」
「ああ。9本の尻尾。モフったら極楽だな。」
「うむ。確かに……では無くて!」
ふむ。意外とからかい甲斐があるな、ボーラめ。
「ふわぁ~、異世界の『瀬戸内海』だねえ。こっちにもやっぱり渦潮とかあるのかな?」
行きは山陰。帰りは山陽。折角だから少しくらい旅行気分を味わったっていいじゃないか。
「どうだろうな?地形はなんとなく似たような感じだけど気候は全然違うんだよな。」
気候が違えば海流とか潮流とかいったものに影響があるんじゃないのか?とは思う。なにせこっちは日本と違って四季がない。言ってみれば春と秋がローテーションしている様な感じだ。年中過ごしやすいと言われればそうなんだが、四季が無いって事は天体同士の位置関係も違うのかも知れない。もしくはこの星の地軸の傾きが違うとか。そうなると潮の干満なんかも日本とは違うだろう。
「ま、行ってみれば分かるよねっ。」
ライムはご機嫌でチェロの上で揺られている。ライムも今回の『お出かけ』を楽しんでいる様で何よりだ。実はチョーシュー領内で大規模なダンジョンを見つけたのだ。攻略したい欲求に駆られたんだが今回は様子見で『ちょっとお出かけ』しているだけなので泣く泣く断念し、次にメンバー全員で攻略しようと言うことで話は纏まった。いや、俺とライムの二人で決めた事だけど。それも楽しみなんだろう。
山陽地方の各国を冒険者の立場で普通に巡り、お約束のチンピラに絡まれるイベントも数回こなし、土地の名物を食い景色を楽しむ。各地の土産を買い込み一週間程かけてヘイアンに帰って来た。
『ごしゅじんさま、おかえり~!』
御所に入るとドスドスと地響きを立ててスタリオンが出迎えてくれた。
「おう、ただいま。いい子にしてたか?ライムにお土産おねだりしてもいいぞ?」
『わーい!』
見た目はおっかない地竜なんだがまだまだ子供だ。ライムの収納から出された魚を喜んで食べている。内陸の、しかも山脈を棲み処にしてたからスタリオンが海魚を食べるのは初めてかもな。
「!!おさかなの匂いがしますっ!!」
遠くからビートがすっ飛んで来た。
「カズト様!お魚!海のお魚が!あー!?スタリオンだけズルいですわ!」
「ちょ、待て待て!あるから!ちゃんとあるから!」
ライムが苦笑しながら収納から魚を出してやる。なんとなく鯖っぽいヤツ。当然生だ。ビートはそれを両手で受け取りそのまま齧り付こうするが…
「ちょっと待てーーーい!お前、褐色のお色気お姉さんの姿で生の魚に齧り付くとかシュールすぎるから!」
「!…そうですわね。私とした事が。ではこちらの方で。」
ポンッと煙に包まれたビートは黒猫の姿になって改めて鯖っぽい魚を美味そうに食べ始めた。
「そこまでして生で食いたかったのか…」
呆れ9割の俺だったが、いつもは高貴さが全面に出ているビートの弾けた様子もなかなか可愛いと思うのが1割くらい。
じぃーーーーっ
じぃーーーーーーーっ
「ちょ、かずと。犬系のあの二人がずっとこっち見てるんだけど。」
あいつらもか。
「エスプリに蘭丸。お前らも食うか?」
二人はこちらに駆け寄って来て、ビートと同じくポンっと変化する。デカいフェンリルとこれまた尻尾が3本にまで増えた妖狐。眷属化して俺の魔力を吸収した蘭丸は子犬くらいの大きさだったのに今はゴールデンレトリバーくらいある。狐としてはこちらもデカい。
つーかね。ちゃんとお座りしてわっさわっさ尻尾振ってんのよ。魚の前にちょっとモフらせろ。
存分にモフッた後、二人にも大き目の魚を出してもらい、食べている姿を見ながら和んでいると離れた所で呆けているボーラに気付く。そういや帰還の挨拶もしてないな。
「えーと、ボーラ?」
「あ、ああああの狐はっ!?」
ああ、そうか。今までは混乱してて気付かなかったのか。かつて都を大混乱に陥れた金毛九尾の妖狐を連想でもしたのか?
……その大混乱の張本人だけどな。
「ああ、可愛いだろ?」
「うむ。確かに……では無くて!尻尾が多いように見えるのだが!?」
「ああ。まだ3本だな。」
「まだ!?」
「あの尻尾に包まれてみるか?極楽だぞ?多分。」
「うむ。確かに……では無くて!まだと言う事は更に増えると?」
「ああ。そのうち9本まで増えると思うぞ?」
「9本!?」
「ああ。9本の尻尾。モフったら極楽だな。」
「うむ。確かに……では無くて!」
ふむ。意外とからかい甲斐があるな、ボーラめ。
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