148 / 240
西国編
意外なヤツ
しおりを挟む
ウフロンを発って一日、バンドーに入る。ジョーシュー領太守レックスに顔を出し、用向きを伝えた。つーか、この世界でこの距離を一日って異常だし。テルのムスタング、よく付いて来るよな。
『リッケンが補助してバッカーが回復しながら走っているようですね。ランもチェロもその辺りは気にしながら走っているので心配はいらないでしょう。』
なるほど、そう言う訳か。サンタナ先生ありがとう。
「そうか。チンゼイは深刻な状況になっているか。それで、テル殿がジュリア様の名代として出陣すると。」
「出陣と言っても人数はこれだけだ。後は眷属がいるけどな。そうそう、眷属と言えば山の主も連れて行くから不在の間の事は頼むよ。」
「なるほど、承った。是非ジュリア様にも顔を出してやってくれ。カズトが来たとなれば民も喜ぶであろうしな。」
そんなモンかね。
「帝がお待ちかねだから長居は出来ないがな。」
そんな感じなのでレックスとの面会もそこそこにステイブル・ブリジの城を出てロートブルク山へと向かう。エスプリが山の中の何処にいるかなんて知らないけど、奴もライムの眷属だし、向こうから姿を見せるだろう。
さすがに山中で竜車は厳しいので竜車はライムの収納にしまい込み全員が徒歩で移動する。
「懐かしいわね。このあたりでソレイユのみんなとレベリングしたっけ。」
「そうでした。カズト様はステイブル・ブリジに行って不在でしたわね。」
ビートもスタリオンの頭の上だなんて楽はさせずきっちり歩かせている。
「なら、ここらで待ってりゃ来るだろ。ライム、呼んでみろよ。」
「ん、もうこっちに向かってるってさ。」
やっぱりか。俺の索敵にもそれっぽいのが近付いて来てる反応がある。数が多いのはヤツの眷属の狼達だろう。みんな味方を示す青い反応だ。
でもその中に一つ、紫の反応がある。以前にレパード侯爵がセリカを押し倒していた時に赤と青が重なって紫に見えた事がある。でも今回は単体で紫だ。なんだろこれ?初めてだな。
「なんかな、索敵に紫の反応がある。一応警戒してくれ。」
「殿、紫ってどういう事だい?敵でもあり味方でもあるって事?」
千代ちゃんが聞いてくるけどな。俺も分かんねえって。
「どうかな。ま、来てみりゃ分かんだろ。ところでライム、白猫は復活したのか?」
白猫は金毛の妖狐との最終決戦で折れちまった。自己修復の能力があるからほっときゃ直るんだが流石に折れたとなると心配になる。
「それがね、段々と刀身は長くなってるんだけどまだなんだ。当分はリヴァイアサンだね。」
リューセンダンジョンのドロップ品の魔槍。ミスリルと海竜の牙で作られたかなりの業物だ。
「まあ、武器が無いなら無いなりの戦い方をするだけだし。」
ライムはオールラウンダーだもんな。魔法も物理も多分最強だ。俺を除けば。
おっと、来た様だな。
『主よ、待たせてしまったか。』
「やあ!エスプリ!元気だった!?」
美しさと気高さを併せ持つ巨大な銀狼。狼も馬サイズになるとちょっと可愛いとは言えないな。そして彼に従うグレーの狼が7匹。こいつらってもしかして。
「あら?あなた達はソレイユのみんなに付いてた子よね?やっぱり山の方がいいの?」
『うむ、どうにも狩猟本能が疼いてしまってな。』
あの顔、苦笑してるんだよな、多分。ちょっと怖いぞ。とまあ、そんな事よりだ。
「おい、エスプリ。お前一体何を連れて来たんだ?」
『流石は主の主人よ。気付いていたか。これ、出て来なさい。』
主の主人って…間違いじゃないけどややこし…っておいおい!そいつもしかして!
「うわあ…これは予想してなかったね…」
俺は驚きライムは呆れ、他のメンバーは殺気立つ。
『おにいちゃん、ごめんなさい。もうわるいことしないからいじめないで…』
「お前…妖狐か?」
モフモフのエスプリの尻尾に隠れていたソイツは金色の子狐だった。
『リッケンが補助してバッカーが回復しながら走っているようですね。ランもチェロもその辺りは気にしながら走っているので心配はいらないでしょう。』
なるほど、そう言う訳か。サンタナ先生ありがとう。
「そうか。チンゼイは深刻な状況になっているか。それで、テル殿がジュリア様の名代として出陣すると。」
「出陣と言っても人数はこれだけだ。後は眷属がいるけどな。そうそう、眷属と言えば山の主も連れて行くから不在の間の事は頼むよ。」
「なるほど、承った。是非ジュリア様にも顔を出してやってくれ。カズトが来たとなれば民も喜ぶであろうしな。」
そんなモンかね。
「帝がお待ちかねだから長居は出来ないがな。」
そんな感じなのでレックスとの面会もそこそこにステイブル・ブリジの城を出てロートブルク山へと向かう。エスプリが山の中の何処にいるかなんて知らないけど、奴もライムの眷属だし、向こうから姿を見せるだろう。
さすがに山中で竜車は厳しいので竜車はライムの収納にしまい込み全員が徒歩で移動する。
「懐かしいわね。このあたりでソレイユのみんなとレベリングしたっけ。」
「そうでした。カズト様はステイブル・ブリジに行って不在でしたわね。」
ビートもスタリオンの頭の上だなんて楽はさせずきっちり歩かせている。
「なら、ここらで待ってりゃ来るだろ。ライム、呼んでみろよ。」
「ん、もうこっちに向かってるってさ。」
やっぱりか。俺の索敵にもそれっぽいのが近付いて来てる反応がある。数が多いのはヤツの眷属の狼達だろう。みんな味方を示す青い反応だ。
でもその中に一つ、紫の反応がある。以前にレパード侯爵がセリカを押し倒していた時に赤と青が重なって紫に見えた事がある。でも今回は単体で紫だ。なんだろこれ?初めてだな。
「なんかな、索敵に紫の反応がある。一応警戒してくれ。」
「殿、紫ってどういう事だい?敵でもあり味方でもあるって事?」
千代ちゃんが聞いてくるけどな。俺も分かんねえって。
「どうかな。ま、来てみりゃ分かんだろ。ところでライム、白猫は復活したのか?」
白猫は金毛の妖狐との最終決戦で折れちまった。自己修復の能力があるからほっときゃ直るんだが流石に折れたとなると心配になる。
「それがね、段々と刀身は長くなってるんだけどまだなんだ。当分はリヴァイアサンだね。」
リューセンダンジョンのドロップ品の魔槍。ミスリルと海竜の牙で作られたかなりの業物だ。
「まあ、武器が無いなら無いなりの戦い方をするだけだし。」
ライムはオールラウンダーだもんな。魔法も物理も多分最強だ。俺を除けば。
おっと、来た様だな。
『主よ、待たせてしまったか。』
「やあ!エスプリ!元気だった!?」
美しさと気高さを併せ持つ巨大な銀狼。狼も馬サイズになるとちょっと可愛いとは言えないな。そして彼に従うグレーの狼が7匹。こいつらってもしかして。
「あら?あなた達はソレイユのみんなに付いてた子よね?やっぱり山の方がいいの?」
『うむ、どうにも狩猟本能が疼いてしまってな。』
あの顔、苦笑してるんだよな、多分。ちょっと怖いぞ。とまあ、そんな事よりだ。
「おい、エスプリ。お前一体何を連れて来たんだ?」
『流石は主の主人よ。気付いていたか。これ、出て来なさい。』
主の主人って…間違いじゃないけどややこし…っておいおい!そいつもしかして!
「うわあ…これは予想してなかったね…」
俺は驚きライムは呆れ、他のメンバーは殺気立つ。
『おにいちゃん、ごめんなさい。もうわるいことしないからいじめないで…』
「お前…妖狐か?」
モフモフのエスプリの尻尾に隠れていたソイツは金色の子狐だった。
0
お気に入りに追加
5,674
あなたにおすすめの小説

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。